―後輩の少女/死武専廊下―





ロッカーで待ち合わせてたマカ先輩と
ソウル先輩が、楽しそうに帰り支度してる





「昔から多かったケド 最近ハンパないよね」


「デスサイズになったからって
寄ってくる奴が多くなっただけじゃねーの?」





ロッカーの中には、たくさんの申し込みレター


さっきも校舎裏で 愛の告白まがいな
パートナー申し込みもされてた


ソウル先輩は、強くてカッコいいから





だからこそ…私は強く思う





「ソウル先輩に…マカ先輩は圧倒的に
合わない!!似合わない!!



彼女は、特に強くなんてないのに


肩を並べて歩くなら 私でもいいのに







校門前まで二人の後を追ってたら
…なんだか騒がしかった





派手な三人の女が、生徒に何か配ってる





魔女のいるキャバクラなんて
めったにないわよぉ」


「みんな遊びに来てね」





いやらしい…あんなふしだらな人たち

しかも魔女がここにいるなんて





「コラ!!こんな所で営業しないで
早く来なさい…」



じゃあね〜マカ〜今晩遅くなるかも〜」





魔女の一人が、にこやかにマカ先輩に
話しかけてるし


マリー先生がいらいらしながら三人を引き連れて
死武専に入ってくし


おまけに二人もこっち戻ってきたので


あわてて隠れてから…


気になって、追いかけて





「怪しい…」





デスルームのドアを、廊下に隠れて
見張る先輩二人を 私は


更に後ろからコッソリと覗いてた












Quarto episodio Io non dico mai la verit











「これ…オレらバレるんじゃねーの?
みたく普段から地味ならともかく」


「バレたらその時はその時!」





あんなくっ付いて、しかもソウル先輩の
手が肩にあるなんてズルい…





「マリー先生が出てきた」





ホントだ…でも、何で怒ってるんだろ?

やっぱりあの三人の魔女のせい?


てゆうかマカ先輩くっ付きすぎ!


もうちょっと離れてよ、はーなーれー


「オレ様ちゃんのお帰りだー!!」





マカ先輩の頭とソウル先輩の顔が
ぶつかったトコロで


マリー先生と入れ替わるようにして


ブラック☆スター先輩と椿先輩が
意気揚々と、ドアへ近づいていく


って有無を言わさず蹴破った!!





「あらゆるカベを乗り越えるオレには
そんなモン関係ねぇ!!」






何て乱暴な…あんな人とだけは
パートナーになりたくなーい


やっぱり組むならソウル先輩みたいな
気の回る優しい先輩よね





あ、何か二人でまた話しながらドア見てる


さっき入ってった先輩たちに
ついて行こうか迷ってるのかしら?





会話が聞こえないかじっと見てたら





「アンタたち、何してるのよ


「えっその…キムこそどうして?」





廊下を歩いてきたキム先輩が
隠れてる二人に気づいて、近づいてきた





「マリー先生に呼ばれたのよ 何にせよ
隠れてるつもりそれ?バレッバレよ」


「う、わ、分かってるよそんなの!」


「ふーん…ま、いいけど」





言いながらこっちチラッと見られたから

急いで、壁側に隠れた





あの人確か 本物の"魔女"って話だし

目ぇつけられたらタダじゃすまなそうだもん





足音が遠ざかったのを聞いて


そっと覗いたら、デスルームのドアは
ちゃんと直ってた


さっすが死神様の部屋だわ





てゆうか…いつまで二人でここにいるのよ





ワガママに付き合ってくれるソウル先輩に
迷惑かけてて平気だなんて…


あまつさえケンカしてるだなんて


やっぱりマカ先輩は、似合わない!!







と思ってたら ドアが開いて
今度はシュタイン博士が顔出した





「マカ、ソウル そこにいるのは
分かってますよ…来なさい


「はっはい!?」





きっと怒られるんだ、いい気味


でもソウル先輩までとばっちりで可哀そう







…二人とも、デスルームに入ってったけど
私はこれからどうs


「何してるの?」


「きゃあっ!?」





振り向いたら、間近に人の顔があった





「君さ、さっきからずっとそこで何」


「なっななななんでもありません!!


思わず その場からあわてて逃げだした







い、今のって確かって先輩よね!?


いつものダサいツナギじゃないし、髪も
ボサっとしてないから分かり辛いけど


多分間違いはないハズ…それにしたって





「なんなのあの人、気持ち悪っ…!





