―ギリコ/???―





ノアってヤツの腰にくっついてる本から
あのイヤホン神父が飛び出してきた





「どうでした?」


「死武専最強」「粉砕」
邪魔されちゃいました」





あんだよ、自信満々にあのクソガキを
ぶっ殺してくるとかほざいときながら





「勇気ある撤退ってか?情けねぇ…」





だが、奴は口元の血を拭って


澄ました顔でオレを見て笑う


「また白雪姫が寝言ですか」


「テメェ!!
オレが気にしてるコトを!!」






人の言葉を聞く耳もたねぇクソ神父に


鋸足かましてやろうと立ち上がるオレの背へ
べたりと何かが伸しかかる





怒っちゃやぁん♪今度はアタシが
キッスで起こしてあ・げ・るぅうんv」


「うるっせぇよ化粧くせぇ寄んなバカ女」


あぁ!いいわその目っギリコちゃんたら
これ以上アタシをヨクさせてどーする気ぃん?」


ニヤニヤしやがるゴミ女のツラを押しのけた





下乳の出たぴっちりスーツに身を包んでるとか
イカれたセンスしやがって





…気に入らねぇが、ここにいる以上


オレもこの女もクソ神父も とりあえずは

テメェの目的のため組んで行動するコトになる







舌打ち交じりにまとわりつく魔女を
蹴とばした辺りで





「ノア様…」


魔導師の後ろに突っ立ってた、ワカメ髪の
陰気くせぇ野郎が口を開いた





「マカ=アルバーンの暗殺…オレが適任かと」












Primo episodio Costruisci s nuovo











―シュタイン/DEATHROOM―





鏡の前にいる死神様へ、マリーや先輩と
共に並びながら


オレは 規律に刃向い逃亡したコトを詫びた





「オレも加担した者として謝ります」


「あ…あたしはついてっちゃいました」


「じゃーとりあえず一旦ごめんなさいして」


「「「ごめんなさい」」」





寛大にも許してくださった死神様へ


真犯人の発見と、奴との会話を録音した
テープレコーダーを差し出す





「そこに自供ととれる発言が
いくつか残っています」


オ!?早速聴かせてよ」





マリーがスイッチを入れると


そこから騒音がひたすら流れ出す





「ずいぶん騒がしいな…」


「ちょっと待ってください、この後この後」







…が 五分間待ってみても聞こえたのは

やかましい騒音のみだった





「いや〜何か騒音しか録れてなかったですね」


「いや〜」じゃねぇよ!何のために
お前を逃がしたと思ってるんだ!」


失敗失敗、と頭のネジを回す





まー直接の証拠こそはしくじったものの


先輩の方でも、BJの隠していた調査書を
元に 梓が色々と調べを終えていたようで





"BREW"争奪戦後に何者かとのコンタクト

…その後の不審な点が
いくつか見えるようになった」


「そうだ 何だ…フラフラ新婚旅行に
行ってたワケじゃないみたいだな」


「やめてくださいよ冗談でも
こんな変態とハネムーンって…」


マリーったら、そんなに嫌そうな顔しなくても
いいじゃないか







ともあれジャスティンを追い詰め


逃がしてしまったものの、逃亡の際に
魔道具を使用したコト


その際のオレの私見を 包み隠さずに報告した





「魔女に関してはいまだ消息が
つかめていない…可能性としては高いだろう」


「だね〜キッドをさらった謎の魔導師
彼の存在も 気になってね…」


「死神様、失礼し…博士!







聞き覚えのある声に振り替えると





そこには…亜麻色の髪をした
カジュアルな私服姿の少年がいた





「あら!」


「お前っその髪…!





