「逆日本でも雨だなんて 嫌になるわね」


「仕方ないですよさん、今は梅雨ですから」









逆日本でげぇむが始まるまで
当ても無く散策してたら、雨が降ってきた







運悪く今日は折りたたみの傘を 忘れてきていたから







慌ててこの建物の下に雨宿りをした











「この様子じゃ しばらく止みそうに無いですね」







私の個魔 が空を見上げて呟く







「こんな事なら、折りたたみの傘を
持ってくればよかったわ」





溜息を一つ落として 壁にもたれかかる









その時、雨の向こう側から


誰かがこっちに走ってきた







「ごめんよ 傘を持ってないんだ
雨宿りさせてもらってもいい?」


「いいけど」







走ってきたのは、青い帽子を被った
紅茶色の髪の男だった





どことなく不思議な印象を受ける











〜「似たもの同士の雨宿り?」〜











しばらく無言で雨宿りしていたけど、
やっぱり気になって 声をかけた







「……あなた誰?」







彼は こっちを見てニッコリ微笑む





「俺の名前は、皆は大抵って
呼んでるけど…君は?」


「………


ちゃんって言うんだ 可愛い名前だね」





はこっちを見てニコニコ笑っている







思わず眉をしかめてしまう







「…何 その微笑みは?私を馬鹿にしてるわけ?」


「俺のこの笑みは昔からなんだ…気に障ったなら謝るよ」


「別にいいけど…あなた、歳は?」


「今年で14だよ」









落ち着いた物腰だったから年上かと思いきや





意外にも同い年らしい













元々私は人との会話が余り得意ではないし


特に会話をする必要も無かったから







先程からのとの会話も
途切れ途切れにしか行ってない









…でも、何を話していても 
ただニコニコ笑っているだけ







ロンドン程キザってワケでも、修みたいに
頭の固い人間でもないみたいだけど





全くと言っていいほど 彼の性格が掴めない











 あなたとって同類じゃない?」


「え…でも彼は普通の人間ですよ?」









言った事の意味を取り違えてか、或いはわざとか
…恐らく後者だと思うけど、







が不思議そうに答えた









性格の話よ、似たような雰囲気してるし」







が返事を返すより先に、が私に聞いてきた







ちゃんの個魔って どんな人なの?」


「マイペースで何考えてるかわかんなくて
腹に一物手に荷物って言葉が何より似合う奴よ」


さんヒドイ…」





私の隣で 落ち込むはこの際無視した







が私の方を興味深そうな目で見つめて、





「面白い個魔だね 一目合わせてもらえるかな?」







一言 そう言ってきた









余りにもあり得ないその台詞に
私は呆れながら返答をする







「何言ってるのよ、自分の個魔は自分にしか
見えるわけ無いじゃない」









けれど、目の前の相手は微笑んだ顔を
少しも崩す事無く









「実はそうでもないのさ、出ておいで」







余裕たっぷりにそう言った途端











の横から 個魔が"姿を現し"







「…嘘っ」


「は、初めまして…」





個魔はもじもじしながらそう言うと





の後ろに隠れてしまった







「気を悪くしないで欲しい、彼女は人見知りするんだ」


「…人見知りする個魔は初めて見たわ」







私は 苦笑してるにそう言ってから









「ちょっと、何での個魔が私にも見えるのよ?」







立ち直ったらしいに 小声で問いかけた







「ああ この方は元を正せば鏡魔ですから
こういう事が出来るんですよ」





あっけらかんと返されて 私は拍子抜けしてしまった





…何だか 私一人だけ驚いたみたいで腹が立つので







「ふぅん、個魔って変り種が多いのね」







平静を装ってそう答えた













の姿も"現し"、色々質問攻めに
していたみたいだったけど





私との状態は 先程から全く変わっていない









さん、さんはちょっと変わってるけど
悪い人じゃないみたいですよ?」







少し困ったような顔で が私に話し掛ける





…ちなみに、もう姿は私にしか見えない







「ふぅんそうなの、よかったわね」


「…まだげぇむが始まった訳じゃないんですし
もう少し仲良くおしゃべりしたらどうです?」


「別に、話したい話題も無いし面倒だからいい」









断言したこの一言に、は口をつぐんだらしい











より一層激しくなった雨音だけが
支配するこの空間を壊したのは











「うひゃ〜 助かったぁ、急に雨が
強くなってくんだもんな…って あ!!







