/ノアのアジト―





アタシは紙が無いとダメェなオ・ン・ナ


でっもぅ〜それは裏を返せば、紙さえあれば
何だってデキちゃうのぉん♪


今回なんてノアちゃんにくっついてたおかげで
色々学べたしぅい、切れ端とはいえ
ちょびっとエイボンの書を食べれたしぅいね


…その後のオシオキも楽しかったけどぉ





書の中で暴れ回る子達をトコロドコロで
覗き見できるのが、何っより楽しい





【ごめんソウル…私】


いいよ 何も言わなくて】





現在進行形でギリコちゃんと殺りあってる

ほやほやデスサイズコンビの痴話げんかから
チークトークに至るまでや


残った子達が"強欲"にイキつく直前





【エクスカリバー!空間を切り裂け!!】


【空間に亀裂が!?】


単体の魔武器の一振りで、いとも簡単に
別空間同士を繋げちゃう荒業や





【そしてこの本から出ていけ!!】





功労者である聖剣ちゃんを、その空間に
ポイしちゃうやり取りも


濡れるぐらいバッチリと堪能中・ぅんv





【アイツを使うなんて…
私のプライドが邪魔をした…【しゃーない】





分かってないわねぇん、その全身をやすりで
削り取られるみたいな苛立ちや苦痛さえも
とっても刺激的なご褒美だってのにぃいんvV







…あん!いっけない


ひたってて、よそ見しちゃってたわ





にじむ汗を拭って、外へ飛ばしていた
蝶の"目"を借りて辺りを散策すれば





『あれが…そうなのか?』


『そうだ ここがノア一味のアジトだ…
ジャスティンもここにいる…』





こっちに近づく死武専一行がまーる見え


"千里眼"ほど万能じゃなくっても
紙さえあれば感度はバッチリぃん♪





『っおい、何なんだよ一体!?』


『操られてんのか?正気に戻れ!』





死武専もいい具合に引っ掻き回されて
警備はぐっちゃぐちゃ


流石に操ってる子たちと蝶は減ってきたけど


魔力はまぁだまだイケそうねぇう…





「さって、ノアちゃんに
お客様が来たって教えてあげないと」





ちょっぴり疲れてきただけのカイがあって


もうそろそろ、楽しい楽っしい
パーティーが始まりそうだわぁん


そ・れ・に…ハァ、うふっ





「安心なさい
そろそろ楽ぅにシてあ・げ・るv





仕上げに相応しいあの子の居場所は突き止めた


あとは解れたトコロへ突っ込んで
目一杯、かき回すだぁけぇえん













Sesto episodio Perche il mondo crudele











―小鬼/第六章―





あのとか言うガキみたいに
たった一人で闘い始めた時は


本気でイカれちまったかとヒヤヒヤしたぜ





どうにかマカが持ち直して
あのノコギリ野郎と二人で挑み始めたが





オラ!!どうした!?」





躍るような足さばきを主体に
チェーンソーの刃をぶつける熾烈な攻撃に


防ぎきれず ソウルもろとも吹っ飛ばされる





『自分一人で戦おうと思うな!!』





さっきを真似てたお前が言うかねぇ


『うるせぇよ…職人と武器は二人で一つ
オレ達の力を見せてやろう』


「だけどどうやって?」


『オイ鬼、準備しろ』


「ああ…」





くくっ…面白いコト考えるじゃねぇか





"蜘蛛の女王"の力を使う』


逆位相の波長をぶつけて、奴のエンジンを
打ち消して黙らせようなんて





「オラ!!どうした!
何ボケっとつっ立ってんだよ!!






蹴りかかってくるギリコの猛攻を防ぎつつ


マカが魂を感知し、ソレを元に


ピアノが弾かれ 音色を散らす





…何だこの音は…?」





気づこうが音が止む事は無く


ガードの上から蹴り続ける奴の足は
少しずつ鈍ってゆき


…やがてギリコはヒザをついた





『魂のアダージョ』





動きを止めたギリコの胴へ


魔人狩りの一撃がまともに入り

奴の身体はその場で弾け飛んじまった





『やった…』


「ソウルの力と私の感知能力を使えば
ギリコにも勝てる!!」







…おいおい、浮かれてるトコ悪ぃが
怠惰の章だからってダラけてていいのかぃ?





