前回なんやかんやあって忘れ去られていたが


敵の中継基地に降りた銀時はというと・・・・・







すんまっせーん、あのーちょっと通りすがりで
なんですが便所貸してくれませんかねぇ?」


「何だ貴様は?怪しい奴だな。」


「ケチケチすんなサクサク厠借りるぐれぇいいっしょサクサク
こちとら糖が近ぇ身なんサクサク





身構える兵士に対し、んまい棒チョコバー味
頬張りながら対話していた。





どこもかしこも怪しいだろがぁぁ!
つーかそのサクサク止めろスッゲェ腹立つ!!」


「んだよ、物欲しそうな面してもやんねーぞ」


「いるかぁぁぁ!!」


「しゃーねーな。
じゃあこっちの棒でカンベンしてくれるか?」





言いながら銀時は腰の方に手を伸ばし





「ちょっ・・・貴様どこに手を」







兵士の気が反れた瞬間





腰に下げた木刀を引き抜くと、銀時は
目の前の相手ごとそれをなぎ払った。







「ぐわ!!」







モロに攻撃を喰らい、兵士は近くにいたものを
巻き添えにぶつかり 少し先へ吹き飛ぶ







「何だ!?敵だ!!応援を呼べ!!」





俄かに騒ぎ立てる敵を前に 銀時は
木刀を構えなおし、ニヤリと笑った







「悪ぃな・・・やっぱ俺ぁ、
こっちの方が向いてるらしい!」







やはりこの人も突っ込むのが性に合ってました・・・・









「・・・・・・・・・おかしい。」





俺は誰にとも無く呟く。







先程の戦いを終え、洞窟から続く水路を
通ろうとしていたのだが





異常に敵が少ないのだ。







「何だ この警備の薄さは?
こんなの素人でも抜けられるぞ・・・」







何か引っかかるものがあるが・・・まあいい、
とにかく先に進もう。







水路を抜けると密林地帯に出た。


敵兵はいまだに見当たらない・・・が、





「これまた大仰に罠が仕掛けられてるな。
クレイモアに・・・・振り子式もあるのか。」







少々気になったので、無線の周波を
オタコンのコードに合わせる。







『どうしたんだい?』


「密林地帯に出たんだが、罠が張ってあるようだ。」


『罠?』


「ああ、クレイモアだけじゃなく振り子式のもある。」





無線の向こうからも、腑に落ちないような唸りが聞こえる。





『随分旧式の罠を使うんだね。
もしかして戦術研究のためかな?』


「しかし、この程度の罠を研究とはな・・・・」


『でも逆に効くんじゃないのかな?
意外にアナログな方が強力だって言うし。』







オタコンの言うことも 一理ある。







それに江戸で暮らすようになってから、最近は
アナログのすごさも日々実感しているしな・・・







「まあ俺もC4爆弾を冷凍処理してたからな。」


だろ?アナログだからって馬鹿にはできないよ。
この先も気をつけて進んでくれよ。』


「ああ。」







無線を切った直後、周りの木が揺れた。







何もないのに・・・・・





「何だ?」


「フィアー!!!」











第六話 三秒ルールはしょせんデマ











叫び声と共に 突然目の前に一人の男が降りてきた。





まさに、いきなりそこに現れたのだ。







俺は、ザ・フィアー。
その銃を見る限り ペインを倒せたようだな。」


「お前もコブラ部隊か。」


「そうだ、ママの教え子よ。


貴様に見たこともない本当の恐怖を見せてやる。
俺の巣の中で。」


「恐怖だと?」





奴はベロリと舌なめずりをすると





「そうだ、恐怖・・・恐怖を感じろ シャー!





