TVでのあの一騒動の後、俺は万事屋にいた。





どうやら新八君がドサクサのうちに土方さんを
万事屋まで連れて戻ってきたらしく


銀さんに彼の事を相談したいからと、呼ばれたのだ。





頼まれたからっていうのもあるが それとは
別に土方さんが心配だったからやって来た。







しかし、そこにいたのは戸惑った様子の万事屋トリオと
土方さんらしからぬ格好をしたオタク。







「あの・・・え?おたく・・・・土方さんですよね?」


「何を言っているんだ坂田氏?」


「坂田氏!?」





なんつう呼び方だよ・・・・これなら
あのブラコンの方がよっぽどマシだろ







彼はソファに座したまま、座っている俺達に
懐から出した警察手帳を披露しながら言う。





「この通り、真選組 土方十四郎でござる。」


「「ござる!?」」


「あ・・・氏。」


「やめてくんない?その呼び方。」


何処かで聞いた声でござるな・・・・・
ちょっとサングラス掛けてこれ言ってみて。」





おもむろに土方さんがグラサンとメモ用紙を渡してくる。







・・・・・ホントにこれ言えってか・・・・・・・





眉をしかめるも、期待に満ちた目で待たれていたので
仕方なくグラサンを掛けてその台詞を言ってみた。







「・・・・月は・・・・出ているか・・・?」


「ああ・・・・完成度高いでござるな・・・・」


「おい、俺に何言わせた?」


「その台詞はガ○ダムXのジャミル氏の台詞でござる。」


あれか!?あの台詞言わせたのかよおい!!」


「知ってるんですかさん・・・・・」


「何その眼差し!?やめてくんない新八君!
俺はいたって普通の範疇だから!!」






引きつる俺をよそに、土方さんは嬉しそうに語りだす。





ガ○ダムだけでもたくさんあるでござるな・・・
他にも・・・・ブリーチの天貝隊長もそうだし・・・・
NARUTOの2代目火影でもあるし・・・・」


「それ以上はやめてくれ、きりがない・・・・」


あ、神楽氏。その中華服・・・さては魔法少女
中華なパパイヤのコスプレでござるな!
完成度高いでござるな・・・・ちょっと写真とらせて。」







どこからか出したカメラを構える土方さんに対し
神楽は、照れた顔をして撮影されていた。







「何で照れてるの・・・おい、こりゃどういうことだよ・・・」


「信じられないですけど・・・本物みたいです・・・・」





ホントに信じられんな、あの土方さんがここまで落ちるとは・・・


ワキャワキャ騒いじゃってまあ、鬼の副長がただのオタクに
なるなんて真撰組の人達はどう思・・・・ってあれ?







沸き上がった疑問を口にしたのは 俺ではなく新八君。





「あの・・・・土方さん。」


「何だい志村氏?」


「あの・・・真選組はどうしたんですか?
昼間からこんな所にぷら付いて・・・」


仕事?ああ・・・真選組ならクビになったでござる。」


「「ええええええ!!!!真選組やめたの!?」」





俺と新八君は同時に叫んだ。何で土方さんがクビに!?