マリーや先輩程じゃないけれども


少しばかり、オレも驚いていた





「おやおや〜ずーいぶん懐かしい髪型しちゃって
まるで昔に戻ったみたいだねぇ、君?」


「ええ、ちょっと一新しようと思いまして」


「似合ってるわよ」





マリーの一言に、見る見るうちに
顔を赤くして一層照れだす


青春だねぇ〜へらへら♪





「マリー先生も、博士も…お帰りなさい」


「ただいま…さて、早速だけど
君に話があるんだ


「はい…どんな話でも聞かせてください
僕も 覚悟は出来てるつもりです





そう言った君の目は

しっかりと オレを見つめていた







…しばらく彼を見ていなかったけれど


どうやら、オレが離れている間も
何かを学び 成長を続けていたみたいだ





「昔…"伯爵"と呼ばれた魔導師は
"双剣"と呼ばれた魔武器の血筋に目を付けた」





そうしてオレは…彼の出自と波長の由来


情報と推論に基づいて語ってゆく







―ブラック☆スター/死武専―





ケガもすっかり治ったコトだし


小物どもにBIGなオレの姿
拝ませてやろうと授業に出てみりゃ


キムとパティが組手してやがった





「組手を始めて5人目なのに
全然動きが衰えてない…」


「武器にしておくにはもったいないな…」





ほーう、一本背負いでなげとばすたぁ
いい動きしてんじゃねぇかパティのヤツ





「「単純な運動能力ならマカぐらい…」」


「いや、それ以上ありそうだね」


「アレ私の妹なんだよ
どう?すごいだろ!?」






オックスが投げられちまうのも、リズが
しきりに自慢するのも当然だが


オレより目立つのが気に入らねぇ





じゃあ次はオレ様が相手になってやる

世の中のキビしさを思い知らせてやろう」








周りのヤツらはオレのケガ…


ことさら、肩の星に刻まれたキズ
気にしていたようだが





「フン お前のチンケな手品で
消せるワケねぇだろ!!」


「何だと人の好意を!!治療費払え!!
の倍ぐらい払え!!」



細かいコト気にしてやがるキムに言ってやる





これは、奴に誓った武神の証だから


「そう簡単に消させるワケにはいかない」







…女どもの視線が集まったのを見て 満足





「ツンツン試合やるの?」


オウ よく見てろよオレ様の強さをよ」


ギャラリーのアンジェラに言って
パティと対峙する





が…正直、圧倒的すぎて面白くねぇから





「ある程度オレに縛りがある方がいいな」





椿に頼んで 両腕を縛ってもらおうと
後ろを振り向いたら


ヤツは…チンチンを蹴りやがった





「タンマって言ったのに…ズルいぜ…」


試合は始まってるんだ 相手に背を
向ける方が悪い」







しばらく痛みで動けねぇオレを見て
やたら嬉しそうにしてやがったリズだが





でも…この訓練が無駄になってくれれば
いいんだけどね…」


ガラになく、不安そうなツラをした





「キッド君なら大丈夫よ、リズちゃん…」


当たり前だろ!!キッドがこんな
キッチリカッチリしてない終わり方するかよ!?」





まだのヤツがあやまってねぇし


パティもオレも…みんなアイツのコトを信じてる


「リズもそうだろ?」





言ってやれば、リズは笑って頷いていた







博士とマリーの姉ちゃんが帰ってきたコト
ハッキリと聞き取って


ふ、とオレは辺りを見回して気づく





「おい死人の旦那 オレ様の信者は
どこに雲隠れしやがったんだ?」





さっきから妙におかしいと思ってたが…


影が薄い地味なヤツだが、影が薄すぎて
いなくなっちまったのか?





はケガが治るまで休学だ…
その後、NOTに戻るかもしれん」


オイ何だよそれ、オレには一言も」


「死神様の決断だ」





マジかよ 死神の旦那…







―マカ/死武専廊下―





何だかんだで、目指す魂はあと一つになった





殺人鬼 フレイ・D・サドコの討伐
…張り切っていかないとね」


「おう」





意気込む私とソウルの肩を、誰かが叩く





ガンバって、任務が終わったら
DEATHROOMで待ってるから」







後ろにいたのは 見覚えのない男の子


おデコがちょっと出るくらいの、さっぱりとした短髪に

ジャンパーとシャツと黒いズボンをすっきりと着こなした


それなりにカッコいい…あれ?





この亜麻色の髪の毛、くりくりした鳶色の目





「え、あれ?まさか君…」


!?」


「その通り」





男の子は…君は、気恥ずかしそうに笑った









/DEATHROOM―





死武ガキ隊…もとい"スパルトイ"結成に
集められた全員と顔を合わせて


やっぱりというか みんな髪を切った
僕の顔に驚いてた





「まるっきり別人みてぇー…」


「さすがに少し驚きましたね」


「いや、僕としてはオックスが
髪の毛を生やしているのも驚きなんだけど」


「それはまぁ愛の証明と言いましょうか…」


ああキムがらみか、ごちそうさま







「鎌職人 マカ=アルバーン」


「魔鎌 ソウル=イーター」


「「任務完了!ただいま戻りました」」





無事、100個目の魂を手にして


部隊の制服に着替えた二人も
博士との再会を喜び





「「スパルトイ」の結成…そして
新デスサイズの誕生だ」






スピリット先生から渡された
"魔女アラクネの魂"を飲みこんで


ソウルは…デスサイズになった







みんなで拍手を送り それが収まってから


僕は…うるさい心臓の鼓動を
押さえつけながら一歩前へと出て





「色々ヒドいコト言ったりしてゴメンなさい」





深々と 教えてもらった"土下座"で地面に
頭をすりつけたままそう言った





「ああ、うん…もういいから
とにかくその、頭上げて」





その言葉に甘えて姿勢を直すと


ソウルの紅い瞳とかち合う





「ずいぶんと思い切ったもんだな」


「あやまる時はちゃんと目を見ろって
教わるじゃない、つまりそういうコトさ」


「…あっそ」


少し素っ気ない…でも、それも当然かな





ため息をつくと キリクが不思議そうな
顔をして訪ねてきた





「でもお前、休学してるんじゃ…」


「いや休学はマジなんだけどね」


「正式なメンバーとしてはちょ〜っと
力不足だから、二軍として陰ながら
活動してもらおうかと思ったのよーん」


『二軍があるの?』





いい加減と言うかテキトーというか


死神様はいつも通りの軽さを発揮している





「ま、そんな感じでよろしく」





笑いを浮かべながら差し伸べた手を


がっちりと、ブラック☆スターがつかんだ





おう!補欠としてこき使ってやるから
しっかり働けよ!」


「いや二軍だってば」


「きゃははははは♪」





とりあえずは…みんなに笑って
受け入れてもらえて一安心、かな?








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:飛ばして行きますよスパルトイ編!


リズ:キッド救出じゃねーのか?


狐狗狸:まースパルトイとして活動もするし
こっちでもありかなーと


死神:死武ガキ隊でもよかったのになぁ〜


ジャッキー:それはちょっと…


椿:あの、君が正式なメンバーとして
認められる可能性はあるんでしょうか?


死人:お前達同様、発展途上だからな


ナイグス:能力が安定して向上するか、正式に
パートナーを組んで実績を重ねれば見込みがある


ハーバー:なるほど




若手精鋭部隊+αに、魔の手が伸びる…?


様 読んでいただきありがとうございました!