準備は整い つつがなく作戦は夜に決行され
庭に待機する面々はじっと怪盗が
現れるのを待っているのだが…
「あの…これ、前の話とほぼ全く
同じ作戦ですよね?」
茂みに潜む新八の 視線の遥か向こうには
廊下の軒先と、そこに吊り下げられた
黒のビキニショーツがあった
「奴は真性の変態、かつ挑発に乗りやすい
だから敢えて同じ作戦にしたんだ」
断言する彼のセリフに銀時と神楽も続く
「そう、奴にとってもあの一戦は決着が
ついてねぇ…必ず雪辱を果しに来る」
「そこを見事に一網打尽ネ」
「あの変態仮面にそこまでキャラ付け
しなくても…てゆうか失敗まで同じとか
そーいう展開は無しにしてくださいよ?」
呆れ混じりの山崎の嘆願へ、土方がこう返す
「だから前と同じ轍は踏まねーよう
こうして各場所に人数配置されてんだろうが」
…そう、彼らは一箇所ではなく
囮の下着を中心として駆けつけられる範囲で
バラバラの位置に潜んで待機していた
会話は事前配布された無線を通じて行っている
『ジャック、手筈通り怪盗はそちらの屋敷へ
向かっている…抜かるなよ?』
カズからの連絡を受け、作戦が予定通り
進行していることに満足し
「ああ分かった…みんな 奴が来たら
言った通りのフォーメーションで行くぞ」
『(おう・はい)!!』
発破をかけるへ全員が呼吸を合わせ同意した
…そこでふと、銀時が気付く
「…あれ?そういやがさっきから一言も
しゃべってねーんだけど」
「本当ネ どうしたアルか?野グソアルか?」
「頼むから女の子が野グソとか言うな神楽」
飛んでくるツッコミを無視して呼びかけるが
彼女の応答は 全くない
「オィオィ…まさかうっかり転ぶか何かで
三途に行ってんじゃねーだろうな?」
「流石にそれは…無いと思いたいんですけど」
「あ、オレちゃんの待機地点から近いんで
様子見てきましょうか?」
「頼むぞ山崎君…庭を横切る際くれぐれも
罠と奴に見られないよう注意してくれ」
「大丈夫ですって、これでもオレ監察ですし」
自信ありげに笑い 廊下に少しだけ近い
庭の部分を素早く駆け出そうとして
カチ、と機械的な音が足元で響いた直後
確認する間も認識する間も無く爆発が起き
吹っ飛ばされた先でも火炎放射やら
丸太の直撃やらが降り注いで
悲鳴すら上げられず軒先の少し手前の地面に
山崎はうつ伏せて昏倒した
「山崎ぃぃぃぃ!?」
「おぃぃぃ!今の連鎖的に作動してたよ罠!
あんな凶悪なモンしかけてたのかテメェ!!」
「いやいやいや!そんな罠は設置した覚えが
ないぞ!おいカズ、どうなっているんだ!?」
即座に無線で連絡すれば、返されたのは
ややばつの悪そうな声音
『すまんジャック…少し張り切って
罠を設置しすぎてしまったようだ』
「けど 私達が張り込んだ辺りでは
全然何も起こんなかったアルよ?」
共同回線らしく、聞こえた神楽の声へ
律儀に返答を寄越すカズ
『昼間はなんとも無いが、夕方から
感知式で作動するタイプの各種トラップを
敷地内にびっしり敷き詰めてある』
「何してくれてんだテメェェェェ!これじゃ
奴が現れても迂闊に近づけねぇじゃねぇか!」
「お、落ち着いてください!叫ぶと見つか…」
無線をぶっ壊しかねない叫びを上げる彼を
新八が宥めた辺りで
「ふはははは!相変わらず滑稽な連中め!!」
轟く声が 屋根上から五人へと降り注がれた
「パンツの紐に導かれ、今宵も駆けよう
漢・浪漫道!モテない男の救世主である
フンドシ仮面の行く手は誰にも遮れんのだ!」
口元にフンドシを巻きつけ、白いブリーフ
一丁という出で立ちで現れたのは
まさしく怪盗・フンドシ仮面本人
「貴様ぁぁぁ…のこのこ現れたな!
そのまま動くんじゃねぇ、今撃ち殺して」
「サイト閉鎖になるぅぅ!てかあくまで
捕獲が目的だからさん!!」
迷わずヤバイ行動を取り出す彼を抑えるべく
罠を越え塀越しに集う面々に構わず
相手はすたっと廊下へと降り立って
「またもや策に溺れ動けなくなった貴様らは
そこで見ているがいい…変態に己の女の
パンツが奪われる様を、ぐあぁぁ!?」
伸ばした手がショーツへ触れたその瞬間
どこからともなく走った稲妻が眩い光を
帯びてフンドシ仮面へ直撃し
刹那 相手を床へと引き倒す
「ふっ…こんな事もあろうかと廊下周辺に
張っておいたトラップが役に立ったか」
「どんだけ奴に殺意つのらせてんの!?
てゆうかアレ何万ボルト出てんだよぉぉ!!」
「そんな事より今がチャンスアル!