クモのように近くの木に背中から
はり付いて登り―姿を消した。







何!?消えた!?」


「何処を見ている!」





あらぬ方向から何かが飛んできた。


とっさに近くの木を盾にすれば、そこに
無数のボウガンの矢が刺さる。





すぐさま飛び着た方向を確認するが、


そこにはただ虚空があるのみ。





くそ!一体どうやって・・・・」


「どうだ!見えない恐怖は!!」







再び飛来したボウガンを避けつつ、反射的に
トンプソンを撃ちまくるが 当たってる様子はない。







そんなものか!ペインが悲しむぞ!」


「くそっ!見えない奴にどうやって・・・・・」







・・・見えない?







そうだ、姿は消せても音までは
そう簡単に殺しきれはしない!





奴を探すのを止め、聴覚に神経を集中させる











・・・あたりの木々に飛び移っているらしい







・・・・・・・・・立ち止まった!





すかさずその方向へライフルを撃ちこむ。





ぐお!なかなか勘がさえてるな。」


「完璧に消えてるわけじゃないからな。」





言う間に 音がその場から移動する。







手ごたえはあったのだが・・・ライフル一発程度で
仕留められるほど甘くは無いようだ。







「貴様は大した男だ・・・以前、基地を制圧したときは
随分とあっけなかった 兵士共は俺という
見えない恐怖に怯えていたからな。」


「だろうな、敵自体も攻撃も見えなければ
手の出しようがなくなるからな。」


「誇りに思え、ここまでやれたのは貴様とママだけだ。」







・・・どうやらママにとっては、見えない事など
関係がないようだ。







「くそ・・・腹が・・・・・・・」







腹に被弾したのかと思ったその時


フィアーが、姿を現した。





何か食い物は・・・・・あったぞ、アナウサギか。」





必死に視線を動かし、近くにいた
アナウサギをボウガンで倒す。







素早くそれを捕まえ そのまま食べると





「これでまた姿を消すことが出来る。」





奴の姿は、再び溶けるように掻き消える。







・・・どうやら自分のスタミナを使って
あの能力を使っているらしい。





消せる分 スタミナ消費も激しいようだ。









あのステルスの弱点が―見えた。











撃ち合いでフィアーのスタミナを削り、
姿を現す頃合を見計らい


近くにあったドクガエルを 食料に偽装し投げ込む。





ほぅ、わざわざ食い物をくれるのか?」


「ああ、取るかどうかはあんた次第だがな。」







周囲の動植物を捕獲して摂取し、スタミナを
回復しなければ ステルスは使えない。


今の奴なら、お構いなしに食べるはず。







思ったとおり フィアーはためらわずに
ドクガエルを手に取り、食らった。





「後悔するなよ。
・・・ぐお!毒とは・・・・・・・!」





俺はすかさず拳銃を取り出し、フィアーに
連続で撃ち込んだ。





「ぐわあぁぁぁぁ!!!」


「落ちてる物を無闇に食わないよう
ママに習っとくべきだったな!!」








体制を崩したフィアーは 木に取り付けてあった
捕縛用ロープに絡まり、大の字になる。







「恐怖・・・・・恐怖だ!!見えたぞ!!
恐怖がああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」






フィアーーーーー!!!





