一旦家へ戻った俺は装備を整えつつに告げる。







、地下のシェルターに入っててくれ
・・・恐らく伊東派の連中がここに来る可能性がある。」


「分かったわ、気をつけて。」


「ああ。」







頷き、がシェルターに入りかけた瞬間
サイレンの音がけたたましく鳴り響く。





「・・・・・・遅かったか。」







伊東の奴・・・・手回しの早い・・・・







荒々しい足音が周囲を包み、間を置かず怒鳴り声が聞こえた





!大人しく出て来い!!」





そう言って出るアホは今時ガキでもいねぇよ!







絶対生きて帰って来て・・・!」


「ああ!絶対にな!」







誓い、俺とはしばらくキスを交わす。







時間にすればほんの僅かのそれが 少し長く感じた。







終わる頃に奴等の声が耳へと届く





「返事がないな・・・なら女の方を先に捕らえるぞ!」


「確かスナックから帰った後 真っ直ぐここに
帰宅したはずだ!人質に取って奴をおびき出せ!!







こいつら・・・もう真選組隊士としての志はもうないか・・・
人質など捕ろうとは・・・







早く!ここなら核ミサイルの直撃でも開かない!」





小声で言うと俺はをシェルターへと押し込んで
厳重にシェルターの入り口へロックを掛けた。







間一髪のタイミングで、玄関が爆破され


そこからワラワラと隊士達が侵入してきた。







がいたか!ちょうどいい!!やれ!!」





刀を抜き放ち、隊士が一斉に斬りかかってくる。


・・・仕方ない、少し付き合ってやるか





「ほれ。」





俺は取り出したグレネードの安ピンを外し
無造作に奴等の真っ只中へと放り投げる。





「え?うわわわわわ!爆弾だぁぁ!!


「おいおいおいおい!早く捨てろよぉぉぉ!!」







蜂の巣をつついた様な慌てぶりを見せ、グレネードの
リレーが行われ始めた所で


煙が勢い良く噴射し 奴等の視界と平常心を奪った。







『どわぁぁぁぁぁぁぁ!?』


「馬鹿め、それはスモークグレネードだよ。」





こっそり呟くと、Mk.Uと幾つかの装備品を持って
素早く裏口から抜け出し バイクにまたがった。











第三話 短所の方が長所より目立つ











伊東の事だ、ハリアーの方にも手の者を
向かわせているに違いない。


攻撃には不利でもバイクで列車を追うしかない・・・





Mk.Uからの通信が唐突に繋がり、オタコンが叫ぶ





『ジャック!』


「うぉっ、オタコンか ビビった・・・」


『緊急の用みたいだからね、ちょうど良かった
このMk.Uをバイクのくぼみにつけるんだ!』


「何があるんだ?」


『Mk.Uにエヴァの運転パターンが組み込んである!
それを使えば自動運転が可能だ!』


「・・・なるほど、それなら運転中でも攻撃が可能ってわけか。
ありがとうオタコン!」





くぼみにMk.Uを取り付け、すぐさまアクセル全快で
バイクを走らせた。







市街を抜けて線路際へと向かう最中


正面にパトカーが立ちはだかる





ここまで手が回っているとはな・・・







「絶対を伊東さんの乗る列車に向かわせるな!
ここで食い止めろ!!


「邪魔だぁぁぁぁ!!」





咄嗟に手近な段差を利用し、パトカーの群れを飛び越した。







後からの追跡を防ぐ為、催眠グレネードも投げ込む


・・・これでしばらくは追っては来れまい。









手持ちの装備はいつもの拳銃にパトリオット
そして最新の携行式グレネードランチャー『XM25』


これは走行中でも扱えて、火力もある優れものだ。









『ジャック、真選組の周波数をキャッチしたよ。』


「真選組の?繋いでくれ。」


『待ってて、ちょっと調整しなきゃ。』







画面のオタコンがキーを操り、Mk.Uを通して
ノイズ混じりの声が聞こえてきた。







『・・・あ・・・も・・・・〜し、聞こえますか税金泥棒。』





銀さん!?何で真選組の無線に!?





『伊東派だかマヨネーズ派だかしらねーが、全ての税金泥棒に告ぐ
今すぐ持ち場を離れ近藤の乗った列車を追え。
もたもたしてたらてめーらの大将首取られちゃうよ〜。


こいつは命令だ、背いた奴には士道不覚悟で切腹してもらいま〜す』





『いたずらか!!てめぇ誰だ!!!』


『てめっ、誰に口聞いてんだ・・・・・誰だと?
真選組副長!土方十四郎だコノヤロー!!