第二話 オタクは話し好きだが人の話は聞かない











「んーまあつまらない人間関係とか
いやになっちゃってね〜危険な仕事だし・・・」





人間関係は確かによ〜く分かるが・・・・


じゃあ何で危険な仕事を選んだんだよ・・・・





「大体僕に向いてなかったんだよね〜
元々僕 第一志望アニメ声優だったし・・・」


そうなの!?そうだったの!?」


「まあ今は働かないで生きていける手段を
考えているところかな〜、働いたら負けだと思ってる。」


「ニートだ!ニートの考え方だ!!」





余りにもアレ過ぎる言い草に 俺はやんわり説得にかかる。





「おい土方さん、働かなかったら生きていけないぞ。
働かざるもの食うべからずって日本の諺にもあるだろ?」


氏の国は確か自由の国って言われてるんだよね?
連れてってくれない?働かない自由を求めたいなあって。」


「んな自由ねえよ!!!」


「ええ〜、でも君らニートみたいなもんだろ?
なら大丈夫じゃ・・・」


誰がニートだ!!一緒にすんじゃねええええ!!!」







銀さんがそう叫んでいる中、俺は無線でに連絡を入れた







「・・・おい、ハリアー出してくれ
強大すぎる敵が俺の目の前に一匹いるから。」


「おいいいい!流石に戦闘機だしたら駄目!!
万事屋ごと吹き飛ばす気ですかコノヤロー!!」








土方さん・・・いやもうさん付けで呼ぶのも忌々しいので
トッシーとしとこう 心の中でだけだが





とにかくトッシーはやたら目をキラキラさせて
テーブルの向こうから身を乗り出す。







ハリアーって戦闘機でござるか!?
ちょっと乗せてくれないかな氏ぃぃぃ!!」


「誰が乗せるか!!!」


「あ、話変わるんだけど。
どうかな皆、僕とサークルやらないか?
ToL○VEるの同人本書いてるんだ。」





言いながらソファに着席しつつ本を出すトッシー。


つーか変わり過ぎだろうが 話飛びす・・・ってうわ





「坂田氏はジャンプ詳しいだろ?どうだい?
夏コミで荒稼ぎしないか?」


「「売れるかぁぁぁぁぁ!ガキの落書きじゃあねーか!!」」





俺と銀さんの魂からのツッコミが炸裂した。







これはひどい的なシロモノ 例え無料配布であっても
持っていかねーよ!少なくとも俺は絶対ヤダ!!







「まいったな〜貯金をほとんどフィギュアで使っちゃってね〜
もう刀でも売るしかないな。」


最低なんですけどこの人!
フィギュアのために侍の魂売ろうとしてるんですけど!!」





一度売り払われたのは見たことあるけどね・・・・・







構う事無くトッシーはため息混じりにこう続ける







「実はもう何度も売ろうとしてるんだけど、何か
どうしても手放せないんだよね〜。


店の人も妖刀とか言ってたんだけど・・・」





トッシーが俺達に刀を掲げてみせる。







妖刀?ただの刀にしかみえないが・・・







「あ!!ひょっとしてある朝目覚めたら妖刀が
美少女に変わってて僕の隣で寝てたりして・・・
やっべ、萌えてきたんですけど。」





気色の悪い笑みを浮かべて刀の鞘に頬ずりする
トッシーを眺めて 思ったことは一つ







・・・ダメだこいつ、早く何とかしないと。







「銀さん、やっぱりハリアー呼んでいいか?
万事屋の修理費は全部俺が持つから」


「それなら話は別だぜ遠慮なくやってくれ。


「ちょっと二人とも落ち着いて!!」









妖刀うんぬんはさて置き 最近に起こった何かが
土方さんをトッシーへと変貌させた事は明らかだ。







そう言えば、あの伊東って奴が真選組に来てから
こうなったんだよな・・・・





この奇妙な符合 何か裏がありそうだ・・・・







「じゃあ俺達は鉄子にこいつの刀見せに行くから」


「分かった、俺は屯所の方へ探りを入れに行く」


「気をつけてくださいねさん。」







とりあえず俺は銀さん達とは別行動を取ることになり
真選組屯所へ侵入を開始した。













「何か、今日はいつにも増して警備が薄いな・・・」







違和感を感じつつも密書のある部屋にたどり着くと





ある一枚の資料に目が留まった。







うん?何だこれ?真選組隊士の募り?
・・・江戸を出るのは今日か」







色々と危険な仕事でもあるし、土方さんが抜けたばかりだ


人員補充に奔走しているから人が少ないのか





・・・にしても無用心すぎやしないか?









訝しがりつつ、他に何か無いか一応探してみる







すると違う資料に目が留ま・・・・・・何!?





「こ・・・近藤勲暗殺計画!?





何で近藤さんを暗殺する計画が屯所にあるんだよ!?







攘夷浪士の持っていた押収品を証拠物件で
保管したとかじゃなさそうだな・・・・







まじまじとその書類へ目を通していた俺は





署名されたある人物の名前に 今度こそ驚愕した。







「う・・・嘘だろ・・・何で
シュルツの名前があるんだ・・・・!









遠くで物音が聞こえ、咄嗟にダンボールを被り隠れる。







「どうだ!」


「駄目だ!逃げられた!」


「今伊東さんの策略を土方に知られるのはまずい!
絶対山崎を生きて屯所から出すな!







や・・・山崎君を・・!?一体どうなってるんだ!?