ペイン同様、叫んでその場で爆発する


・・・が、爆破地点を中心とした放射線状に
大量の矢が飛んできた。







「なっ!?」





俺はそれを、木の陰に隠れやり過ごす。







幾重もの矢が辺りに刺さったその後
密林地帯は 静寂に包まれる。









「最後の悪あがき・・・・だったのか・・・・・」







フィアーのいた木の近くに、
見たこともない機械が転がっている。





「もしかして・・・・これで姿を隠していたのか?」





拾ったが 俺は使わないことにした。


フィアーの二の舞には、なりたくないからだ。









再びオタコンに無線を入れる。







『フィアーを倒せたようだね。』


「ああ、姿を消せるとは驚いたが・・・・
こんなのがまだママの他に二人もいるのか・・・」


『そうだ、ステルス装置を手に入れたようだね。


どうやらフィアーは自分のスタミナを
バッテリー代わりに使ってたみたいだけど・・・』







少し言葉を切り、オタコンはとんでもない事を言い出す。







それ、持って帰ってきてくれないかな?』


「なっ・・・何でワザワザ!
俺はフィアーみたいになるのはゴメンだぞ!?」


『大丈夫、バッテリー式に改造するから。
そしたらスタミナ切れを起こさなくて済むし、
今後の作戦が楽になるよ。』







・・・オタコンの腕は俺も信用している。





彼なら、それくらいは出来そうだ。







「・・・確かに何度も天人大使館で見つかったしな。
わかった、持って帰るよ。」


『ありがとう・・・この先も密林が続いてるみたいだ。
高台もあるから狙撃兵にも気をつけて。』


「了解。」





会話を終え、俺は無線を切った。





「・・・・・さて、行くとするか・・・・・」













要塞の入り口らしき場所が見えてくると
沖田はフゥ、と息を一つついた。







「やっと見えてきたなゴール地点に・・・」







唐突に 彼の背後から強烈な殺気が生まれる。





振り向けば、そこにはボロボロ血だらけ
土方が瞳孔カッ開いて佇んでいた。







「やっと追いついたぜ総悟ぉぉ・・・・・
ここで会ったが百年目だコラァ!


「遅かったじゃないですかぃ土方さん。
所でボロボロですがどうかしたんで?」





顔色一つ変えぬ相手の胸倉を掴む土方だが、





「セリフ棒読みだぞ、つーかあのヘンな箱
仕掛けたのお前だろ!何だアレ またいだら
いきなり爆発しやがったぞ!!」



「へぇ、そいつぁ災難でしたね けど何でもかんでも
俺のせいにされちゃたまんねぇな・・・・・・チッ





恫喝に全く怯まず平坦なセリフを吐き、尚且つ
顔を少し背け舌打ちをする沖田。





「最後チッっつったろ!!やっぱテメェの仕業か!!」


「自意識過剰でさ、土方さん。
それより俺に構ってていいんですかぃ?







その一言で ようやく周囲を
兵士に囲まれていることに気付く







「・・・処罰は一旦お預けにしてやらぁ
総悟、今はこいつらを叩くぞ!







襟元から手を離し、刀を抜き放つ土方。


沖田も刀を抜いて おもむろに隣を指差す。





「おーい 狙うならこの黒髪がいいぜぃ
なんせ爆弾の直撃食らって死にかけてっから」



「テメェも一緒に片付けたろかァァ!!」





お互いに喧嘩しつつも 向かい来る敵を
二人は確実に蹴散らしていく・・・・











桂は無言で歩を進めていた。







桂は、要塞へ近づこうと懸命に努力した





・・・・・・・しかし







おかしい・・・先程右にあった要塞が
なぜ俺の後ろにあるのだ・・・・・・・」







桂は 完璧に迷っていた。







「流石は敵地、中々に複雑な地形なようだ
しかし、こんな場所で油を売っているヒマは無い


早いトコに恩を売り、攘夷志士の一員にする
俺の計画のためにもな。






この人もメチャメチャ動機不純・・・・・
つーかそんな理由で付いてきたの!?





