近藤さんの発言に、俺達は動揺を隠せずにいた。
「こんな事になったのは俺の責任だ・・・
戦いを拒む今のトシを巻き込みたくねぇ。
俺ぁ伊東に注意しろというトシの助言を拒んだ。
更には些細な失態を犯したトシを
伊東の言うがまま処断した。」
「仕方がない事だったんだよ近藤さん!!
アンタのせいじゃない、全部妖刀が・・・」
「そうだ、こいつがそんな事になってるのも知らずに
こいつがそんな身になってまで
真選組護ろうとしてたのも知らずに・・・
プライドの高ぇコイツがお前らに頭下げて
真選組託したのも 知らずに・・・・」
徐々に声が弱々しくなり、その瞳には涙が浮かぶ。
「すまなかったなぁトシ。すまなかったぁみんな
俺ぁ・・・俺ぁ・・・大馬鹿野郎だ・・・・・・」
近藤さん・・・・・・・・・
「全車両に告げてくれ、今すぐ戦線を離脱しろと。
近藤勲は戦死した。これ以上仲間同士で
殺り合うのはたくさんだ・・・・」
悲しげなその声に頷き、パトカーの四人へ顔を向ける
「・・・・・・・・みんな・・・行くぞ。」
「さん!?そんな!?」
「薄情アル!お前それでもアメリカの英雄かヨ!」
「分かってくれ!
近藤さんの気持ちを・・・無駄にするつもりか!!」
思わず怒鳴った俺の声に、答える者はいなかった。
「・・・・スマン。俺が告げよう、オタコン。」
『・・・・分かったよ。』
真撰組の無線を繋ぎ、声を届けようとした
俺よりも早く 無線が通じて声が流れる
『あーあー、ヤマトの諸君
我等が局長近藤勲は無事救出した!』
な・・・トッシーいや、土方さん!?
『勝機は我らの手にあり!
局長の顔に泥を塗り、受けた恩を仇で返す不逞の輩・・・
あえて言おう!!カスであると!!!』
えーと・・・なんか何処かで聞いたことのある台詞が・・・
『今こそ奴らを月に代わってお仕置きするのだ!』
『オイ誰だぁぁぁ!気の抜けた演説してる奴は!!』
「誰だと?真選組副長!土方十四郎なりぃぃぃ!!」
言い終えた直後、無線機は叩きつけられて切れた
第四話 置石・飛び込みマジやめて!こっちも急ぎなんだし!
「土方さん・・・・・・」
「近藤氏、僕らは君に命を預ける!
その代わりに君に課せられた義務がある!
それは死なねーことだ!何があっても生き残る!
どんなに恥辱に塗れようがどれだけ隊士が死んでいこうが・・・
君は生きにゃならねぇ!君がいる限り真選組は終わらないからだ!
僕たちはアンタにほれて真選組に入ったからだ!!」
土方さんが話している内に、何となく彼がいつもの調子に
戻っていく感じがした。
「バカのくせに難しい事考えてんじゃねぇよ
てめーはてめーらしく生きてりゃいいんだ。
俺達は何者からもそいつを護るだけだ・・・近藤さん。」
咥えたタバコに火をつけて 淡々と言ったその眼は
「あんたは真選組の魂だ、俺達はそれを護る剣なんだよ。」
紛れもなく普段の 鬼の副長の土方さんだった。
「・・・・・・戻ったのか?土方さん?」
「オゥ、マジで薄情な野郎だな
まぁテメェならそう言うと思ってたけどよ・・・」
「スマンね・・・ま、経過はともあれ剣が復活したわけだし・・・」
「一度折れた君に 何が護れると言うのだ」
大混戦を抜け出し、伊東を乗せた万斉のバイクが
線路沿いに沿って横から迫る。
「土方君!君とはどうあっても決着をつけねばならぬらしい。」
「伊東・・・・・・!!」
睨む俺とは真逆に、落ち着いた様子で土方さんは言う
「剣ならあるぜ?よく斬れる奴がよォ!」
両手に掴んだ妖刀を抜こうと・・・抜こうと・・・アレ?