しばらく潜んでいる内に、隊士たちが外に出る音が聞こえた。







ただならぬ何かが起こっているのは間違いない







俺はすぐに屯所から出て、後ろから様子を見ることにした。











庭の辺りで 見覚えのある男が佇んでいる・・・


あれは・・・・つんぽ!?
何で音楽プロデューサーがこんな場所にいるんだ!





混乱する思考をどうにか押さえ、様子を見るべく
茂みに隠れ、集音マイクで話を聞き取る。









「き・・・貴様・・・敵と内通していたか・・!」







地べたに倒れ付した山崎君が つんぽの
向こうにいる伊東を睨みつける。







「山崎君、君らみたいに斬り合いでは世の中は変わらん。
いくら剣を振るったところで犯罪は殲滅できない。


もっと言えば彼らがいなければ我々警察も
必要なくなってしまうことも忘れてはいけない。」





その薄ら笑いを見て、全ての事に合点がいった。







あの野郎・・・攘夷浪士と共に造反を起こし 近藤さんを
殺して真撰組を則る為に 土方さんを追い出したのか!







「僕らはもっと互いにうまく付き合っていけるはずなんだ
双方の利潤を満たし、均衡を保つためのパートナーとして。


君の上司のようなやり方では真選組はこれ以上強くならん
僕の手によって真選組は生まれ変わるのだ。」





犯罪者とパートナーだと?ふざけやがって・・・・







いつ斬りにかかるか頃合いを見計らう。





その動きを見せた時が テメェの最後だ・・・!







「もっと強く・・・もっと大きく、そうして
この伊東鴨太郎が器を天下に示すための方舟になってもらう。」





謳うように言いながら、伊東が動く


合わせて銃を構えたが 山崎君が這いずったので
慌てて俺は動きを止めた。







「やりたきゃやれよ・・・・だが一つ言っておく・・・
あんたがどれ程の器の持ち主なのかなんて
学のない俺らには分からんよ・・・


でも、士道も節操も持ち合わせてない
空っぽの器になんて・・・誰にもついていかんよ。







這いずった後が出来るように血がついている


まさか・・・刀で刺されていたのか!?







「俺は・・・・あの人たちに
ついていかせてもらうわ・・・・最後まで・・・」



「フフ・・・死ぬ最後の時まで奴に報せようと前進する
それが監察である君の士道だと・・・」





せせら笑うメガネの奥の目は、陰険に光っていた。







頃合いを見計らうだのまだるっこしい事を
言った俺がバカだった・・・


もう我慢ならねえ、こっちから斬りにかかってやる!!









「万斉殿、後は頼む。」





端的につんぽへ命令し、その場を去ろうとする伊東へ







「させるかぁぁぁぁぁぁ!!」





持ち替えたレーザーブレードで斬りに掛かる


・・・が、万斉に刀で止められた。







「や、奴は・・・!?」


!?」







取り巻いていた伊東派の連中がうろたえる。







「・・・・まだ生きていたなんてね・・・全く
犯罪者だけあって、アイツらも役に立たない連中だ。」


何?どういうことだ!!」





伊東は落ち着き払った笑みで 俺へと告げる。





「君は浪士の強硬派に賞金首になっているだろ?
それを出したのは他でもない・・・この僕なのさ。」







懸賞金をかけたのは、こいつだったのか・・・!







「君はアメリカの密偵として
ここに送り込まれたんだろ?奴から話は聞いている。」


「・・・シュルツのことか・・・・アイツなら
とっくに俺がとっ捕まえたぜ?」


「へえ、意外に間抜けだったのだな・・・」


「お前ほどじゃないさ、屯所の密書
あっけなく覗かれる位だからな。」





嫌味交じりに返すも 奴に動揺は見られない。







「もうあのような紙切れに意味はないからね。
・・・近藤暗殺はもう決まったようなものだ。







たしかに近藤さんは人が良すぎるから
こいつの策略も読めないだろうな・・・・







「ではそろそろ行かせてもらう。山崎君、君には
攘夷浪士と戦い討ち死にした名誉の殉職を与えよう。」


「待ちやがれ伊東!!」





その背に追い縋る前に 再び万斉が立ちはだかる。





「良かったな、君らの大好きな士道とやらが通せるんだ
上司達にもしっかり伝えておいてやろう。


いや、必要ないか・・・奴らもすぐに
君らの所へいく事になるのだから。」


「待ちやがれ伊東ぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」







叫びも空しく伊東共は見えなくなっていった。









後に残るは倒れ伏した山崎君と、対峙する万斉







どきやがれ・・・・
あいつをたたっ斬らないと気が済まねえ・・・!」


殿 主とこのような対面をしてしまうとはな・・・」


「どけって言ってるのが聞こえないのか・・・・・
ヘッドホン外せ それとも外させてやろうか?