唐突に上がった大声と共に姿を現した三志郎だった









彼も傘を持ってなかったらしく、





頭からぐっしょりずぶ濡れになっている







二人もここで雨宿りか?」


「ええ 傘を持ってなかったのよ」


「奇遇だな〜ちょっと悪ぃけど
一緒に雨宿りさせてもらうぜ?」







そう言って 三志郎がちょうど
と私の間に開いた空間にやってきた





右から・三志郎・私と並んだ形で
激しくなる雨をやり過ごしていた







「〜っだあぁぁー!何時になったら
止むんだよこの雨はあぁぁ!!」



「うるさい!」







私の一喝に 三志郎は口を尖らせる







「仕方ないよ三志郎君 こっちでもきっと
雨季なんだと思うよ」





宥めるように言うに、三志郎は溜息をついて







「こんな時、カラカサお化けがいたら
ちょっと傘になってもらえんのにな〜」


「三志郎 それ、何か違うわよ」


「いいじゃん、傘になってもらいながら
一緒に雨の中をしゃべりつつ歩くつもりなんだし」


「…何か意味があるの?それ」







私の冷めた一言に 三志郎が熱をいれて





ある!一緒に色んな話をしたり助け合う事で
カラカサお化けと友達になれるだろ?」


「三志郎君の願いは、妖怪と友達になることだもんね」







フフ、と笑ってから が唐突に尋ねる







「そういえば、ちゃんはどんな願いがあるの?
差し支えないなら 教えてもらってもいい?」









のその言葉に、私は少し迷ってから







「特に決まった願いは無いけど」







と 端的に答えた











「君も願いはまだ無いんだ…俺と同じだね」


「あら、あなたも?」


「うん 俺も願いがないまま、妖逆門に参加したんだ」







その言葉は 少なくとも私にとって意外だった







私が今まであったぷれい屋は
皆 何かしら願いがあったけれども





願いを持たないぷれい屋


私の他にもいたんだ…











「今は願いが無くても、これから見つければいいじゃん!」







力説する三志郎に が頭を撫でながら







「そうだね 三志郎君の前向きさを
俺も見習わなくっちゃ」





子供を優しく見守る 歳に似合わない眼差しをした









「ジン あなたって優しい人なのね」







思わず口にしてしまった一言に、


けれどジンは気分を悪くした様子もなく







「安心してくれたみたいだね、ちゃん
俺の事取っ付き辛いみたいだったから」


「何だ バレてたの」







苦笑しながら言った私の言葉に
やや柔らかめの微笑みが返す







「何となくね、俺 誰が何考えてるか
初対面でも何となくで分かっちゃうんだ」


「Σマジで!? お前ってスゲェ!!?」


「ちょっと、三志郎 大声出さないでよ!
隣なんだから耳に響くのよ!」



「リオ そんな怖い顔で怒鳴るなよな〜」











それからは 三志郎もいたせいか話が弾んで







あー腹へった あったかいモン食べたいな〜」


「私は、コンビニによって肉まん買うつもりだけど」


「俺もゴーヤを何処かで手に入れなきゃな」


「…ゴーヤって、チャンプルーでも作るの?」







三人で話し込んでいたら、いつの間にか
雨が上がっていた









「ようやく 雨が上がったみたいね」


「みたいだね…あれ、三志郎君?」







急に三志郎が建物から走り出したので
私達も 釣られて後を追う











彼は少し先で立ち止まって、







「見ろよ!でかい虹が出てるぜ!!」









…三志郎が指差す空には、見事な虹がでていた







「本当、キレイね」


「雨も悪い事ばかりじゃないね ちゃん」







がニッコリと微笑んだ











…確かに





話した事も無かったぷれい屋が、


意外な共通点があったこともわかったし







こんな面白い出来事が起こるのなら
雨の日も 悪くは無い








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:大変遅くなりましたが 小豆様のサイトが
十万ヒットという事で、お祝いに共演夢を書きました〜


三志郎:おめでとう小豆さん!
狐狗狸も 話間に合ってよかったじゃん!!


狐狗狸:ありがとー!本当もう最後時間&眠気との
戦いだったから 途中獄門世界が見え


三志郎:それ絶対ヤバイから!!


狐狗狸:アハハ 冗談冗談(笑)


フエ:洒落になってないぞ…てゆか、今回の共演も
妖逆門の捧げ夢も サイト初じゃねぇか?


狐狗狸:よく気がつきましたね 話では
全然出番のなかったフエさん!!


フエ:…ケンカ売ってんのか


三志郎:仕方ねーよフエ、もしなんかの弾みで
自分とオレとの個魔を顔合わせさせたら


狐狗狸:間違いなく 二人がケンカする上に
収拾つかなくなるだろうね(汗)




初・妖逆門共演夢ですので キャラ間違ってたら
本当にごめんなさい!!


小豆様、こんなんでよければ差し上げます
改めて10万ヒットおめでとうございました!!