全速力でバイクを走らせる最中、ふと
ハンドル周辺にある長方形のくぼみが気になった
特に気にしてはいなかったが・・・これの意味は何だ?
このバイクを寄越してくれたのは、オタコンだったよな
・・・って事は何か仕掛けがあるのか?
まあ 拳銃が仕舞えるし別にいいか
ちょっと余計な事が頭を過ぎりつつも、周囲の
機械家政婦を蹴散らしつつ やっと銀さん達に追いつく。
定春の上にいるのは、銀さんと神楽の二人のみ
「銀さん!新八君はどうした!?」
「遅かったじゃねぇか!
新八ならタマ連れて源外んとこに行ったぞ!」
「一番危険な役割を一人でやらせたってのか!?」
「分かってねぇアルなー、新八はあんなのに
簡単にやられるタマじゃないネ。」
よほど信頼しているみたいだ。いらない心配だったか。
俺達を追う機械の数が目に見えて減った・・・と
思った次の瞬間 ウシに似た鳴き声が木霊する。
「何?どっかでウシ祭でもやってんの?」
「マジでか、ステーキ食べ放題アル!」
「スペインじゃあるまいしねぇって!」
言い合いつつ肩越しに振り返ると
何かがジャンプしながらこちらへ飛んできた。
あれは・・・・・・・・メタルギア!?
「おぃぃぃ!あれお前んとこの機械じゃね!?
つーかお前んとこの機械だよね!!」
「た、確かに見た目はメタルギアに似てるが
見たことがないぞ あんな型は!!」
「にっぶいアル、こんなんお決まりの新型ネ!」
すぐさま機銃で応戦する神楽 だが効いている様子は
なく相手は雄たけびを上げながら突っ込んでくる。
「定春ぅぅぅ!スピード上げろぉぉ!
このままじゃ俺らウシに潰されんぞ!!」
唐突に無線機が鳴り出す 取り込み中になんだよっ!
『―こちらメリル、応答して。』
「メリルか!悪いんだが今新型のメタルギアに
追っかけられて取り込み中なん「ちょうどいいわ
月光を引きつけたまま先の曲がり角を右に曲がるのよ。」
ああもう!よく分からんがなるようになれだ!
「銀さん!この先の曲がり角を右に曲がれ!!」
「くそぉぉ!どうとでもなれぇぇぇぇぇ!!」
俺達は右へ曲がり、後ろからついて来ていた
"月光"と呼ばれたメタルギアも同じように旋回し
四方八方からの銃撃を浴び バランスを崩して
メタルギアは倒壊後、爆発した。
・・・音と威力からして
対物ライフルM82A2といったところか。
「ジャック 大丈夫だった?」
立ち止まる俺達の前に、武器を手にした4人組が現れた。
一人はメリルだが、後は分からない。
「ああ、すまんな・・・所でメリル、何で江戸に?」
「大佐の命令で調査しに来たの。」
「調査?」
頷き メリルはいまだ煙の立ち込める方へ目をやり
「アメリカ軍人が江戸に月光の開発物資や技術を
横流ししたと情報が入ってね・・・それの調査。」
「そいつぁご苦労なこって・・・で、こいつら誰?」
銀さんは後ろにいる3人を指差して言った。
第二話 SFやロボものの次回作は新型出しときゃいーんだよ
「紹介するわ。こっちの黒人がエド、無線と狙撃担当よ。
こっちのモヒカン頭はジョナサン、後ろをつかれるのが
嫌いだから後に立つのは禁止ね。そして・・・・・・」
メリルは三人目の 腹を押さえながらもだえる者へ
軽蔑するような視線を送る。
「彼はジョニー、みんな「アキバ」って呼んでる。」
うん?ジョニー?どっかで聞いたような・・・・・・・
「た、隊長・・・・トトト、トイレ・・・・」
「トイレ?ここではそういう風には呼ばないわ。」
「じゃ、じゃあ ええと・・・・か、厠・・・・
厠はどこにあります・・・・腹がぁぁ・・」
青ざめ震えるその顔は ある一人の人物を思い出させた
「ひょっとしてお前、シャドーモセスにいたろ?
