今 ある警察署の取調室の一室で


あっしは容疑者―六花のさんと向かい合っていた





「…一体何をやらかしたんですかぃ?」


何もしてない 勝手に連れてこられたんだ」





憮然としたツラで睨み返される





確か報告によりゃ 暴行の起こった現場にいた為
現行犯逮捕
、となっていた筈


まぁ恐らく、何かのトラブルで攻撃しちまったって所だろう


何にせよ罪は罪…認めちゃくれねぇモンか











〜「不良刑事の事件簿」〜











「白状した方がいいですぜ?隠すのはよくねぇ」


「だから何もしてない 無実なんだ!
しっかり調べてくれよ!!」


さん、ネタはとっくに上がってるんですよ?」


「人の話聞いてんのかオニシバ!!」





さっきからどう問いただしても "無実"の一点張り


強情もここまでくれば本物だ







でも…さっきも言った通り証拠は十分揃っている


だから後は事故にせよ故意にせよ
自白させて、落とすだけだ







「まぁ 怒ってばっかも何でさぁ
これでも食いやすか?





そう言って さんの目の前にカツ丼を差し出した





「何のつもりだよ…そのカツ丼は」





カツ丼と、こっちを交互に見やる相手へ

すかさずあっしは言葉を紡ぐ





「…田舎のおふくろさんが悲しみやすぜ?吐けば
楽になりまさぁ」





目を見つめ返し、笑いながら静かに
告げんのが要点だ


大抵の容疑者(大半は娘さん)はこれで口を割るのだが…





だから無実だっつの!それに悪いが俺は
カツ丼そんなに好きじゃないから遠慮しとく」





睨み返しながら 嫌そうに
カツ丼を押し返されちまった


やっぱりこの娘にゃ通用しないようだ…





仕方ねぇ こうなりゃ別の視点から攻めてみるか







「話は変わりやすが、痴漢に襲われた事はおありで?」


「別に、しいて言えばお前が十分痴漢


成る程 そいつぁ無用心ですねぇ」


「って聞いてねぇなこのヤロ…」





眉をしかめるその顔も それはそれで可愛い





「それじゃあ 襲われた時の対処法を教えやしょうか…」





じぃいっと顔を見つめながら
机から身を乗り出した その途端





さんは椅子から慌てて立ち上がり

間髪入れずに後退る





「何かまた企んでるだろ この変態犬刑事!」





そいつぁ随分な言いががりだ…


ついでに口に毒があらぁ、こりゃ現場での
引き金引いたってのも納得でぃ





今の言葉は公務執行妨害ですねぃ
おまわりさん 傷付いたなぁ」


「待てオニシバ!その台詞はヤバイ色々と!





じりじりと重圧かけて距離を縮めりゃ


相手は反対に、じわじわと後ろに下がる


…が狭い取調室でいくら間を開けようが
壁にぶち当たんなぁ目に見えている





逃げられると思ってるんですかぃ?」


「ふっ…勿論だ 隙あり!





大きく振りかぶったハリセン攻撃を受け止めようとして―





あっさりと横にすり抜けられた


しかし 焦ることなく尻尾を掴む


「ぎゃっ!!」





怯んだ所で、後ろからガッチリ
抱きすくめるようにして捕獲した







「ニャロっ尻尾は反則だっ!!


「コイツぁ失礼…さて余罪も増えた所で
取調べ再開と行きましょうや」





言いながら 腕の力を強める





「くっそ…はぁなっせーーーー!


顎を引いた後、この娘はあっしの顔目掛けて
頭突きをかまそうとする


難なく避けて 無駄だと言おうとしたその時





足を思い切り踏まれちまい

予想外の攻撃に思わず 腕の力が緩む





間髪いれず振り向きざまの肘鉄と顎ねらいのハリセン
流れるように入った







「無実の一般式神に何すんだ!!」


「…刑事に攻撃かましといて 今更無実
通りゃしねぇでしょう?」





流石に結構こたえたんで

起き上がり様、恨みを込めて睨んでやりゃ


さんは怯えたように壁へ貼りつく


さぁて…どうしてくれようか









「そこまでよ!!」


声の方へ振り向けば


符が3枚ほどあっし目掛けて飛来し―





取調室に物凄い爆音が響き渡った







動けなくなった所を嬢に簀巻きにされ


そのまま隅に転がされる







「さて 変態は成敗したから、取調べ再開するわね?」


「あ…ありがとう、





二人が向かい合って座り


早速さんが口を開く





「無実だ 俺は何もしてない
お願いだ…信じてくれ!!





無実って…証拠揃ってんですが


あと、もう既にあっしに暴行働いてるんですが





「勿論よ!がそんなことするわけないわ!」


ちょっ あっさり釈放しちまうんですかぃ!?





「じゃあもう帰ってもいいわ♪今度から気をつけてね?」


「本当にありがとうじゃっ!!





なんてこった


さんがこのまま外に出ちまう


…まだ何も自白させてねぇのに







待った!証拠は十分揃ってまさ!
あとその娘の凛々しさは十分罪」


「うるさいわよこの変態不良刑事!!





皆まで叫び終える前に 嬢に顔を踏んづけられた








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:伏義さまに捧げる駄文です…ネタ的には
「犬のおまわりさん」ですけれども、全然そんな風に
見えね〜…(ヘコみ)


オニシバ:というより嬢オチって言うのは幾らなんでも
安直過ぎなんじゃないんですかぃ?


狐狗狸:それは言うなっ!つかカツ丼を
乙女に進めるのはどうなんだろうな〜とか思いますが


オニシバ:いや さんが漢らしいんでつい


狐狗狸:まぁ確かにそうだけどさ…ちなみに
痴漢撃退法で後ろから捕まったとき
足を踏む
のはあるそうですよ


オニシバ:ほぉう…てことはあっしが痴漢呼ばわりされるのは
アンタのせいかぃ……(黒オーラ)


狐狗狸:何を今更!それでは私はこれで…伏義さま
こんな意味不駄文で毎度毎度スイマセン

皆様ありがとうございました〜(逃)