それは平和になった世界の片隅での会話―
「何すんのよそこのアンタ!待ちなさあああぁぁぃ!!」
「うひゃ〜っ 勘弁してよっ!!」
伏魔殿のとある山の中で 青龍のキバチヨが
何故か光明のに追い掛け回されていた
「何でアイスでこんなに追い掛けられなきゃいけないのさ?」
「イキナリあんな事して謝罪の言葉一つないのが
許せないのよ!!」
「だからソーリーって謝ったじゃん!怒りっぽいな〜」
「あんなの謝ったうちに入らないわよ!
誠意を込めて謝るまで許さないからね!!」
どうやら伏魔殿でキバチヨが 誤っての顔に
アイスぶつけたのがきっかけらしい
しばらく必死で逃げ回っていたが やはり執念に負けたのか
鬼のような形相で駆け回る彼女に とうとうキバチヨは捕まった
「ようやく捕まえた!さぁ歯を食いしばりなさい!!」
「うわ〜助けてマサオミ!!」
とうとうとっ捕まって 正に殴られそうになったその時
キバチヨの言葉にの拳が寸止めされる
「マサオミって…何であの丼男の名前が出てくんのよ?」
「だって オレのパートナーだったもんマサオミ」
予期していなかった知り合いの名前と発言に
は掴んでいた相手の胸倉を離して
呆気に取られたような顔で問い掛ける
「じゃあマサオミの式神って…あんたなの?」
「そういえば、昔の式神が光明族って聞いたけど
ひょっとして〜?」
実を言うと 妙な偶然が重なっていたのか
二人が直に顔を合わせたのは、これが初めてなのだ
「それじゃあ紹介しなくちゃね☆
オレは青龍のキバチヨ ヨロシク!」
「光明のよ、覚えておくことね」
人懐っこい笑みを浮かべつつ差し出したキバチヨの手を
ユアンが訝しがりながら握り返した
〜「姐御の妙縁」〜
お互いに名乗りを上げてから キバチヨが
彼女をじっと見つめて言う
「話には聞いていたけど…って、姉さんって感じだね〜」
「誰が姉さんよ誰がっ!」
憤慨しているところ悪いけれども
間違いなくアンタだよ
「だって姉さんは姉さんだよ☆オレの知り合いも
そう言っていたしね」
恐らくそれは某二丁のことに違いない(何)
アハハ、と笑うキバチヨを はため息つきつつ眺める
「全く…青龍族ってのは変わり者が多いわね」
「光明族ほどじゃないと思うけどな〜オレは」
彼のその発言に はカッと目を見開く
「何ですってぇ!師匠の事を悪く言ったら許さないわよ!!」
師匠崇拝はいいけれど そこまで相手に詰め寄る程だと
もはやちょっとしたストーカー 某親バカと大差ない(爆)
「オゥ 怖い…所での師匠ってどんな人なのさ?」
の剣幕に押されながらも問い掛けるキバチヨ
すると 彼女は滅多に見せない笑顔で手を組みつつ
「あたしの師匠はね それはもう聡明で柔和で 光明族の中でも
憧れの存在で…尊敬に値すべきお方なのよ」
そう語るの心に 自身の象徴である蓮の花に囲まれた
優しそうな老女の姿(美化フィルター使用/笑)が浮かぶ
「そうなんだ〜一度会ってみたいなぁ」
「何だったらお姿だけでも拝見させてあげるわよ?」
「え?そんな事できるの??」
驚いたように問いかけるキバチヨに彼女は誇らしげに胸を張り
「勿論よ、まぁちょっと見てなさいな」
そう言うなり陰陽筆"時雨"で 地面に絵を描いていく……
描き終えた途端 その絵は一つの具現化した存在になった
『心を静かに保ちなさい、そうすれば
成功への道は自ずと見えるでしょう』
「へぇ〜その人が師匠なんだ にしても凄いねこれ、本物?」
具現化した老女を前にして 感嘆の声を漏らすキバチヨ
「んなわけないでしょ、単なる具象気体よ…
あたし達の力は他者を作り出す事は出来ないしね」
「ふうんそうなんだ〜 でも光明族の力って初めて見たよ〜」
その言葉が終わるか終わらないうちに 具象気体は音もなく消えた
「あ 消えた…」
少し残念そうに呟くキバチヨ
「当たり前でしょ、契約者なしで力を使ったら
大体このくらいが限度よ」
少しそっけなく呟いてから は言葉を続ける
「それにしても師匠はどうしていらっしゃるかしら
…ジョウヤも心配だけど」
「誰?ジョウヤって」
「同じ光明族で やる気の無い弟弟子」
はため息混じりにそう言った
恐らく 彼女にとっては物凄く出来が悪い弟子なのだろう
「へぇどんなの?見たい見たい!」
先程の力を目の当たりにしたせいもあり 元が好奇心旺盛だから
興味津々とばかりにせがむキバチヨ
「あんなの見てどうすんのよ……」
「せっかくだから また描いてよ〜〜」
しつこく頼まれて断れず
は渋々と地面に筆を走らせていく
やがて かき終わるとそこから一人の、死んだ魚のような目をした
青年の具象気体が現れた
『めんどくさいから 自分で何とかしろ、以上』
欠伸交じりの具象気体の言葉に キバチヨも呆れてしまう
「うっわ〜本当にこんな式神いるの?
凄くアバウトって感じだよ」
「ホントにそう思うわ、もうチョットしゃきっとすれば
見栄えは悪くないのに…」
その隣で、呆れながら溜息着く
「そうだね〜アハハ」
その言葉に同意して彼が苦笑を漏らすと
また静かに具象気体が消えた
「また消えちゃった〜つまんないなぁ」
「つまんないって…あんたねぇ、単なる具象気体が
面白いわけないでしょ?」
「だって珍しいもん、それにの力もっと見たいし〜」
「あたしは見世物じゃないわよ!」
その後 キバチヨのテンションに引きずられるまま
二人の会話が長時間続いて…
その長時間の話し合いを打ち切ったのもキバチヨ自身だった
「あっ じゃあもうオレ行かなきゃ〜チャオ!」
「えっちょっと まだが上手くやってるか
聞いてないわよっ!!」
は慌てて引き止めるが 彼は立ち止まる事無く
走りながら振り向いて
「ソーリー、それは次の時話すよ!
じゃあ また会いに来るね!!」
ウィンクを送って また前を向いて駆けていった
「…ったく今度は気をつけなさいよ?」
去っていく彼を見送りながら 残された彼女は苦笑していた
―平和になった片隅での とある一日の会話はこれでお終い
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あとがき(というか楽屋裏)
狐狗狸:伏義様〜ようやくリク完成しました〜激遅くなった上に
年明け&超絶駄文でスイマセン!(ジャンピング土下座)
しかも出番の少なかった 元夢主でスイマセ…
キバチヨ:そうだよね〜てゆうかとオレとが初対面っていう
この設定からして既にジ・エンドだよ(笑)
狐狗狸:グフラッ(大量吐血/マテ)
キバチヨ:とゆうか基本的に捧げモノしかやってないよね〜
しかも主にイラストの方しか、あまつさえ非公開で(笑)
狐狗狸:…お前 私の節季なのにその発言酷くないか?(泣)
キバチヨ:当然でしょ?出番の少ない貴重なオレの話を
更新先延ばしにしていた罰だよ(笑顔で逆鱗牙出し)
狐狗狸:ゴメンなさい青龍様アァァッ!!(必死こいて遁走)