ちなみに厠はあそこだ。」
「え?何で知っ・・・・・うお!我慢できないぃぃぃ!!」
猛烈な勢いで男はトイレ・・・・もとい厠に飛び込んだ。
「今、シャドーモセスって言ってたわね。何で知ってるの?」
「独房に入れられていた時 そこの看守が
異様に胃腸が弱いってのが妙に印象に残っててな・・・」
まさか予想的中するとは思わなかったが。
「オーイ 俺らを会話からハブにしてんじゃねぇぞコラ」
「お前らどこの回しもんアルかコノヤロー!」
「スマンスマン・・・銀さん、神楽 俺から説明するよ。」
「いえ、私の口から言わせて。」
メリル達はいつの間にか戻ってきたジョニーを交えて
一列に並び ポーズをとった
「私たちはFOX直属部隊『ラットパトロール』よ。」
「はぁ、ラットだかキバットだか知らねぇが
要は軍隊の特殊部隊ってことか スゲェもんだな」
「最も、FOX直属って言っても実験部隊でしか
ないんだけどね。」
「そうか?さっきのあの連携は、完璧だったと思うが・・・」
「約一名、的をはずしたヤツがいるのよ。」
言って メリルはジョニーへ視線だけ寄越した。
「っと、俺らここで井戸端ってるヒマねぇんだわ
源外んとこに行かねぇと。」
銀さんと神楽は定春へとまたがり直す。
「悪いな銀さん、俺はもう少しメリルと話がある。」
「なこったろーと思ったよ じゃ、後で
落ち合おうぜ!」
「定春 行くアルよ!」
神楽の掛け声と共に定春は路地を駆けて行った・・・
「ラットパトロールは実験部隊だって言ってたよな
・・・調査と同時に新開発の代物を実戦投入してるのか?」
メリルは定春の白い姿が消えた方を見やって頷く。
「ありがたい事に部外者は席を外してくれたみたいだし
これで機密事項もしゃべれるわ。」
俺に通信した所から、ある程度この展開は
予想していたが・・・一体 何を語る気なんだ?
「ジャック、ナノマシンって知ってる?」
「名前だけは聞いたことがある・・・それがどうした?」
「私たちは、ナノマシンの投入によって
連携を完璧なものにしているの。例外もいるけど」
ナノマシンで連携を完璧に・・・・そんなことが
可能になっていたとは・・・
「体内のナノマシンは仲間の五感を感じ取れることが出来る。
だから連携がうまくいくの。」
「なるほど。で、例外君はどうなんだい?」
俺は少し嫌味を聞かせ、例外・・・ジョニーへ視線を向ける。
「仕方ないわ。まだ実験段階だし・・・
彼だけうまく働かなかったのね。」
そういう事も往々にしてあるのだろうな。
しかし・・・体内にナノマシンを投入・・・
まるでモルモットじゃないか・・・・
"ラット"パトロールとは 随分悪趣味な名をつけたもんだ。
「さて、話も済んだ事だし 私達は林博士の研究所に
乗り込んで来るわ。」
「博士の?」
「ええ・・・林博士の死に月光の登場。
におうと思わない?」
確かに、タマのことといい この状況は
あまりにも胡散臭すぎる。
「分かった 俺は大佐に連絡して状況を確認する。」
「じゃあ私達はこれで。行くわよ。」
メリル達は研究所へと向かって行った。
俺は一旦家に戻り、大佐に連絡を取りつつ装備を整える。
ついに・・・・アレを使うときが来た。
パトリオット
ママが愛用していたライフルで、無限バンダナなしでも
弾切れが起こらない高性能の武器だ。
『、メリルと会ったのか?』
「ああ・・・月光とやらを倒してくれたからな。」
『そうか・・・・』
「大佐、何故彼女たちにナノマシンを?」
俺の詰問に 大佐は声のトーンを下げる
『本人達から聞いたか・・・ナノマシンは兵士同士の連携を
完璧なものにするために開発された装置でな。
ラットパトロール部隊は実戦データを取るため造られた。』
「・・・いつからアメリカは人体実験するようになった」
しばしの沈黙の後 大佐はようやく口を開く。
『・・・すまない。
その事についてはついさっき知ったのだ。』
「なっ・・・何だって!?
大佐にまで情報がいってなかったのか!?」
『ああ・・・・』
そんな重要な事項が伝達されないなんて
絶対 何か裏がある・・・・!
とにかく今は銀さん達と合流しないと・・・
「今はこの事は伏せておこう・・・
こちらもやるべき事が出来たからな。」
『分かった。情報が入り次第そちらに送る。』
無線の通信を終え、俺はバイクの両側にメリル達が使っていた
『バレットM82A2』とスティンガーを取り付ける。
「・・・行くの?」
「ああ、嫌な予感がするんだ。」
「わかったわ・・・気をつけて・・」
「ああ。」
はキスを一つ口に落とすと 俺の姿を
見えなくなるまで見送った。
しばらくバイクを走らせ、ようやく源外の家に着いた。
「おい、。遅かったじゃねーか。」
「悪い悪い。で、新八君は?」
「・・・・・タマがとっ捕まった。
新八もここに来ていない。」
何だって!?
