現世とは異なる異世界の一つ ラノダムーク


その世界は海と大陸に分かれ さまざまな国や町や村が栄えている





魔術に長けた者の王国 剣術に優れたものが集う街
漁村や農村など さまざまな特徴や個性のある場所があり


数は少ないながら、人と異なる種族も存在し





魔術が使えるなどの点を除けば 現世と指して変わらない
文明や生活圏を持っている







だがこの異世界には 今だ人々が恐れ忌み嫌う
魔物も存在しており


暗闇を好み それに紛れて人を襲い、破壊を
楽しんで行っている






魔物達によって滅ぼされた国や町や村
そして文明
もまた、少なくない











〜No'n Future A 第二話 「異世界ラノダムーク」〜











「やっとたどり着いた……
ここがかの有名な"伝説の聖戦"跡地か


…ほとんどガレキだねこりゃ」





ラノダムークの東端の島
"伝説の聖戦"跡地と呼ばれる場所で


少年は皮肉っぽく呟いた







長い緑髪に知性的な水色の瞳 ゆったりとした服装


どこか魔道を使う者のイメージを感じさせる







「こんなガレキの山が聖戦の跡地なんて嘘みたいだ
本当にあのお告げ あてになるのか…ん?」





少年は呟きを中断した


ガレキの真上に突然黒い空間が開き―





「ワアアアアアアアアアアッ!





 ドンッ! ガラガラガラ…







黒い空間から 一人の少年が落ちてきた











しばらくして黒い空間が閉じると 少年は起き上がって
服についた土ぼこりをはたく


緑髪の少年は、興味深げにそれを見ている







「いててててて…って何処だここは?」





緑がかった黒髪 茶褐色の明るい瞳の少年
しばらく辺りを見回し


そして ようやく緑髪の少年に目を留めた







「なあアンタ ここは何処なんだ?







緑髪の少年は にこっと微笑んで言う





「お告げは本当だったようだ わざわざこんな所まで
来た甲斐があった」


「お告げってオイ!俺の質問よりそっちの方が大事か?
大体ここは何処なんだよ!答えろ!!








明るい瞳の少年――石榴は一斉に
緑髪の少年へとツッコんだが





少年は愉快そうにくすくすと笑うのみ





「お告げはお告げさ、そしてここはラノダムーク
君のいた世界とは別の世界って事になるかな?」


「は?何だと?別の世界!?


「そう、君の世界はどうか知らないけど
ここでは魔法亜種は常識 魔物だっているさ」







少年のその言葉に 石榴は頭を抱ると


顔を上に向けて叫んだ





「どうなってんだ一体―っ!!」








不意に黙り込んでなにやら考えてから


彼はおもむろに少年を指差し、口を開く





これは夢だ!そんでもってお前はこの季節に多い変人だ!





…どうやら 現実逃避を決めたようだ





それもその筈


いきなりわけもわからず異世界と思しき場所へ放り込まれ


出会った人間が自分の大嫌いなファンタジーの世界
さも当たり前のように話す怪しげな少年





そして自分がどうすればいいのか分からないと来れば
夢だと思いたくもなる









少年はやれやれと言う風に両手を広げて
あっさりとこう言ってのける


「いきなり現れて変人呼ばわりなんて失礼だね
僕からすればキミの方が変人さ」











無論、初対面でそう言われて嬉しい筈も無く


石榴の堪忍袋の尾はキャパシティーオーバーで
あっさり切れた





「んだとこのスカシ野郎!!どっちが変人かわからせて…」







彼が少年へ殴りかかろうとした、その刹那





雄叫びと共に葉擦れの音が響く







音の方に視線を合わせた二人と同時に
異形の怪物が出現した





頭部に生える捻れた角、醜い獣の顔


いびつな体の腕の部位についた鉤爪と牙が凶悪さを増す







「もしかして…あれが、魔物かよ?
性質の悪い作り物だよな?そう言ってくれ
」 





信じられないという表情で 少年に問うも


彼は石榴の淡い期待を、あっさりと打ち砕く





「何を今更 どうだいこれでも信じられない?








魔物は二人を前にして、腕を振り上げると
己が咆哮を轟かせる









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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:ノンフュの第二話 書き終わりました〜本当はこれ
もちょっと長いんですが うまくまとめるためにちょんぎってみました


石榴:一話長かったのに 二話えらく短いぞ!!


狐狗狸:シャラップ 少年、もといルデに名乗らせて
旅の目的んとこまでの道のりがえらい長かったんじゃい!


石榴:んなもんテメーの文才のなさが原因だろうが!


ルデ:それより僕がまだ少年扱いってどういうこと?
(ニッコリ背後から出現)


狐狗狸:Σぎゃーーー!でででででデタァ!!(叫)


石榴:Σてめっいきなり出てくんなルデ!!


ルデ:全くうるさい二人だね 頭が足りないもの同士って
どうしてこう騒がしいんだろう


石榴:……テメェ ケンカ売ってんのか?(怒)


狐狗狸:はいはいケンカならよそで!!




強制終了