いつの間にか後ろにいたコトも、なんか
ニヤニヤ笑ってた顔も


一瞬だけだけど…茶色っぽい瞳の奥が


"横"に裂けていたように見えたのも









―死人/死武専―





下心丸出しなスピリットに乗せられて
多少キャバ嬢的な接待に流されかけたものの





「いい加減にしなさい!!」





死神様の一喝のおかげで 場は緊張感を取り戻し


オレ達は…キャバクラを隠れ蓑にしていた
魔女二人へ"取り引き"を持ちかける





「実はエイボンの魔導書には"写本"があってね」





その本を使い、キッドが捕らわれている
原本と魔術でのリンクをさせる算段に





「そんな細かい演算魔法…
アタシ達じゃ無理だよ…」


リサとアリサは あからさまに難色を示す





…だが





死神のダンナー!!カエル捕って来たぞ」


ブラック☆スターの捕獲した魔女・エルカ





「こんちわー角灯(ランプ)職人のキムでーす」


キムの参入が事態を変えた





ついで死神様の呼びかけに答えたシュタインが


一度席を外し…写本を借りパクした
犯人を伴って戻ってきた





マカ!お前だったのか…」


「ごめんなさい」


「どうか大目に見てやってください」


余計な口を挟む 元凶のスピリットは

制裁代わりの二度目のチョップ
受けたからいいとして





「どうしてもクロナの黒血や
メデューサのコトを調べたくて…だから…
レベル4の本が借りたくて…」





まさか父親のIDカードを借りてまで
マカが写本を持ち出すとはな





オレとしてはその気持ちは汲んでやりたい
生前から、そういう男だからな


だが…罰則は罰則





「今回の件に関しては ちゃんと
罰を受けてもらわないとねぇ〜」





死神様が、落ち込んでいるマカへ
きっぱりとそう宣言する







その、まさに直後に





死神様!!キッドの…キッドの」


「キッドを助け出す方法が
見つかったって本当!!?」






リズとパティ、それとパティに
引きずられたしかめっ面


息を切らせて駆けこんで来た





「お前らも来たのか…てか何でまで」


「側にいたから連れてきた!」


「報告するコトがありまして…それより
博士…本当、なんですか?





