我ながらよくもまぁ、頻繁に足を
踏み入れられるモンだとうんざりする


それでも見慣れた景色は変わらねぇ





「またここに来ちまったか…にしても、ダリぃ」





俺はいつもの通り 伏魔殿に迷い込んだ










〜「眠り姫のおあずけ」〜











特に当てもなく、しばらく辺りをうろつくが


いつもなら大抵いるはずの

霜花のオニシバの姿が見当たらない





「珍しいな…あいつ今日はいねぇのか?」





まあ、いたらいたで面倒なんだが





「にしても 伏魔殿って涼しいな〜





さっきまで炎天下の道を歩いていた為か
伏魔殿がとても涼しく感じ


思わず 眠気がやってくる





フアァァッ…あ〜…眠い…」





意識しだすと余計に眠気が増してくる







そういや…アイツに色々家事だのなんだので
働かされて、ロクに寝てねぇ…んだよなぁ…


今だって スーパーの袋下げてるわけだし


てゆうか買い物の帰りに、迷ったわけだし


けど…何にせよ、眠い


考え出すほどに耐えられなくなって





「ダメだ…ちょい、休憩…」





俺は近くに腰を下ろすと

隣の岩に寄りかかって眠る事にした







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何とはなしにふらりと歩いていると


伏魔殿の岩山で 見慣れた姿を見つけた





「おや あれは…」







近づいてみると 件のごとく買い物中迷いこんだらしい
六花のさんが 岩にもたれて眠っていた





そりゃーもう安らかに寝てるから


起こさねぇよう、静かに近づいた途端





急にバランス崩して さんが前のめりに倒れかかる





おっとぉ!





あっしは急いで駆け寄って さんの体を支えた


しかし 相手はそれでも起きやしねぇ





「ったく危なっかしいったらありゃしないねぇ…





一息ついてから、支えた状態のままで岩山まで
身を寄せてから腰を下ろし


さんをあっしの身体に寄りかからせる


それでも起きない





「よっぽどお疲れのようで」





仕方無えんで そのままの状態を維持する







視線は、敢えて逸らした


…アンタの方を見ちまうと 歯止めが利かなくなりそうだ







「にしても 意外に軽かったなぁ





呟きつつ 肩のぬくもりを意識する







オニシバ…





いきなり聞こえたさんの台詞に 思わずびくつきつつ





「なっ…何ですかぃ?


そう聞いてみりゃ





予想だにしなかった台詞が飛び出した





東京と大阪…奪った






訳がわからずに隣を見ると…


相手は固く目を閉じたままだった







つうことは、今のはアンタの
寝言なんですかぃ!?






こんなハッキリした寝言 初めて聞きやしたよ…
というより どんな夢見てるんでさぁ?」





どうにも気になっちまって顔を覗き込む


と…


唐突に 眠ったままのさんがうなされ始めた





「う…うるさい…黙れっ…





さっきまでの安らかそうなツラはどこへやら


やたらに苦しげな顔で、呻いている





普段の憎まれ口から 考えりゃ何とも似合わねぇ







―ひょっとして あんたは今


例の悪夢を見てるのかぃ?







「安心して下せぇ もう大丈夫ですぜ





そっと耳打ちしてやれば


呻くのを止めて…さんは安心したように笑った









―その顔は あっしの歯止めを外させるには十分だった








「…まずは 眠り姫を起こしましょうかねぇ」





誰にともなくあっしはそう言い


顔をそっと、近づけていく…





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聞きなれた声が聞こえて 意識が夢から戻ってくる…





目を開けると 何故かオニシバの顔が近づいていた


ので反射的に掌底打食らわせて
接触寸前のツラを吹っ飛ばす






ブオァッ!?





アイツは勢いよく仰向けに倒れてから


すぐさまアゴ擦りながら起き上がってきた





痛ててて…いきなり何するんですかぃ」


こっちの台詞だ 寝込みを襲うか普通?」





至極当たり前な反論をするが





「それに関しちゃあっしにも言い分がありまさ」


オニシバは不満げな表情でにじり寄って





「寝顔で誘っておいて おあずけ食らわすのは
反則ですぜ?」





とかワケ分からんこと言いながら
両手で俺の肩をつかんできやがった


その対応と、グラサン越しの目が笑ってねぇので





「知るかそんなもん!」





力いっぱいハリセンの一撃を食らわした








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:いつも某茶でお世話になってる伏義サマ〜
夢完成しました〜…って、スイマセンでしたぁぁ!!


オニシバ:アンタいつもそればっかりですねぇ(ため息)


狐狗狸:だって…今回の展開変な具合に早いし 意味不明だし…


オニシバ:確かに…あのさんの寝言は意味不明でしたねぇ


狐狗狸:あああれね 前半の「東京と〜」までは実話です私の


オニシバ:マジですかぃ!?


狐狗狸:うん 何でも弟の証言によればそう言ったんだそうな


オニシバ:成る程…所で おあずけ食らわしてくれた
お礼はまだでしたねぇ…(何気に銃を取り出す)



狐狗狸:そ、それではこんなんでスイマセンが
もらってやってください&皆様ありがとうございました〜(逃)