さぁさ多言、さぁ多言!


職員の依頼を受ける形で図書館の出入りを許され
日ごとに図書館と街とを歩く少女と道化


様々な情報を得る一方 いまだ見当つかぬ犯人と方法

だが一冊の童話から、思わぬ情報がもたらされる


その際に現れた奇妙な人物について修道女と
会話を交わす街中にて 三人の前へ駆け寄るのは―








それは必死の形相を張り付けた一人の優男だった


追い縋るような背後の声を振り切るように


ゆったりとしたローブと そこからこぼれた一房の油気のない
薄い水色の髪を揺らして三人の目の前まで近づき





センティフォリアを目にして その足を止めた





「あっ…アンタは!」


「え?あの、アナタはどなたですか」


は!?何で他人のフリしてんだ、こっちはハッキリ覚えて」


「道化師の兄ちゃん!そいつ捕まえてくれー!!」


遮るように、優男の背後で咥え煙草の男が叫ぶ


同時に弾かれたように優男が突進してくるが

先程の問いで虚を突かれているセンティフォリアは
避ける事が出来ず立ち尽くしてしまっている





「であがりゃっ!」





それに気づいたグラウンディが、彼女をかばう形で
前へ出ながら衝突しそうになるローブの男へ足払いを繰り出す





うおっ!?あ、アブな」


すんででそれを避けて二人を避ける優男だが


崩れた体勢を直すヒマすらなく、カフィルの追撃を受けて
今度こそその場に転倒してしまう





起き上がろうとする男の片腕をひねりながら路上で抑え込み

彼は呆然としたままのセンティフォリアへと問いかける





「お怪我はありませんか?」


「は、はい ありがとうございますお二人とも…
あら?その方、何か落とされたようですけれど」


「ん?どれりょれ…っえ、これ本じゃん」





男のかたわらに落ちていた一冊の本を少女が拾い上げる


直後、もがいている男の抵抗が激しさを増した





触んなクソガキ!そりゃオレの本だ」


「なっ、この本ががんだってんだよ」





本を抱え少女が男から距離を取った所で、ようやく
煙草の男が三人の元へとやって来た





「いやー助かったわ そいつぁこの辺りでちと名の知れた
スリでね、例の件に関わってるらしくて探してたんさ」





言いつつロープを取り出し手際よく優男を拘束する
煙草男へ、少女が拾った本を差し出す





「なーこれ、そのローブ男から出てて来た本なんだけど」


「ローブなら道化師の兄ちゃんだってつけてんだろ?どれどれ」





本の背表紙を開くと、内側にシムー王家の調印
【許可ナキ持チ出シヲ禁ズ】と書かれた刻印がなされており


それらを確認した瞬間 煙草男の顔が青ざめる





「おいこれ…保管庫にあるはずの禁書じゃねーか!」











〜四十一幕 真理ハ図書館ガ握ル〜











「てことは、まさかコイツが犯人ぎゃ!


はぁ!?まっ、待ておいオレは頼まれただけだ!!」





血相を変えて水色の髪を振り乱した優男の視線は


彼らから一歩離れた場所へ佇む修道女へ固定された





「アンタ、いつまでしらばっくれる気だよ」


「あの、おっしゃる事がよく…」


「とぼけんな!オレはアンタに誘われてあの仕事に乗ったんだ
支度金もこの本も全部渡してくれたじゃないか!!」



ええっ!?し、知りませんそんな事!何かの間違いでは」


「いいや間違いねぇ!その金髪に色っぽいツラは覚えがある
おエラいさんの密命が関わるとか身体すり寄せて頼んだじゃねぇか」





縛られているにも関わらず今にも彼女へ掴みかからんと
男は狂態をさらし、男二人に抑えられてもなお
力の限り身をよじって暴れて自らの無実を訴える





「貴様!大人しくしろ!!」


間違いねぇんだよ!教会のローブも渡されたんだ!
オレを牢屋にぶち込むってんならあの女もだ!おい聞いて…!」





遅れてやって来た巡回の兵士に連行されていく間も
優男の叫びは止まる事がなく


残された三人に顔を向けられ 修道女は唇をわななかせる





「…本当に私は何も知らないんです!あんな方
一度だってお会いした事ありません!信じてください!!」


「しかし奴はアンタを知ってるよーだったが?それに…」


待って、ください!い、いっ…一体何が?」





駆け付けた牧師の巨体と顔に 追求しかけた煙草の男が怯んだ





「と…とにかく今は奴の尋問が先だ、後でそっちのお嬢さんに
詳しく話 聞かせてもらうからな?」





すごすごと立ち去ってゆく男を見送って


センティフォリアは呼吸を整えているトーマスへと一礼を返す





「お助けくださり感謝いたします…お早いお戻りで何よりです」


[不審な入館者を捕えたため急遽閉鎖され大勢の係員が返されたのです
それよりも皆さん、ここで一体何が?]