『次のページに進むぞ…』


「オレも一人じゃねぇんだケド」


マカの後ろで笑った女の、束ねてある髪が

チェーンソーに変わって腕を切り裂く





『マカ!!』


「いつの間に…もう一人いたの?」





倒れてるマカに女…ギリコはご丁寧にも
種明かしをしてくれた





「お前が殺したのはオレの前の体を使ったゴーレムだ!
あの体はダメだ!!
色々遊び過ぎてボロボロだ!!」






こいつらを殺すためだけに


記憶を宿した遺伝子で作ったガキを
"BREW"で戦えるまでに成長させたと





やれやれ、あの男や程じゃ
ねーにしても…よくやるよ全く





「オレを殺せたと思ったんだろ?あ!?
人間が爆発するわけねぇだろ!?


「そ…そんな…
アラクネは死ぬトキ爆発したのに…」


「エ…マジかよ!!やったぜ!!
さすがオレがみこんだ女だ!!






さーてコレで分からなくなってきやがった





「テメェーは死ぬと爆発すんのかねぇー」


チェーンを唸らせた奴の狂気

対峙する二人を通じて、心地よく響く









/死武専―





やけに身体が重い、頭の中がしびれる


の気色悪い気配が
身体にまとわりついて離れない





「毎度毎度こそこそちょっかいばっか
かけやがって、うざってぇ…」





洗脳された人をどうにかやり過ごしつつ

奴の波長を求めて死武専内を駆け回るけど


見つかるのは、紙で出来た蝶ばかり





「っツ…ぎ、ぐっう…!」


突き刺さるような痛みが頭を刺して





【理性やしがらみのない暴走する欲求
お前の手にした"力"は何だ?】


【左右対称を越えた左右一体 すなわち"無"だ





抑えた頭の中に…ノイズ交じりな
黒い何かと、キッド君の姿が浮かんで消える





「また…だ、何だよコレ…」





本の中にいるハズのみんなの様子が
どうして、時折見えるんだ?





【ここは強欲の章…君たちは何を求める?】


【"力"だ 敵を倒す"力" 仲間を助ける"力"
友達(キッド)を助ける"力"だ】








…助けに行けるわけでもないのに


僕は、むしろ邪魔にしかならないのに





『敵だった魔女とヨロシクやってアタシを
諦めるなんて正直ガッカリよぉう〜?』


耳障りな声が、頭痛を助長する





『で〜もあの子のおかげで死武専も
アンタのお友達もオ・シ・マ・イ
残念でしたぁ☆悔しい?悔しい、ねぇ?』


楽しそうな笑い声にただただ苛立ちがつのる





また 大事なモンを根こそぎ奪うつもりか


また、理不尽に無力さを強いて笑う気か


いい加減に、いい加減にいい加減に
ナメくさるのもいい加減にしやがれあのメス野郎





『今更普っ通のアンタに何が出来るわけぇ?

止められるものなら力づくで殺ってみなさいな


「…あぁブチ殺ってやるよ」


探し出して、アイツを殺してやる





アイツを殺すアイツを殺すアイツを殺すアイツアイツ
アイツを殺アイツを殺すアイツ殺すアイツ殺す殺す魔女
魔女を殺すアイツを殺す魔女を殺すアイツを殺す殺す
アイツを魔女を殺す魔女を殺すアイツを魔女をアイツ
魔女を殺す魔女を殺す魔女を殺す殺す殺す魔女を殺す
魔女を魔女殺す魔女を魔殺す殺す殺す殺す女を殺す
殺す殺す魔女魔女殺すす殺殺す殺殺殺殺殺殺殺殺殺