銀さんのその叫びを最後に 無線が切れた。







画面越しで、オタコンがえらく呆気に取られた顔をしている





『銀さんって言ったっけ。何でこんなことを・・・』


「多分、近藤さんを助けに行くつもりなんだろ。
土方さんは戦意喪失してるし・・・
今近藤さんを救えるのは 俺達以外にいない。


『だとしても、彼には何のメリットもないはずだよ。
こっちはシュルツの事を聞き出さなきゃいけないわけだけど・・・』







首を横に振り 俺はオタコンに向けて語りかける







「理屈じゃないんだよオタコン。
あいつらは 損得で動く奴らじゃない。


『そうか・・・・そろそろ列車に追いつくから
プログラムを起動しておくよ。』


「ああ。」





"自動操縦"のナビゲーションが聞こえたと同時に
パトリオットを構える。


両手を離していても、勝手にハンドルは動き
疾走している列車に追いついてゆく・・・順調だな。







地響きにも似た爆音が後ろから迫り


振り返る俺の目に、遠くから近づく大量の車両が見えた。







あいつら・・・伊東と内通していた鬼兵隊か・・・!







徐々に距離を詰める車両に向け、威嚇の為に銃口を構え







発射する前に 突然後ろの車両が爆発した。





「なっ!?」







連続する爆発の元を辿ると、こちらに向かってくる
ボロボロのパトカーが一台





段々と肉眼で分かる所まで近寄ったそこには


真撰組の制服に身を包んだ、見慣れた連中がいた。





「御用改めでアルぅぅぅぅぅ!!」


「てめぇら!!神妙にお縄ににつきやがれ!!!」






ボンネットに いる筈の無い
普段通りの土方さんを乗せた万事屋トリオ







よぉ隊士でもねぇのに一番乗りかよコラァ!」


「アンタが言うか、こっちにも色々事情があんだよ!
てーかへたれを克服したのか土方さ」





呼びかけに顔を向けた刹那、土方さんは
顔面から木にぶつかって倒れた。うわ痛そ・・・・





てめぇぇぇ!少しの間かっこつけてられねーのか!!」


「無理無理僕には無理だよ怖いぃぃぃぃ!!」


「仲間の士気を高めるには副長健在の姿を見せなきゃ
ダメだっつーんだよ!!ふざけんな!!
人を殴るときだけ復活してすぐ元に戻りやがって!!!」


おいぃぃぃ!一体何の話だよ!!
そもそもバズーカでケツぶっ叩かれてる時点で健在じゃねぇ!!」







言ってる合間にも銃でこちらを狙う車両が見えて





「危ない!伏せろ!!」





俺はXM25を撃ち、即座に車両を爆破した。







さん!ハンドル握って下さいハンドルぅぅぅ!!」


「大丈夫だ!自動運転にしてあ・・・・
っておい!!また新八君が運転してんのかよ!?


「んだよ、こちとら真選組のピンチなんだぜ
無免許もクソも・・・」


「「関係あるわぁぁぁぁぁ!!」」







背後からの敵の攻撃がこれを契機に激しくなり





俺は銀さん達に当たらないようパトリオットを駆使し
狙ってくる敵を返り討ちにする。







江戸に来てから殺生はしてこなかったが・・・・


近藤さんには悪いが、隊士も殺させてもらう







「近藤さんは!近藤さんは一体何処ですかぁ!!」


アレアル!離れた位置を走るあの車両!!
敵がみーんなあそこへ向かってるネ!!」


「だそうだ土方氏、後は自分で何とかしろ!」





銀さんはそう言うとトッシーをためらい無く
突き飛ばし・・・・・って何をしてるんだおいぃぃ!!





ちょっと待ってよ坂田氏ぃぃぃ!!
こんなところで拙者一人置いていくつもりかぁぁ!!



