新しく仕入れたサブマシンガン「MP5SD」の
試し撃ちをする為、俺はある場所へと向かっていた。
「威力によってCQCとの組み込み方も色々
考えなくてはな・・・うん?」
路地の向こうから、刀を持った連中が現れる。
奴ら・・・・攘夷浪士か・・・・
「殿とお見受けした。」
「だから何だ?」
「天人に魂を売り、我らを滅ぼそうと企てる売国奴め!
我ら攘夷の剣が天誅を下さん!!」
叫んだ一人に続き、連中は一斉に刀を引き抜いた。
まったく・・・いつまで俺に付きまとう気だよ。
そんなに俺の懸賞金が高値なのか?
相手にするのも面倒臭いし、新開発の
催眠グレネードで眠ってもらおう・・・
と思い 動き出そうとした直前に
「おい!」
浪士の後ろから声が聞こえ、次の瞬間
群れだった浪士達があっけなく斬られていく。
早い・・・こんなこと出来る奴がいたか・・・・!?
ほどなく辺りに連中の屍が倒れ付し、静まり返った
そこに見慣れた制服が見えた
・・・だが、そいつには全く見覚えがなかった。
第一話 掟は破るモンと豪語する奴に限ってビビリ
「強い・・・・・・」
「怪我はないか?」
「あ、ああ おかげさまでな・・・・・
だが殺すほどでもなかったんじゃ?」
「あのままなら君は斬られるところだったのだぞ?
もう少し感謝してもらいたいものだね。」
何だこの鼻につく奴は・・・・・
「では私は急いで・・・・・うん?」
「すいまっせぇぇぇぇぇん!!!」
遠くから聞こえてきた男の悲鳴に俺達は顔を向ける。
今のは・・・間違いなく土方さんの悲鳴だ
一体何があったんだ?
俺とこの男は同時に声のする方向へ駆けつける。
別の路地で見えたのは浪士に囲まれている土方さんの姿。
しかもあろうことか土戸座して・・・・
つーか何で浪士相手にあの人が土戸座してんだ!?
「土方さ・・・」
駆け寄ろうとした俺を、男はあくまで
落ち着いた所作で押し留める
「待て、身内の不祥事は身内で始末をつける。
君は手を出すな。」
「何?」
「まあ見てろ・・・おい!」
男はまたあの早業で、あっさり浪士を斬り捨てた
言動は一々気に入らないが、腕前はホントに強いな・・・
真選組でもこんな奴・・・・・
そう言えばこの男、土方さんを"身内"っつってたよな?
まさかこの男も真選組か?
男は刀を鞘に納め 這いつくばっている土方さんを見下ろす。
「こんなところで何をしているのだ?土方君?」
「てめえは・・・・・!?」
「土方さん!!大丈夫か!?」
「!?てめえにまで見られてたとはな・・・・」
「ちょうどいい、屯所まで運んでくれないか?君、名前は?」
「・・・だ・・・」
「ではさん。お願いします。」
急に礼儀正しくなりやがって・・・・こいつ
中身は相当の役者だな
俺はこの男―伊東鴨太郎に不穏なモノを感じた。
今思えば これこそが"虫の知らせ"って奴だったかもしれない。
けれどそこでは特に互いの追求はせず、屯所に
土方さんを送った後 俺は屯所を後にした。
それから数日、俺はオタクの聖地と呼ばれる街
「NEO秋葉」に来ていた。
ジョニーがよく通う場所らしいが
当人と接触した事は今の所無い
・・・・唐突の場面転換のワケは、何でもが
『プリ○ュアのDVD予約してきてくれない?』
と頼まれたので現地の店に予約しに行く事になった為
まあ日本のアニメーションは非常にクオリティが高いから
俺も嫌いじゃないし、「ガ○ダムSEEDデスティニー」の
BOXを買いに行くついでだと思えば・・・
目当ての店の近くで 俺は足を止めた。
な・・・何で土方さんがこんな所に!?
あの人のキャラ的に絶対来ないだろこの場所は!!
ってか食いつくように何かを見ているようだが・・・
「何してんだ土方さん?」
「うお!?っ・・・か・・・・何だ?
こんなところで?」
「俺が聞きたいよそれは、仕事ほっぽり出して
こんなところで何を見て・・・う゛」
そちらへ目をやると彼の見ていたショーウィンドウには
「ともえ5000等身大フィギュア」と書いてある札と
気持ち悪いくらいデカイフィギュアがあった。
「ま・・・・まさか土方さん・・・・」
「な、なわけねえだろ!?こちとら鬼の副長だぜ?