どうやらこの期に及んで妖刀が抵抗しているらしい
全く往生際の悪い・・・
「何モタモタしてやがる。さっさと抜きやがれ。」
「黙りやがれ!俺はやる、俺は抜く!なせばなる!!
燃えろぉぉ!!俺の小宇宙!!
萌えろ・・・・いかんいかんいかんいかん!!!」
オイオイオイ、ドサクサ紛れてやべぇこと言ってね!?
「万事屋ぁぁぁぁぁ!!」
「何だ?」
「聞こえたぜ、てめーの腐れ説教!
偉そうにベラベラ語りやがってぇぇぇ!
テメーに一言言っておく!!」
力を入れたそのままで、土方さんは普段なら
有り得ない言葉を大音声で口走った
「ありがとよぉぉぉぉぉ!!!」
「・・・オイオイ、また妖刀に食われちまったらしい。
トッシーか?トッシーなのか?」
「やっぱ銀さんもそう思っ・・・まあそれはいい
どっちかはっきりしてもらわなきゃな、土方さん?」
「うるせぇテメェら!俺は・・・真選組副長・・・・・
土方十四郎だぁぁぁぁぁぁ!!!」
叫びと共に、鞘の間から刀身が光を放つ
「近藤の首をやりたくばこの俺を倒してからにしろ。
何人たりともここは通さねぇ、何人たりとも
俺達の魂は汚させねぇ!
俺は、近藤勲を護る最後の砦!真選組を護る最後の剣!
真選組副長!!土方十四郎だぁぁぁぁ!!!」
土方さんは刀を完全に抜き、啖呵をきった。
「自力で妖刀の呪いをねじ伏せた・・・・!?」
「ワリーなゴリラ そういうこった。残念ながら
てめーの依頼は受けられねぇ、なんぼ金積まれてもな。
あっちが先客だ。」
「・・・・・フッ、万事屋。仕事はここまでじゃなかったのか?」
「なぁに、延長料金はしっかり頂くぜ。」
銀さんは前のボンネットに乗って近藤さんの手を掴み
パトカーに跳び移させた。
逆側では伊東と土方さんが斬りかかる態勢を見せている
「土方ぁぁぁぁぁ!!!」
「伊東ぉぉぉぉぉ!!!」
刀が刹那ぶつかり合い、伊東の肩から血が吹き出たが
同時に乗っていたパトカーの車輪がはずれた。
「まずい!みんな車両に飛び込め、ぶつかるぞ!!」
「オイ!後ろ!!」
追いついたらしい切り離された列車の後続部分が迫り来る
このタイミングじゃパトカーに退避するヒマが・・・!
『ぎゃあぁぁぁぁぁ!!!』
間一髪、土方さんがパトカーと車両の間に・・・って
これもう間一髪どころか三途一歩手前だぞ!!
「おごぉぉぉ!ちょ・・・何してんだぁぁぁぁ!!」
息つく間も助けるヒマも無く敵の車が反対側から・・・
「チッ!神楽後ろ手伝え!新八ぃ!!」
「ハンドル言うことを聞けぇぇぇ!!」
「無免は無理するなっつの!脱出しろぉぉ!!」
神楽は土方さんを助けようと移動して
土方さんの上に乗・・・・って助ける気ゼロか!!