「仕方ない、来た道を戻るか
確かここを進めばよかったような・・・・・・」







目的地から さらに自信満々に遠ざかる
ダメテロリストであった・・・・・・











近藤だけでなく新八も猿の着ぐるみを着用し、


出会う敵 全てに物真似で押し通し
難なく要塞付近にまでたどり着く。







おし!着いたぞ、新八君!!」


「・・・・まさかゴリラと猿の格好で
ここまでこられるとは思わなかった。」





喜ぶ近藤を尻目に、呆れたようにひとりごちる新八。







何をしている新八君!早いトコ乗り込んで
パパっと二人を助け出そうじゃないか!!」





意気揚々とだみ声響かせ突っ走っていく近藤





「待っていてください!!お妙さん!!!」


アンタが待てェェェ!ちょっ近藤さんんん!!」





止める間もなく ゴリラは要塞へ乗り込んでいった。







「ったくあの発情期ゴリラ・・・」





ずれかけたメガネを、指で少し押し上げて





「姉上、無事だといいけど・・・それにしても
銀さんやさん、一体どこにいるんだろ・・・」







不安を感じながらも、新八もまた
要塞に乗り込んでいく・・・・・・











神楽と九兵衛は、あの後すぐに再開を果たし
協力して内部の兵力を削っていった。





その結果、







ハン!お前らなんか私達の敵じゃねーアル!
あのクサレババアの場所 とっとと教えるね!!」


「妙ちゃんは何処にいる!吐け!!





要塞の兵士は無力化していた。





「くそ・・・・・こんな女共なんかに・・・・・」







唯一残っているこの兵士も、あちこちを負傷し
神楽と九兵衛の鋭い視線に晒されている。







焦れた神楽が 傘の銃口を兵士の鼻先へ向ける。





「とっとと吐けヨ、鼻の穴増やされてーか!」


ヒッ!!あ、あそこ・・・・あの扉を入って
すぐに見える建物がある・・・・・」





震える指で鉄製の扉を示し、彼は続ける。





「捕虜収容所だ・・・・あそこに・・・・・
さらっていった女2人が・・・・」


「それだけ聞ければ十分だ。」







皆まで言わせず、九兵衛はみぞおちに
強烈な当身を食らわせた。





「グハ!!?」





倒れ伏す兵士にはもう見向きもせず、





「行こう!妙ちゃん達の所へ!!」


「っしゃあ!待ってるアルよ姐御ぉぉ!!」







神楽と九兵衛は 二人の元へと急ぐ。











銀時は中継基地の敵を全て蹴散らし、
ハインドのパイロットを従わせ







「おい、アンタこれ運転出来んだろ?
乗せてってくれや アンタらのアジトに。」


「は・・・・はい!少々お待ちを!!!」





上空から要塞へと向かっていた。







「なーんかあちこちで煙ってやがんな
のヤツ 大丈夫か?」


?な、何のことだ?」


「オメェは黙って運転しろや」





木刀を突きつけられ パイロットは慌てて
操縦桿へ向き直る。







「さて・・・・いよいよ大詰めってとこか


あ゛ー何か甘いもん食いたくなってきた。
なぁ、アンタ パフェとか持ってねぇ?」


パフェ!?
そんなのこんな場所にあるわけないでしょう!?」





機嫌悪げに銀時は頭をボリボリと掻く。





「ねぇのかよ・・・・じゃあケーキでいいや。
結婚式場とかのあのドでけーケーキで」


「ねぇよ!つーか難易度高ぇよ!!
んなもんヘリの中に入るかァァァ!!!」



あぁん?俺ぁ甘いモン取らねぇとイライラすんの!!
グダグダ言わずに用意しやがれェェ!!」


「無茶苦茶だァァァァ!!!」







銀時も案外ドSであった・・・・・








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後書き(退助様サイド)


???「さて、コブラ部隊二人目も倒し
順調に話が続いてるわけですが・・・・」


銀時「オイコラ!ちょっと待て!!
何で神楽と九兵衛が 俺たち来る前に
要塞の敵片付けてんだよ!!」


新八「てゆうか僕ら、カッコいい見せ場
全くといって無いんですけど!?」


沖田「無駄足になんのだけはゴメンですぜぃ?」


???「あん?ダイジョブ、ダイジョーブ!!


土方「何だその曖昧な返答!?
スッゲェ腹立つんだけどぉぉ!!」



近藤「トシの言うことも最もだ、俺達
無駄足にならないんだろうな!?本当に!!」


???「心配せずともちゃんとやりますって・・・・
たくっ・・・・・・」


桂「何だその態度!!真面目にやらんか貴様!!!」