某月某日 伏魔殿にて





「あら くんが保護してるなんて珍しい〜」


「俺を何だと思ってんだ!」





迷子になったを探して 伏魔殿にやってきた
と一緒にいるを発見した





迷子になるダメ式神♪それより くんどうしたの?
何だか疲れてるみたいよ?」


後で覚えてろ…ああ はな
さんの事で悩んでるんだって」


「そうなんだよ…もうどうしたらいいか……」


今にも泣き出しそうな声で呟く





「そうなんだー それにしてもくんって
よくの事で悩んでるよね〜?」





不思議そうに聞くに は溜息つきつつ





「悪いな…俺の宿主、鈍くってな」


「何よっ だって色々鈍いくせに!!


「何だとこのダメ闘神士!!!」





ギャイギャイと口論し始めた二人を見ながら
は心の中で呟いた







(……オレの知ってる女の子って みんな
自分に向けられた好意に、物凄く鈍い











〜「苦労性×苦労性」〜











口論が収まってから が本題を切り出した







「最近 が冷たいんだよぉ…修行しようって
言っても、うるさいって避けられるし 今日だって
どっか行ってろって降神されて伏魔殿放り込まれたし…」





さめざめと泣き出すの頭を がなでる





「ああ、そう言えばこの間が 受験のシーズンだ
って言ってたなぁ…」


「受験か それだったら仕方ない…よな?」


の呟きに 思わず苦笑する









それもその筈、二人は勉強に対する集中力
実際にこの目で目撃している


っていうか 集中の余り別人格のように怖かったし







「それはもう解ってるんだけどさー!でもオレとしては
やっぱりが心配なんだよぉ〜!!





と血色の悪い肌を更に青ざめて叫ぶ





「気持ちは分かるけどね〜でもやっぱり受験が
終わってからじゃないと がこわいよ?


「でもそれじゃ いざ神流が攻めて来た時に
の防御が間に合わないよ〜!!!!」



「わかったわかった 泣くな、落ち着け!







をなだめる光景は、今に始まったものではない







辛い過去を持つを支える為 どうしても過保護に
なりがちな


そんな彼を見て なんとなく自分と似ていて

はどうしても放って置けないのだろう





ノリとしては "同病相哀れむ"みたいなものだ


(お互い 多分恋愛って柄じゃないだろうし)









「じゃあ 修行をつけてくれそうな人を頼んでみるとか?」





と に提案する







「って言っても…受験勉強抜きで考えても
の実力につりあうヒトじゃないと……」


「そっか 俺達じゃダメかな?」





が何気なくに聞くが 彼が答える前に


「あたしはめんどくさいから協力するのパス
やるならだけでやってね」


「って それじゃ修行を付けられないだろーがっ!!


「だって闘うのやだもん、ましてやと戦いたくないし
…そうだ!マサオミさんは」


「絶対ヤダ!オレが絶対ヤダッ!!」





が皆まで言う前に が叫び倒す







「…お前の気持ちはわかる あんな奴に頼めないよな





呆気にとられるを余所に は頷きつつ
の肩を叩いて同意







「何で二人ともマサオミさんをそこまで嫌うかな〜?
じゃあ リクくんたちは?」


「…それも良くない は何だかんだ言って
手加減するだろうし、あっちだって本気で挑めないし」





の二度目の案をあっさり却下する





「……中々難しいな したら後頼めそうなのは―


と、が言いかけて 言葉をとぎった







二人がの視線の先へ顔を向けると―







「ん?何だ ちゃん達じゃないか


なんともいえないタイミングで ヤクモが通りかかった





「……ヤクモクン!?」


は途端に体をしゃきっと起こして
驚いたようにヤクモを見る







「噂をすれば…ヤクモさん 丁度いい所に」


「こっ こんにちはヤクモさん


は普通に挨拶し
頬をピンクに染めて大人しくなった





「オレに何か用でも?」


「ええっ 実は頼みたい事が…」







照れながら話すを見つめながらも 
に問い掛ける





「あれ?二人ともヤクモクンと親しそうだね?」







に 小さく耳打ちをする





「あー…ヤクモさんにベタ惚れなのは知ってるよな?」


「そんなのオレじゃなくても知ってるよ」


「……神流の活動のせいで ヤクモさん目当て
が伏魔殿に立ち寄る回数が大幅増量してんだよ」





呆れてため息つくのその言葉に
それでお互い親しい仲なのか、とは納得する







くん、二人とも
ひそひそ話しないの…聞こえてるわよ?