さながらナメック星にヤムチャ氏を一人送り込み
宇宙の命運を託すがごとき暴挙だよぉ!!」


「大丈夫だお前はべジータだ、やれば出来る!」


「坂田氏ぃぃぃ!!」


「それベジータでもダメだろぉぉぉ!!」





しがみ付くトッシーを蹴落とそうとする銀さんに
ツッコんでいると、サイレン鳴らしてパトカー数台が近づく。







敵の増援かと身構えたが・・・攻撃してくる気配がない。







隣についたパトカーの窓が開いて


見えたのは普段土方さんと一緒にいた隊士、原田だった





副長ぉぉぉぉ!副長が無事だったぞぉぉぉぉ!!」


「「無事じゃねぇだろこれどうみてもぉぉぉ!!!」」


「ようやく来やがったか。もうお守りはたくさんだ。
さっさとこいつ引き取ってくんな。」





銀さんはそう言うと何かメモのようなものを出した。





「散々迷惑かけたんだ、ギャラの方は幕府からこの口座に入れt」


伊東の野郎ぉぉ!ついに本性を表しやがったか!!
だが副長が戻ってきたからにはもう大丈夫だぜみんな!!」


「おいちょっと聞いてる?ギャラはこの口座に「副長!
敵は俺達が相手します、その隙に局長を救い出してください!!」



「聞けお前らぁぁぁぁ!てめーらの副長おかしな事に
なってんだよ!!きけハゲぇぇぇぇぇ!!!」








銀さんの言葉を敢えて無視し、原田達は我先へと
後ろの鬼兵隊達に向かっていってしまった。







「んなことより近藤さんの救出が先だ。行くぞ!





俺達も近藤さんが乗っているであろう車両の後ろにつく。









「あそこ!!あそこに人がいます!!」


「本当か新八君!
だがまだ油断できないぞ、敵の罠の可能性がある。」


「そうか〜、じゃあ一発かましておくか。」





沖田君のように、銀さんがバズーカを構える







「っていやまだ敵と決まったわけじゃ・・・」







ふと、車両の扉の窓から泣きじゃくる近藤さんの姿が見え





「待て銀さん撃つな!!あれはこんど」





制止を呼びかけるが・・・時既に遅し
銀さんは盛大にバズーカをぶっ放していた。







車両のドアが景気よく吹き飛んだ







「遅かったか・・・あそこにいたの近藤さんだぞ。」


「マジでか。おーい!生きてるかー!!」


「ダメネ、ゴリラの死体が一体転がってるだけネ。」


「何すんだてめぇらぁぁぁ!!」


「あ、いた。よかった生きてて
おーいお前殺されそうになってるらしいね一丁前に」


「今殺されそうになったよ!たった今!!」





涙目交じりに噛み付いて来た近藤さんが、トッシーと
成り果てた土方さんに気付いた。





「お前らまさか・・・トシをここまで・・・
有り得なくね?お前ら俺達の肩を・・・」


「遺言でな、コイツの。」


「遺言?」


「妖刀に魂食われちまった。今のコイツは
ただのヘタレたオタク もう戻ってくる事もあるめぇ。」


妖刀!?まさかとは思ったが・・・
しかし、そんなものが実在するわけが・・・」


「事実みたいですさん、鉄子さんが言っていたので」







鉄子がか・・・・確かに彼女なら刀のことに
詳しいから、間違いないだろうな・・・・・







「それならそんな状態でトシはお前らに何を頼んだんだ!?」


「・・・真選組、護ってくれってよ。」







その台詞は、奇しくも山崎君と同じだった。







「面倒だったからここまで連れてきた次第さ。
俺達の仕事はここまでだ ギャラはてめーに振り込んでもらうぜ?」


「俺は伊東に用がある・・・出来る限り協力しよう、近藤さん!」







けれど近藤さんは、首をゆっくりと横に振った







「・・・・・振り込むさ、俺の貯金全部。
それに君もここまでやってくれただけで充分さ
・・・・ありがとう。」





近藤さん・・・・・何を言っているんだ・・・・







「だが万事屋、俺もお前らに依頼がある。」







近藤さんは悲しげな目で とんでもないことを口にした。





「これも遺言だと思ってくれていい
・・・トシ連れてこのまま逃げてくれ。」









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後書き(退助様サイド)


退助「さてさていいところで切り上げた感じなので
順調に進んで・・・」


銀時「いねーよ、どれだけ制作期間に
幅出来てると思ってんだ?あぁ?


新八「だからこれアップする時と関係ないですって!!」


神楽「芙蓉篇でもいちゃこいてたくせに
ここでもアルか・・・・・・ウゼーよバカップルが」


新八「神楽ちゃんまた荒んでるよ・・・・」


退助「だってハリウッドで結構あるでしょこのシーン・・・・
けど近藤さんの遺言場面はホント、いっつも
お妙さんに見せたいよねー絶対惚れ直すって思うんだ。」


近藤「本当だよ!本誌でも数少ない俺の名シーンだもん!
何でお妙さんを連れてこなかったんだよ万事屋!!」


新八「ワガママ言えた立場かぁぁぁ!
ていうかあんたも余計なこと言わないでくんない!?」



退助「え〜、でも結構これ言われてるよ。
俺だけでなくここの管理人もそう思ってるみたいだしー」


オタコン「にしても、あのバイクがやっと重宝したね。」


退助「いつかはバイクのカーチェイスをやろうかと
思っていたんだけどね・・・肝心のエヴァがいないとなると
こうするしかなかったんだよ」


新八「さらっと裏事情しゃべっちゃったよ・・・」