「トッシー!後は任せるネ!何も心配いらないネ!!」
「おかしい!何かおかしぃぃ!!」
「オイ危ねぇ後ろ!!」
刀を振りかぶっていた男へ神楽は振り向き様に
もぎ取った車両のドアをぶつけて撃退し
俺はもう一方の敵や近づく奴等に
パトリオットの連射を浴びせた。
「近藤さん、さっさとこっち来てくだせぇ。」
取られたドアの向こうには、血だらけの沖田君が
右腕を押さえつ笑っていた。
「ちぃと働き過ぎちまった。残業代出ますよねコレ?」
「総悟!」
「沖田君!?」
車内を良く見れば所々に斬られた隊士の姿が。
あれだけの数を、たった一人で・・・・・
「俺が・・・是が非でも勘定方に掛け合ってやる!」
「そいつはいいや、ついでにヤツの始末もお願いしまさぁ。
俺ぁちょいと疲れちまった。」
言いながら 不敵な笑みで沖田君は続ける
「土方さん、少しでも後れをとったら
俺があんたを殺しますぜ。
今度弱み見せたら次こそ副長の座、俺が頂きやすよ?」
「土方ここぉぉぉぉぉぉぉ!!」
さり気なく土方さんを足蹴にしながら。
「待ってくれ!トシを置いて俺だけ逃げろと言うのか!」
「モタモタしてんじゃねぇよ!」
「そうだ!今は逃げることを優せ・・・・って」
「「そこでもめんなぁぁぁぁ!!!」」
ヤバイヤバイ・・・うっかりスルーしてしまう所だった
・・・・・ナチュラルドS、恐るべし
「つーかテメェらなんで当たり前のように
人を橋のように扱ってんだ!!」
「今はいいから早く・・・・っ銀さん後ろ!!」
忠告も遅く、銀さんは急接近した万斉のバイクに
跳ねられ 地面に落ちてしまった。
「銀さんんんんん!!」
追い討ちを掛けるように先頭車両も近づいてくる。
「離れてた先頭車両が!」
「潰されるぅぅぅぅ!!」
行動を起こす時間など無く、車両同士の圧力が
パトカーをあっさりと潰した。
みんながどうなったかは・・・見えなかった。
「みんなぁぁぁぁ!!」
「を先に殺せ!
ヤツさえいなければあいつらは蜂の巣だ!!」
背後から、銃を構えた鬼兵隊と隊士が接近する
だが 俺には奴等なんて眼中に無かった。
「どけ・・・・今はお前らの相手をするほど・・・・・
暇じゃねぇんだよ!!」
啖呵と共にパトリオットとXM25を操って
敵を次々と撃ち抜いて行く。
「ぐわぁぁぁぁ!!」
「ダメだ!
やっぱりアイツは強過ぎ・・・・ぎゃぁぁぁ!!」
「うおるあぁぁぁぁ!!!」
機銃掃射を食らわせるが、上空からヘリが飛んでくる
クソッどれだけいるんだ・・・・・
ここまで戦力があったなんて・・・・・
毒づく内にヘリから浪士が機関銃でこちらを撃ってきた。
バイクが自動的に回避行動を取ってくれたおかげで
紙一重で避けることが出来たが・・・・・
次撃ってきたら無傷じゃすまない・・・・・・
「チッなんて奴だ!だが次は避けれまい!!」
俺が照準を定める前に、浪士が機関銃の引き金に
指をかける・・・マズい このままじゃ・・・っ
「死ねぇぇぇ!」
勝ち誇ったような声が聞こえた、まさに次の瞬間
ヘリのエンジン部から火が吹き出し 爆発した。
「何っ・・・一体誰が・・・・・」
思わず空を見上げると・・・・・・
ソ連のフライングプラットフォームが飛んできた。
・・・一体 誰が乗っているんだ?
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後書き(退助様サイド)
退助「さてさてそろそろ決着がつこうとしております。」
銀時「この話あんま好きじゃねぇんだよなー
俺主人公なのにあんま目立たないから」
新八「仕方がないでしょ土方さん達の話なんですし
てかそれ主人公にあるまじき暴言!!」
神楽「それより何アルか最後のフラ・・・・何だっけ?」
退助「フライングプラットフォーム、ソ連が開発した
警備用のホバリングする乗り物のこと。
ロケットエンジンを使っていてUFOとまではいかないけど
空中浮遊が出来るってもんだ。」
新八「へえ、そんなものもあるんですね。」
退助「まあ戦争の産物だから
褒められたもんじゃないんだけどね・・・・」
銀時「で誰だよヘリ撃ち落した野郎は?
何処のシティーハンターですかコノヤロー。」
神楽「違うネ銀ちゃん、ゴルゴ17アル!
精密すぎる射的で落としたアルよ!!」
新八「どっちも違うから!!」
トッシー「はい!意外な所でドモン氏では?
生身の身体でモビルスーツと戦えるしガーッと!!」
退助「エンジン炎上どころかヘリ真っ二つになるわ!!」