息を吐き、万斉が首を横に振りながら地を駆けると


刀を山崎君の側に突き立ててから 呟く。





「聞こえてるでござる・・・・
主には借りがあるから斬りはしないでござる。」


「なめてるのかテメエは・・・・!!」







不意を突かれたせいか刀を突き立てた動きは
読めなかったが・・・





もしおかしな真似をしたら、額を撃ち抜けるよう
構えながら奴の一挙一動へ注意を払う。







「心配せずとも 主やこの男に危害は加えん
それに・・・気が変わったでござる。


「何・・・?」


「主らの歌、も少し聞きたくなった。」







奴は刀を引き抜いて鞘に収め、ここから
立ち去る素振りを見せる。







「生きてその続きを聞かせてくれる日を
楽しみにしているでござる。」









俺達に目もくれず歩き出す万斉を少し追い





俺は 山崎君が聞こえない位の声で言葉を放つ。







「万斉・・・お通ちゃんに何かあったら
貴様を殺しにいくからな・・・・!」


心配ござらん、こちらも表の顔は気に入っている
仕事を失くすような事はしないでござる。」





この言葉は、恐らく本当だろう


でなければあの騒動の時 あそこでワザワザ
俺の前に出て来る必要がないからな。









万斉の姿が消えたのを確認し、山崎君の側へ寄る。





山崎君!大丈夫か!?」


「だ・・・・旦那・・・なんでここに・・・・?」


「しゃべるな!待ってろ今止血して・・・」





応急処置の合間にも山崎君はたどたどしく訴える





「旦那・・・・このことを・・・土方さんに・・・・」


「分かった、必ず伝える。だから今はじゃべるな。」







そして、応急処置が終わり病院へと運んだ。







手術室に運ばれながら 山崎君は俺を見つめて言う





の旦那・・・真選組を・・・・
俺たちの真選組を・・・・護って・・・ください・・・


「・・・分かった、俺がなんとかしてやる。」







弱々しい微笑みを最後に部屋の扉が閉じられ
手術室のランプが煌々と灯る。







行くとするか・・・山崎君の約束を護るために・・・!







俺はそのまま振り向かず、装備とハリアーの用意を
するために家へと向かった。








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後書き(退助様サイド)


退助「さあ二話目からいきなりクライマックス!?
盛り上がってまいりました動乱篇。」


新八「若干すっ飛ばし気味じゃないですか?」


銀時「ていうかの中の人って色々やってんだな。
ブリーチとかNARUTOとかいい役じゃねーか」


退助「そうそう、銀魂でも星吐きの役をしていたしね。」


新八「いやそれ内部認定だよね中の人は!!


しかしホント・・・銀魂に出てくる声優って
ガ○ダムパイロット多いですよね、敵味方関わらず僕含めて」


銀時「ふざけんなよ!俺ちょい役でしか出てねーよ!!」


神楽「私だって出たのは最近ネ!!」


退助「いいじゃん!ガ○ダム乗れたんだから!!」


山崎「俺にいたってはガ○ダムにも
出てないじゃないですか!!」


退助「ああ・・・やっぱりそうか・・・」


山崎「何だよやっぱりって!
もうこのネタ止めろよ 読者ついて来れなくなるし!!」



トッシー「いや〜僕も結構出てたんだ。ちょっちビックリ」


退助「自分から振っといて知らんのかよ・・・
てかアンタ最近ナレーションとかもやってるし出番多くね?」


トッシー「近藤氏や沖田氏もそうだったんだな・・・
ちょっと言わせてみようっと。」


退助「人の話マヂで聞いてないし・・・ああ沖田君には
気をつけた方がいいよ、目が据わったら腹突き来るし。


新八「最後までガ○ダムネタっすか・・・」