「お〜か、これ見てみろ。」
源外のじいさんがTVを指し示す。
そこには 銀さんの家にいた主任らしき男が
会見を開いている様子が映っている。
内容は・・・死んだ林博士に全ての責任を擦り付け
プロジェクトを中止にすることだった。
「莫大な金を叩きこんだ計画を畳みやがった。
何か企んでやがる。」
「泣いてやがったよ・・・・・」
静かな 銀さんの声に振り返る。
「泣いていた?」
「ああ、機械がポロポロ涙零してやがったぜ。
・・・懺悔の涙だか悔恨の涙だか知らねーがな」
「ウソだろ・・・オイルか何かじゃないのか!?」
「・・・・・そうか、あいつまだ・・・・・」
源外は テレビに何かを差し込む。
「じいさん 何アルかそれ?」
神楽の問いにも答えず、源外は話を続ける。
・・・どうやら源外と林博士は昔からのライバルで
共に機械作りの権威として名を馳せていたそうだ
しかし互いの作る機械は 方向性が違っていて
源外の機械は寸胴のような無骨なものばかりだったが
博士の作ったのは・・・目指したのはまさに
人間そっくりの女だ。
「人間って奴ァ一から千までの無数の感情を持つ
生き物 こいつを自分の手でつくれたら
そらァ職人冥利に尽きる」
「くだらねえ、人間が作りてーなら
嫁さんと毎晩腰振ってりゃいいんだよ。」
「さらっと最低なこと言うなよ・・・・」
「ガハハハハ!違ぇねえ!!」
大声で笑うと 源外は再び話を続ける。
人間を作ることは無理・・・いやむしろ
その領域を出てはいけない、と機械技師は言う
「だが世の中 俺やお前らのように
かわいた連中ばかりじゃねぇ・・・・
流山が変わったのは
・・・・奴の一人娘が死んだ時からだ。」
博士は、脳の電波をデータ化し
機械に移植する方法を編み出したが・・・・・
その実験体に自分の娘を使い その結果
娘は死んだのだと聞かされた。
やり場の無い怒りが湧き上がる。
自分の子供を・・・・まるで物のように扱うなど・・・!
「その時死んだ娘の名が・・・・芙蓉。」
聞き覚えのある単語に驚かされる俺達を他所に
ニヤリと源街さんが口の端を歪める。
「 お前さんならある程度予想できてただろ?
奴のプロジェクトの真の狙いは、家政婦を作る事じゃねぇ
死んだ娘を蘇らせる事だったんだ。」
・・・いやすまん源外さん。全然思いつかなかった。
TVの映像が急に乱れ 別の映像が映し出される。
「じいさん!これは・・・・・」
「野郎を殺したのは零號機なんかじゃねえ、
野郎のプロジェクトの真の意味、価値を知って
全てをものにしようとした奴がいる・・」
映し出されていたのは何処かの研究室と
・・・・・・あの時の男!
『な!?何故零號が・・・誰か!!
零號機が暴走しているぞ!!誰か!!』
「目黒博士、芙蓉プロジェクトの副主任だ。」
「あいつが・・・犯人だったのか・・・!」
しかし、男が消えて 続く映像は
信じられないような事実を示していた・・・・・・
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後書き(退助様サイド)
退助「新キャラも登場し、盛り上がってまいりました。」
銀時「何処がだよ。
ただきりのいいところで終わらせただけじゃねーか。」
退助「いいじゃないの。」
神楽「あのアマ何者アルか?」
メリル「説明にもあったでしょう?私は
アメリカのFOX直属部隊『ラットパトロール』の隊長よ。」
退助「うわ!ここにも出てくるのかよ・・・」
エド「ジョナサンと俺の台詞がないのだが・・・」
退助「だってあんたらMGS4でもほとんど無口じゃん。
特にジョナサン、あんた全然しゃべって・・・・」
(後から肩に手を置く)
メリル「あ!後に立っちゃだ・・・・」
ジョナサン「フン!!」(裏拳をかます)
退助「ぎゃーーー!!折れたー!鼻の骨折れたー!!」
銀時「オィオィオィちょっとそこのモヒカン野郎。
ゴルゴ13気取りかテメエは・・・」
メリル「だから後に立っちゃ・・・・・」
ジョナサン「フン!!」(ライフルで殴る)
銀時「ぎぃやぁぁぁぁぁぁ!何してくれてんだこの野郎!!」
ジョニー「俺・・・腹壊してただけだよね・・・・」
退助「仕方ないじゃん。
だってあんたじいさんの代から腹壊してただろ?」
ジョニー「そうだけど・・・・・ま、また腹が!!」
退助「あ、またトイレへ全速力に・・・・」
メリル「全く、ナノマシン制御があれば
あんなことにはならないのに・・・」
ナノマシンについては今後も明らかになるのでここまで