「ひとつ残らず、ブチ殺シテヤル」





俺は魔力を追ッてアノ場所へ向カッた…









―ブラック☆スター/異章―





「お前たちはここで待ってろ
この先はオレ一人で行く





心配性な椿の頭をなでて、名残惜しそうな
リズやパティ キリクに


キッドを土産に連れ帰ると約束して


おかしな穴ボコから 下へと落ちていく







…やたら白い空間をいい加減
落ち切った先でキッドに出会うまで


BIGな一撃の借りを返すのが先か


仲間や、オレ様の信者が心配して
待ってるコトを伝えんのが先か考えてたが





様変わりしたキッドを見て 腹が決まった





「まったく…クロナにしろお前にしろ
オレ様がついててやらなきゃどうしようもねぇな」





とにかく、引きずってでも一緒に帰らす


話はそれから…んん?


「水?」





足元からわいてきた水が、あっという間に

オレとキッドをすっぽりと飲みこんじまった





何だこれ?でも、呼吸は出来る…問題ねぇな





おいキッド!わざわざ普段読みもしない
本の中まで助けに来たんだ、さっさと出ようぜ」





もっかい呼びかけてみるけれど
肝心のアイツは無反応


…つーかずいぶん呼吸の数が少ねぇ


口んトコ変な模様あるし
何より雰囲気がアイツらしくねぇ





「素直について来てはくれなそうだな」


「お前は大きすぎる…」


お、ようやく反応が返ってきた





「これから「無」をつくるオレにとって
お前の存在は大きすぎる 消えてもらう





言ってる意味はまったく分からねぇが


頭がパッパラパーになっても


クロナと違って、ちゃんと向かい合って
くれてたキッドに安心した





「オレは神を越える」そう言うと皆笑った
あきれて無視する奴がほとんどだ」





椿や、今ならマカ達も
マジでオレに期待してくれているけれど





「だけど一番マジで受け止めてくれたのが
とうのお前本人だった」


そうなりゃがぜん神を越えてぇ!


今でもその思いは変わっちゃいない





「今となっては耳障りでしかないな」





ああ…そうかよ


だがテメェがどんだけおかしくなってようが
これだけは譲れねぇぜ





「オレは神を越える!!最強はオレ様だ!!