俺がそんなもんに・・・・」
「だ、だよな!そうだよな!!じゃあこれで・・・・」
気まずくなり、そそくさとその場を退散する。
しばらく経ってから後ろの方で
「トモエちゃぁぁぁぁん!!」
と叫ぶひじか・・・・・・なわけないよな、聞き間違いか・・・
自分を納得させつつ、とっとと買い物を済ませ
早い所自宅へ帰ることにした。
疑惑の日から数日、と共にTVのある番組を見ていた。
『引きこもり問題、ニート問題、確実に増え続ける無気力な若者たち。
それの予備軍と呼ばれるオタクと呼ばれる存在
今日集まってもらったのはオタクを自称する100人。
彼らは何を思い内なる世界に引きこもるのか・・・
オタクサミット・朝まで生討論の始まりです。』
・・・うん、ツッコまないからな何にも
「、新八君どこにいるのかしら?」
「え〜っと・・・・あ、映ったぞ。」
鉢巻にハッピを着た"寺門通親衛隊"スタイルで
佇んでいる真剣な顔の新八君が 画面の中にいた。
この番組を見る事になったそもそものきっかけは
彼に「この番組を見てください。」と強く頼まれたからだ。
一体何を思ってこの番組を見せたかったんだと
思いつつ、チャンネルを合わせたんだが・・・
自分が映っているから見てくれって話だったのかよ・・・・
呆れている俺の胸中など知る由も無く、新八君は
自分なりの演説をおっぱじめる。
『そもそも!!オタクがニートの予備軍っていうのは
改めて欲しいですね!!僕らの中にも社会と向き合って
生きてるオタクもいるんです!!』
「・・・・何してんだあいつ・・・・」
「あんなに必死になって・・・・視聴者に嫌われるわね。」
「そりゃあんなに必死になってりゃ
不快にならない方がおかしいだろ・・・・」
『ジャック、何見てるんだい?』
TVを眺める俺達の側にメタルギアMk.Uが寄ってくる。
「オタコンか、オタクサミットさ。お前も見てみるといい。」
『へえ、どれどれ・・・』
半ば投げやりに言った言葉に、オタコンはMk.Uの
頭部にあるカメラをTVに向けた。
『あ、これジャックの知り合いじゃない?
あのクリスマスパーティに来てた・・・』
「新八君だろ?彼はアイドルオタクなのさ。」
画面の向こうでは新八君の演説がいまだに続いていた。
『僕らはアイドルって言う、一応現実に存在しているものを
応援しているけど、意味が分からないのが二次元の女の子に
恋焦がれる人たちですよね?』
『おい!!どういう意味だ53番!!』
『二次元の女の子に恋焦がれても成就しないでしょ!!
時間の無駄でしょ!!』
『ふざけるな詩織ちゃんは俺の心の中で生きてるんだよ!!!』
これに関しては新八君の意見に大賛成だ
二次元はこちら側に出て来れない、それ故時間を無駄に
費やしてしまいチャンスを逃してしまうというわけだ。
Mk.Uの画面越しにTVを眺め、オタコンが眉を潜める。
『なんか・・・複雑だね、世間の人達にオタクが
全部そう思われているなんて・・・』
「偏見にしてはこっちの方が酷いよホントに・・・」
ため息をつきつつTVの画面へ視線を戻した時だった
『あの〜、ちょっと意義があるんだけど・・・・・』
馬鹿でかいサングラスを掛けたオタクが すっと挙手をした。
あのグラサン、ガ○ダムに見覚えがあるような・・・・
『53番は僕らより現実見てるって言いたいんだろうけど
じゃあ聞きたいんだけど・・・君らはアイドルを
追いかけてれば結婚できるとでも思ってるの?』
「・・・・言われてみればそうかもな。」
『アイドルなんて高嶺の花だからね・・・・分かるよ。』
「でもは私を落としたけど?」
画面と現実側の会話が入り乱れる中、7番のオタクは
話をねちねちと続けている。
『つまり、三次元と二次元では同じ穴の狢であって・・・・』
『いやいやいやいや!!そりゃぶっちゃけアイドルと
結婚なんて無理だよ・・・でも100%じゃないじゃん!!
そっちは100%無理で・・・』
『いや、ないよね?確実に。』
『いや!!なくはないよ!!!』
『いや、そういう分不相応な考えが
現実を見てない何よりの証拠であってさ。』
なんか・・・・シャクに触るんだけどこのオタク・・・・・
こういう相手を上から目線で見ながら好みを否定する
やり口は、どーも気に入らない。
「自分達の好み以外を断固として敵視する人が多いから
オタクの人は誤解されちゃうのよねー」
お、いい事言った。
つか オタクに限らずそういう偏見意識やら間違った認識を
持ってる奴等が多いから諍いだの何だの起こるんだよな・・・
『・・・・秋葉には行けそうにないね・・・・』
「行きたかったのかよオタコン・・・・・」
『話では色々聞いてたしね・・・・』
あーあ、しかも2次元派と3次元派で乱闘始める始末だし・・・
画面の向こうは、もう番組の趣旨なんか完璧に無視して
グダグダの争いが繰り広げられていて
あれ?この7番って・・・何処かで見たことあるような・・・・
7番のグラサンが外れ、そこには俺達のよく見知った
・・・信じられない相手が映し出された。
「「えええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」」
『ど、どうしたんだい二人とも!?いきなり叫んじゃって・・・』
驚くオタコンに構わず 俺達は画面に釘付けになる
「あ、あああああれ・・・・もしかして・・・・・」
「間違いない・・・・あれは・・・・土方さんだ!!」
あの黒髪に開き気味の瞳孔を持った目、見間違うはずも無い。
でもなんであんなトコに・・・・・
思い返してみればあの時、浪士に土戸座してた時から
おかしいと感じていたが
・・・・土方さん 一体何があった!?
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後書き(退助様サイド)
退助「さあ、いよいよ始まりました動乱篇。」
銀時「何で新八だけなんだよ出番。」
新八「いいじゃないですか!
そもそも原作の一話でも僕ら出てないじゃないですか。」
神楽「ばっかりズルいね!
私の出番だってたくさんあったアルごっさあったアル!!」
退助「おまっ原作でパン焼いてただけだろうが!!」
土方「不本意なトコばっか見せやがって・・・
つーか、あの刀についてはナシかコラぁ?」
退助「それは次回に持ち越しってことで。」