ある朝、洗面所へといった俺はとんでもないものを目撃した







「うっ……嘘だろっ!?


「どうしたの〜…あれ?耳と尻尾は?





そう、が示すその通り 六花族の象徴である
狐の耳と尻尾が無くなっていたのだ








「…俺はどうすればいいんだ?」


とりあえず俺はにそう聞いた





実際こうなった経緯も原因も不明な為 物凄く不安なのだ






は少し考えていたが、やがていつもの調子で言った


「気にしなければきっとそのうち直るよ♪」


「ちょっ、待て!直んなかったらどうするんだよ!!


「どうせあたしじゃないからいいもんvそれより
朝ゴハン済ませたら 洗い物とお使いお願いね?





ニッコリとした笑顔では言った 言い切りやがった







何か文句の一つでも飛ばしたかったが

時間の無駄なので、諦めて朝飯を用意し始めた











〜「いつもと違う時間」〜











朝飯と洗い物も終えて 俺は買出しへと出かけた







出かける前にと色々試してみて分かったが

どうやら今の俺は人間に近いらしい





普段より鼻や耳が聞かないし、印を切っても技が出ない


"白凪"を出すことすら ままならない








「こんな状態じゃ戦えねぇ…どうすりゃいいんだ?」







ぼんやりと考えながら歩いていた…すると







「おや、どうしたんですかぃ?さん


目の前に何故か 腐れ縁の霜花のオニシバがいた





急いで辺りを見回してみると、そこは伏魔殿の風景


…どうやら予測の力はキッチリ眠っていたようだ





普段より使いにくくなっている分、尚更性質が悪い









その耳は一体?あと 尻尾も無ぇですが…」


「ああ それが俺にもよくわからないんだけど…」


今朝の事を言いかけて ふと思いとどまる









今の俺はまともに戦える状態じゃない





そして目の前の相手は俺に好意を抱いている





…いや 別にオニシバの事嫌いじゃないんだけど


コイツの中に在る、ドン引きする位の激しい好意が正直怖い







そんな状況で今の現状を語ったら…





間違いなく逃げられなくなるに違いない


(そのあとの展開は 余り想像したくないが)







絶対に悟られる訳にはいかない









が似合うからって特殊メイク?って言うのを
してくれたんだよ それで一日過ごせってさ」


「へぇ…そうなんですかぃ





ニヤリとしながら返事を返すオニシバ


嘘だと気付いたんじゃなかろうか、と不安になる気持ちを隠して
俺は言葉を続ける





「で、メイクが崩れるからってハリセンも取り上げられた」


「そいつぁ…不便ですねぇ」





笑みを称えたまま近づくコイツから 距離を取りつつ





「言っとくが、が符で覗いてるから
迂闊な事はしない方がいいぞ」


その一言で ピタリとオニシバの歩みが止まる







…自分で言っといてなんだが あり得るだけに背筋が寒い









「ま、まあ距離とって道案内してくれるだけなら
あいつも許してくれるだろうから…頼むよ


「了解…それじゃあ参りやしょうか」





お互い引きつった笑みを浮かべて 距離を取りつつ歩き出した













月ねぇ…なら、酒で」


「月見酒かよ それなら同じ流れで、


「…ちょいと知り合いの顔が浮かんだんで、リボンで」


「春灯族かよ、おまえも大変だな…
じゃあ贈り物でどうだ」







道案内してもらっていて 会話がないのが退屈だったから


歩きながらお互いの言葉で連想ゲームをしていた







…こうやって他愛もない話をしていると 時々こいつも
苦労や思い出を背負って相手を見守っていたことを実感する







「贈り物ねぇ…あ もうそろそろ出口ですねぇ」


マジで?…ありがとな」





ちょっと名残惜しいけど 嘘がばれる前に出口に向かう











今度は元の姿で会いやしょう、さん







駆ける背に、急にそう声をかけられて


驚いて振り向いても そこには普通の路地しかなかった









「…何だ バレてたのか」





俺は思わず苦笑した







************







そして次の日 確かにの言った通り俺の状態は
元通りになっていた





「元に戻れてよかったじゃない ♪」


「ああ 一時はどうなることかと思ったぜ…しかし
今回の事は一体なんだったんだろうな〜」







するとが笑顔で言った





誰かの呪いだったりしてw


「……笑えねぇよその洒落は」







悪いとは思うが俺の脳裏には の顔が浮かんでいた








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:柚葉様のリクエストにより 突如人間になってしまった
を書かせていただきましたが…何コレ(泣)


オニシバ:イキナリ泣き出してどうしたんですかぃ?


狐狗狸:いつもの自己嫌悪だからほっといてくれっ!!
ギャグなんだか甘いんだか ましてやシリアスなんだかわからんし


オニシバ:その上さんとの絡みも少ないようですし


狐狗狸:さらっと便乗しないでください!!(号泣)


オニシバ:(無視しつつ)それにしても…さんは何で
一時的に人間になっちまってたんですかぃ?


狐狗狸:一応 補足としては別館のとある版権キャラが
かけてた呪いが変な風に作用した
 って感じになってます(笑)


オニシバ:なんつうご都合主義な……(白い目)


狐狗狸:それは言うなっ!!それでは柚葉様、
こんな駄文で宜しければ貰ってやってくださいませ〜
そしてお読みいただきありがとうございました