「虫唾が走る!!」





迫って来たキッドの打撃と蹴りを
交差した腕で防いだが


反動で、後ろへ大きく押し出され


ぐるりと回る視界と体勢を
もがきながらどうにか整える





「息は出来る…その場の制止も出来る
でも移動は水中の感覚…やりにくいな」





再度近づいてくるキッドに狙いを定め


「じゃあこういうのはどうよ」





魂威を打ち出したら、何か手から
ビーム撃ってるみたいになってカッコよかっ


「って別にオレはキッドと闘いに
来たわけじゃねぇ、連れ戻しに来たんだ」


やべーやべー目的忘れるトコロだった…





もう一度キッドに向き合った直後


足の下から出てきた やたらデカい目が
浮かんだ黒いナニカがオレを睨む





「何だ…お前」







―オックス/死武専―





「ねぇ…ジャッキー達 どこ行ったのかな?」


「分かりません、何か起こっているのかも

…とにかくアナタ方は魔法に
意識を集中していてください」





キムだけでなく不安げな魔女達へ
言い聞かせるように告げるけれども


僕もまた、彼らの行方や死武専内で何か
起きているらしいコトが気がかりで仕方がな


「みんな無事!?」


勢いよくドアが開き

息を切らしてジャクリーンが入ってきた





「落ち着いて下さい、一体何が」


「やられたわ…の仕業よ」







どうやら一連の騒ぎは


道徳操作器の技術に基づいた洗脳を施された
職員や一般生徒、市民によるものらしく


荒らされた魔道具倉庫にいた人々を気絶させ


脱出した二人は 他の職員と連携を取り
無作為に暴れる者達を捕まえていて





「私だけでもキム達の護衛と現状報告を
オックスにしてくれって、ハーバーが」


「分かりました…ありがとうございます」





死武専内部のみといえ、そんな大事になっていようとは


僕としたコトがあの魔女を甘く見ていた





複数名を洗脳し、内部を掻き回す手口は
以前起きた死武祭での騒動と変わらないようだが


敵は君の魔力感知
どうやって回避したのか…







ともあれ四人の動揺を納めながら


演算のズレを修正していると





「…よかった、あの女はまだ来てないね」


「ってアンタいつから」


「ええと 少し前からいたんだけど」





さりげなく柱の影に佇んでいた
彼を見つけて、僕らは心底驚いた





術に集中してたとはいえ


僕ら六人…ましてキムやエルカといった
魔女たちが気づかなかったなんて


何かがおかしい、引っかかる





…ある程度の距離を保ち 彼の行動へ注意を払う





「任務を放って今までどこにいたのよ!」


ゴメン、アイツの気配を追ってたんだけど
見失っちゃって…」


「そうでしたか、しかし今は一旦
部屋の外を警戒していただけますか?」





一応 座標軸が安定しているとはいえ


万が一があってはいけない


済まなさそうに頷く君の表情に
胸が痛んでいたのも、束の間





天井から 白い何かが際限なく降り注いだ





「うわああぁぁっ!?」





それは蝶や鳥の形を取って、僕らへと
容赦なくまとわりついてくる


一体どこからこんな数が…!?





「くっ…邪魔、しないで!


ジャクリーンの炎と 君の刃が閃き
次々とそれらは焼け焦げ、裂かれて落ちる


だが…どうにも数が多すぎる





払いきれない白い群れが視界を遮り

動きが阻害され ロクに前が見えなくなってゆく





「これが狙いか…!」


混乱に乗じて魔術を妨害するつもりか





キム!今助けに行くから!」


「必ず護りますから、他の魔女たちも
その場を離れず待っていてください!」





敵の妨害や襲撃に備え


彼女たちを護ろうと、魔法陣へ歩み寄り







信じられない…信じたくないモノを見てしまった





ゲコっ何この蝶!やだぁ取って…」


「アぁそっか、お前があの女ノ内通者カ





一枚の大きな紙の蝶に
しつこくまとわりつかれているエルカへ


ギラリと光る両刃に変化させた右腕を

振り上げている君を






虚ろな顔と目は洗脳されていた
かつてのキムたちとそっくりだが


見覚えのない、横に裂けた瞳孔だけが異質で


何者かの悪意を感じさせていて





彼がやはり洗脳によって狂わされていたコトを
この時に至って、僕は確信した






「ひっ!」





舞い散る紙が邪魔して彼の側まで届かない





「お前サエ殺せバみんな助カる
魔女をあノ女ヲ殺して殺シて殺殺殺殺」






あの時 キムが刺された光景が
目の前にいる二人と重なって


どうしても止めたくて







僕は、喉の奥から吐き出すようにして叫ぶ





「ダメだ…止めるんだ





その時、表情のない彼の身体が
小さく震えた―ように見えた





次の瞬間

ゆっくりと両刃が振り下ろされ


エルカの顔が 恐怖に凍りつき


床に滴る鮮血が…僕らの瞳に焼き付いた








――――――――――――――――――――――
あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:洗脳騒ぎ、そして暗示によって
引き起こされる惨劇の行方は…!?


エルカ:いやぁぁぁ!まだ死にたくないぃ〜!


キリク:オレがそっちにいりゃ、殴ってでも
アイツを止めてやれんのに…!


キム:道理で耳鳴りがほとんどしないと
思ったら…何かされていたのね


リズ:だとしてもアイツの様子を見る限り
洗脳された他の連中や、部屋に入った紙の群れに
気づかないってのはおかしいよな?


キッド:…前者はが自力で抑え、後者は
バレんようあの女が波長を弱めたのだろう


ギリコ:部屋でふけってていいご身分だぜ
あの変態女ぁ、こっちは股間の鋸捨てたってのに


椿:…えっちなのはいけないと思います


パティ:そーだそーだー!一番最後に
女に戻ったエロス番長・椿の言う通りだー!


椿:そのネタはいいわよもう!




本の中が"見えた"のはアラクノフォビアでの
応用&波長を狂わせる策の一環です


様 読んでいただきありがとうございました!