肩で息しつつ向けられた鳶色の視線へ


シュタインは短く頷いて返す





「かなり強引で多くの手を借りないと
上手くいかない 難しい方法ですが…」





その一言へ、せきを切ったように





「私達も協力させてくれ!!」


「オレだって」 「私も!!」 「僕も!」


リズたちやマカにソウル 
作戦の協力を一様に申し出た





「もちろん君達「スパルトイ」のメンバーにも
協力してもらう予定ですよ」





シュタインの言う通り、彼らの協力は不可欠


何よりマカの"魂感知"はキッドを探すのに
強力な武器となる…





すかさず入ったスピリットの説得もあり


マカへの処罰は一旦 据え置きとなり


もたらされた報告を聞いて
しかるべき対処を取ったのち


残るスパルトイのメンバーを招集し


キッド救出作戦の志願者、および役割分担
シュタインと共に話し合う





作戦の決行は 明日


キムを含めた魔女四人で演算魔法を実行


演算サポートおよび魔女の監視を
オックスが担当し


武器三名は 魔法陣の警護と待機…





と決めていた所で、納得いかないが口走る





「一人じゃダメだってなら、キリクや
ブレアと組んででも」


「そうもいかないんだよ」





鋭いまなざしを向け…シュタインは

残酷な現実を、少年へと突き付ける





「今回、救出に使用する魔術に…残念ながら
君自身の"波長"は邪魔にしかならない」






何か言いたそうに開いた口が


意志を宿していた瞳が…悔しげに歪み
ぐっと閉じられて





次の瞬間にそれらは全て





とても見慣れた、曖昧な笑みに変わってた





「そう、ですか…わかりました
頼んだよブラック☆スター、みんな





ああ、あの邪魔な前髪の奥に


はこんな顔を隠してたのか





向けられたアイツの台詞から


意を汲んで、力強く頷くブラック☆スターは





おおよ任せろ!信者は大人しくオレ様が
キッド連れて帰ってくるまで待ってろ!!」






勇気づけるように の胸を叩いた







……そしてキッド救出(サルベージ)当日


嫌そうな顔をするエルカやキム達から
間合いを取りながらも





「じゃ頼んだよ…そこの魔女がちょっとでも
おかしな真似しくさりやがったら 生きたまま
皮剥いで首はねて死武専の門前に飾ってね



ゲコオォォ〜!本当何この男っ超怖い!!」


「あの…爆発する首輪もついているし
そこまでする必要はないと思います」





恐ろしい頼みごとをオックスに託しつつ


ハーバーやジャクリーンと共に
部屋を出ていくを見送り





描かれた魔法陣の中央へシュタインが写本を置き


魔女四人が配置につくのを


オレと志願者の9人、それと連絡役の
ブレアは邪魔にならぬように見守っていた





計算を始めて下さい サポートします


念のため言いますが、おかしな行動を
とったら首輪が爆発しますよ…」





オックスが、エルカへと呼びかけ


演算魔法により…魔法陣が輝きだす









―ギリコ/ノアのアジト―





あのノアとかいう野郎、BREWを手に入れ
手前勝手に絶頂入ってやがったが





「本の中に入ったイレギュラーを排除しろ」





三下ワカメにオレを呼びつけて


アゴで命令してきやがった





「気に入らねぇ…」


「素直じゃないわねぅえんホントは
アラクネちゃんのカタキ討ちが楽っしいクセに」


蹴り上げた鋸足は紙で防がれちまった





補助役だか何だかしらねぇが


この破廉恥ドズベとガングロ野郎の手を借りて
本の中にイかされるってのも


クソおもしろくねぇ





「ノアちゃん、これ終わったらちょおっと
死武専にちょっかいかけていーい?」


貴様ぁぁ!ノア様に馴れ馴れしいぞ!!」


「構いませんよ…ただし死神には余計な手出しを
しないように、アレは私のものだ





好き勝手にしてやがれ、と思いながら


準備の片手間…無駄に下乳丸出しスーツ
変態女へ問いかける





「おい、メス豚」


「なぁにギリコちゃん」


「テメーの狙いは大方あの、チンケでしょぼい
"双剣"のクソガキだろ?」





気色の悪い色目が、すっと消える





BREWと このガングロ野郎の恩恵だかで


"道徳操作器"の仕掛けを解きほぐすだけでなく
テメェの魔法に取り入れてやがったが





そこまでする価値があんのか?
大して強くもねぇ"失敗作"によぉ」


からかい交じりに、言ってやると







目の前の女は…どこかアイツを思い出させる
いい顔で唇を釣り上げやがった





「モノにならなくても血と術は回収しなきゃ
もったいないものぅ?失敗も大事な財っ産よぉう」






銀色の目玉の、瞳孔が横へと裂ける


不覚にも…悪くない、と思っちまった





「そ・れ・に…肉体だけなら"転生"
いいモノが補えそうだしぃ?」


「人のやり方パクる気かコラ、今すぐ八つ裂い」


無駄口を叩くな
魔力を送って転送のサポートをしろ」


「あぁあん!了解だぅわぁんvV」





まあいい、このド変態女は後だ


まずは…アラクネを殺したあのガキを

バラッバラにぶっ殺し割いてやらぁ







―ブレア/第一章→第二章―





マカ達と一緒に、本の中に入って


"インデックス"とかいうヤツの案内で
先へと進んで行ったら





「オレ様に…けっこうBIGな
おっぱいがついてる!?



「どうなってるんだよ 性別が
入れ替わったのか?」


オレもかよぉ…COOLじゃねぇな…」





私も含めてみんニャ性別が入れ替わった





これはこれで楽しかったし、マカ達の
普段見れニャい姿は珍しかったケド





「うふぅ〜」 「「うひょー」」


…誘惑するのが、あの程度の
女悪魔ってのが気にいらにゃいな







「私はこの程度のエロス空間で
取り乱すほどのエロ大魔王じゃにゃいのさ」





困ってるキリクのためにも一肌脱いで


変身し、悪魔を誘惑して…不意打ちで
パンプキン砲食らわせてやった





「さぁ 次の章に進みましょう」


「ブレアの言う通りだわ、目次…頼みます」





お嬢様にニャったソウル君と、男の子に
ニャっても変わらないマカに頼まれて


インデックスが呪文を唱えたら





世界がめくれあがって…周りの雰囲気や
風景がすっかり変っちゃった





第二章「暴食」…特に説明は不要だろう…』


「性欲の次に食欲か…エイボンって
「ノーパンしゃぶしゃぶ」とか好きな類なのか…」


『たこにも いかにも』


「それよりも一章の「色欲」を超えた
はずなのに…体が元に戻ってませんが…

言葉遣いや性格は戻りましたケド」





イケメンな椿の問いに、返ってきたのは





『直に戻るはずだが…欲の強い者ほど
戻りは遅くなる…』


この とっても面白い一言だった





誰が一番エロいかわかっちまうわけか
おもしろそうだな」


「そ…そんな…全然おもしろくないわキリク君」





個人的には、とっても気にニャる


でもマカやソウル君はニブめだから
割と早めに戻れそうな気がするニャ〜





私はまぁオスのままでも平気だけどね


むしろ、君がここにいたら
誘惑してみたいかも?





どうせにゃら また組んでみたかったニャ〜


ツンケンしてる彼がカワイイ女の子になって


その上、私にメロメロ骨抜き
変わったトコをからかえニャえなんて


ちょーっともったいない気分





そんなコトを考えにゃがら、私はちゃんと

連絡役としての役目を果たす





「こちらブレア こちらブレア…

ただ今一章を抜けて、今は二章を
読んでるところだよ〜









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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:や、やっと救出作戦のくだりだよ…
遅くなりすぎて自分でもげんざり


マリー:げんなりじゃないの?


死人:うんざりでもないのか?


狐狗狸:両方だからげんざり こっから
救出と月まであると思うと、もうね


スピリット:あ、そこまでやるの
言っちゃっていいのか?


博士:いいんじゃないですか?どーせ
苦しむのは管理人だけなんですから


リサ:アタシらの出番はー!?


アリサ:勝手にカットされるとかマジョ
ありえないんですけどぉー!?


狐狗狸:う、埋め合わせはしますって…




本の中でも、外でもひと波乱アリ?


様 読んでいただきありがとうございました!