ザキの屍を踏み越えるネェェェェ!!」
倒れ伏す山崎を安全地帯と見なし 彼らは
容赦なくそこを超えてフンドシ仮面へ迫る
だがしかし、相手の執念は凄まじかった
「ぐ…一度ならず二度までも…同じ土俵で
負けてたまるかぁぁぁぁ!!」
よろよろと身を起こしショーツをもぎ取り
怪盗は廊下から立ち去る予備動作へ入る
「マズイ!奴に逃げられちまうぞ!!」
焦る土方だが、四人の到達よりも怪盗の逃走が早い
「ふははははっこれでこちらの勝―どわっ!?」
ビュン、と風を切り裂いて走る何かが
飛び上がろうとしたフンドシ仮面の鼻下を
浅く掠めて壁面に深々と突き刺さる
それは…トラップに使われていたらしい竹槍の一部
「ぎゃああぁぁぁぁぁぁ!!」
「ああああぁぁぁぁぁ!ちょ、屋敷がぁぁ!」
野郎二人の絶叫が闇を裂くのも構わず
「貴様、一度ならず二度までも…
兄上の下着を返せぇぇぇぇぇぇ!!」
怒号を上げトラップを連鎖作動させながら迫るのは
いまだ頭からだっくだく流血しまくってる
『怖っ!?』
その恐ろしいまでの外見&殺気に竦みあがった
フンドシ仮面へ槍底が
届く3cm手前で、彼女の身体が下へと沈み込む
「ぬああぁぁぁぁぁ…!?」
突如現れた穴の底へ 諸手を上げてボッ○ュート
「あ、あの辺にもトラップ仕掛けてたっけ」
「テメェも下着ドロ一人捕まえんのに
どんだけ罠投入してんだよぉぉぉぉ!!」
「てか結局何しに来たのアイツぅぅぅぅ!!」
呟くに噛み付く土方 でもって隣で
頭を抱え絶望する銀時
「そんなこと言ってる場合ですか!!」
「早くしないとあの変態逃げるネ…
ってアレ?」
そこで神楽と そして他の面々は気付く
逃げ出そうとしていたハズの
フンドシ仮面はいまだそこにいる事に
よく見れば相手の顔面は夜目にも
はっきり分かるほど真っ青に青ざめており
おまけに身体全体が小刻みに震えている
「い…今、この娘…"兄上の下着"って言った?」
視線の先には 先程落ちた彼女がいる穴
「そーだよーテメェがいま手にしてんのは
きっちり二個タマがついた、野郎の下着だ」
投げやり気味に吐き捨てる銀時の言葉に
フンドシ仮面の動揺が 更に増す
「そ、そんな事があるワケが無い!
あんな超絶美人が男だなんて…認めんぞ!!」
「いや…残念ながらコイツの言う通りだ」
必死に否定する変態怪盗の望みを断ち切るように
開き気味の瞳孔で見据え、土方は淡々と言った
「オレぁ田足篇時(あんとき)見てんだよ…
ピーマン兄貴のご立派なブツをな」
彼の脳裏(と言うか背景)に流れる回想は
二人で行動していた時、途中で厠へ
寄って用足ししていた際に
並んだ相手のソレへ瞠目する自身の姿
「アンタらあん時そんな事してたの!?」
「ああ…オレも共演短編時(あのとき)に
確認して 思わず二度見したわ」
続くの脳裏(やっぱり背景)にも
仙望郷の脱衣所で相手の股間を注視する
当人の姿が回想として映し出されていた
「さんも!?まあ確認したくなるけど!!」
注:股間の部分にはモザイクを使用しております
「いや文章だしこれ!いらないから
そんな配慮と注釈ぅぅぅぅ!!」
だが彼らの言葉と、背後に背負った回想とが
見事なまでに奴の心へ止めを刺す
「そ…そんな…そんなぁあぁぁぁぁぁあ
亜w背drftgひゅじこlp;@:っ!?」
怪盗としての生涯で"あってはならない"間違いが
彼の認識やプライドや信念…そして
魂までもを無残なまでに砕き散らし
結果、よろめいて地面へと転がり落ちる
そこへ追い討ちをかけるように
仕掛けられていた地雷系トラップが発動し
フンドシ仮面は爆炎と共に舞い上がった…
「自滅…奴の最後は自滅…」
「まぁ、今回ばかりは同情するわ」
「ああ…アイツに目をつけたのが
まさしく運のツキだな」
黒い煙を上げた悲しき男を見つめると
彼らはその無残さに思わず目を細め
「ほんっと男ってバカアルな」
「それより三人とも、穴の底に落ちた
さん助けるの手伝ってくださいよ!」
あとの二人は、二度目の三途への
瀬戸際に立たされた仲間の救出に必死だった
……こうしてめでたくフンドシ仮面は
牢屋へとリターンしたのだった
しかし、意外にしぶといあの男のこと
また脱獄する可能性はゼロと言い切れないが
「まっ しばらくは立ち直れないだろう…」
断言し 新聞から目を離したは
やや虚空を見上げて思った
…今度あの人と顔を会わせた時には
何か礼でもしとこう、と
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あとがき(というか楽屋裏)
狐狗狸:共演夢を頂いたお返しで、頼まれも
しないのに浮かんだネタで共演返しっす
銀時:だからって何で下着ドロでまた二部構成!?
狐狗狸:"フンドシ仮面の逆襲"をテーマに
据えて夢主二人を暴走させたら一ページで
納まらんかったんですよ
土方:暴走しすぎだろ…てゆうか今回本当に
総悟がいなくてよかったわ
山崎:どんだけ無双好きなんですか管理人…
それよりヒドイですよみんなオレを踏み台に
新八:あの、気持ちは分かりますが
それ以上は本当自重してください山崎さん
カズ:しかしあのお嬢ちゃんがフンドシとは
…世の中分からんもんだなぁ
神楽:いらん事しぃのクセに何しれっと
参加してセクハラ発言してるねエセ銀ちゃん
狐狗狸:うわぁ…容赦ねぇよ神楽ちゃん…
フンドシは帯同様「本」または「枚」で
数えるそうですよ(いらんそんなムダ知識)
駄文ながら退助様に捧げさせていただきます
様 様
読んでいただきありがとうございました!