黒い笑みを浮かべたが 気配もなく
背後に立っていたことに 二人は戦慄した











「それで、オレに頼みたい事って?」





ヤクモの声に、黒い笑みを慌てて引っ込める







「あ、実は くんがに修行を付けてくれる
強い人
を探してるみたいで…」


「へぇ〜そうなのか、そういう事なら是非とも」


「!?ちょっ ちょっと待って!!」





慌てて止めるに 訝しそうにヤクモが訊ねる





「何か問題でもあるのか?」


「いや…特に問題ってほどじゃないんだけど、ほら
ヤクモクンも色々忙しい身だしさ、イキナリ頼み事を
するのも
どうかなぁって…」





苦笑しつつ手を振り動かし弁明する





「気にするな それともオレがの修行をつけるのが
気に入らないのか?」


「いや、そう言うわけじゃないけど…;」







実はには、先ほど修行を引き受けようとした
ヤクモに何か黒いオーラが垣間見えたらしい


そのため、何とはなしにいやな予感がして止めたのだ







くんって文句が多いな〜折角ヤクモ様
修行付けてくれる
って言ってるのに」


「…お前 のんきな事言ってる場合なのか?」





何やら必死なを眺めているに、
意地悪げに呟く





しかし その言葉の意味も、

そして理由もことごとく理解していない







「あ〜あ、が羨ましいな〜あたしもヤクモ様に
修行つけて欲し」


「それだあああぁぁぁっ!!」





の呟きに賛同したのは 何とだった







「え それって…どういうこと?」


事態の飲み込めないに もどかしそうに説明する





「だから の修行相手になってもらって
変わりにヤクモクンがの修行相手に
なってもらえばいいんだよ!!



「って、それは何か違うだろ
問題になってるのはじゃなくてさんだし」


即座にツッコむ





は 、と言葉に詰まる









しかし 目を輝かせて両手を合わせる





くん それだったらあたし協力する!!


「本当に!?」





ほっとしたようなに 今度はヤクモが慌てた







ちゃんには悪いけど、これはの為の話だから」







その言葉に は少しだけ考えて







「じゃあ あたしとの修行の立会いに
ヤクモさんも来て下さい!
これならオッケーですよね?」


「え、でも 一旦はの修行を頼まれたし…」





戸惑っているヤクモを 上目遣いでは見つめる







「〜〜だめですか?







ウルウルとした目で見られ、ヤクモは返答に
詰まってしまい……やがて





「…そこまで頼まれたら断れないな、いいよ


苦笑交じりで答えるヤクモ







は心底嬉しそうだった









……しかし、はそんな三人の様子を見ながら
心の中で呟いた







――ああ、面倒くさい事になりそうだ と







彼女の予測は 見事に的中する事となる








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:大変遅くなりましたが 七野了様に捧げる共演夢を
書かせていただきました〜ほんっとうに駄文でごめんなさい!!
かなり無茶苦茶だし オチもあれだし…(泣)


ヤクモ:てゆうか 何気にオレのキャラクターが例の丼と
かぶってないか?



狐狗狸:そんなことはありません(キッパリ)様の
お話を書くのもよかったんですが、苦労してるでも
ありかな〜と


ヤクモ:なら話のどっかにを出せばよかったじゃないか


狐狗狸:…話にもある通り 受験中という設定なので(苦笑)
ヤクモ:とかいって 本当は展開が思いつかなかった
だけ
じゃないのか?


狐狗狸:ゴメンナサイ その通りでございます(平伏)


七野了様 こんなヘタレ駄文で申し訳ありませんでした!!
こんなんでよければ貰ってやって下さいまし!
ありがとうございました!!