「どうやらそちらでも捕り物があったようですね?」







教会へと戻る道中にて四人は情報交換を行い





図書館にて、手伝いで雇われた修道士に言及され

身分を偽っていたと判明した"法衣姿の使者"が捕えられた事


それにより館内で作業をしていた教会関係者が招集され


一旦の謹慎と翌日の聴取を命じられて返された事を
牧師の口から聞いたのだった





「まあ!神の信徒を騙る方がいたなんて…」


あっきゃら様に神あやしいぜ!教会にウラみがある
悪人が罪をなすすりつけよーとしてるだろそれ」


「どちらにせよ現状では推測でしかない、そうですねトーマス様」





道化師の言葉を肯定するように首を縦に振り


ひどく難しい顔をした牧師は、羊皮紙の上に
絞り出すような文字を書き留めた





[同じ信徒を疑いたくはないのですが、国家反逆罪に
等しい罪を犯している以上 教会が無関係とは思えないのです]










彼らの不安を煽るかのように


翌日から館内・街中問わず"神身図を施した法衣"に身を包み

"各国の貴族や司教の代理"と語る人物が次々と捕えられ


ローブの下や荷物袋などから禁書の断片と模造の札が見つかった





「モゾウっつーと、ニセモドの札だよな?あの柱のトコの」


「そーそーこないだ捕まえたスリいたろ?
アイツが原本盗んで型とって それを元に贋作師に頼んでたんだよ」





ただし、と教会へ足を運んだ煙草男は


安っぽい紫煙を吐き出しながらこう続ける





「複製した数は、たった一つだと」







かのスリ師が"依頼主"から希少本と引き換えに渡した模造札は
寸分違わぬ作りで開錠にも問題がない、との話に対し


捕えられた者達から押収された模造札は


アウク鉱石に似た鉱石で繕っただけの似ても似つかぬ
粗悪な作りなので開錠は不可能らしい





「どうも館長だけでなく、ラポリスや教会まできなクサくなって
きちまったなぁ〜参ったねどーも」


「オレもアンタのタバコがクサくて神まいっぺるぜ」







館内でも厳しい調査と、教会関係者への風当たりが日増しに
強くなっているようだったが





強面の牧師は与えられた労働を真面目にこなす傍ら

道化と少女への協力を惜しまなかった





["孤児"に関する記述がしたためられている蔵書は
私が知る限りでは、これで全てのはずです]





テーブルの上へ積み上げられた十数冊の書籍に刻まれた著者名
出身地、内容に書かれた年代


そのどれにも関連性が見いだせないにも関わらず


作品内の人物として、或いは伝記の口伝や別の人物との対談で
著者の助手という肩書で端的に紹介され


"草色の髪の、瞳の青い少年"は確かに紙面に存在していた





「髪と瞳の色は一致しているようだな…耳に関しては
特に記述がないから 尖ってはいないのだろう」





一冊、また一冊と目を通しながらカフィルが呟く





「どーもコイツ、神ネクラっぽいみてーだぞ?虫を見ると
悲鳴上げて逃げるとかどんだでビビりなんだよ」


「…こっちの書には"明るく快活でケンカっ早いため
生傷が絶えなかった"と記されているが?」


へ?なんじゃそばりゃ、同じヤツだってんなら
性格一緒でないと神おかしいだろ」





眉をしかめるグラウンディへ、言いにくそうな顔をした
トーマスが自らの言葉をそっと差し出す





[叔母の所で読んだ旅行記によると少年は好奇心旺盛ながら
博識で用心深く、彼の機転で筆者が危機を脱した描写がありましたが]


「ええべえぇっもっ!?」







様々な矛盾と疑問をはらんだ、孤児の少年の記述を追い





二人が最後にその記述を見つけたのは


"冒険作家ジニア=ガレーシの日誌"と銘打たれた一冊だった





[これは今年に出版されたばかりの冒険奇譚ですよ]





牧師曰く、多少の脚色はあれど実体験に基づいた作品を
書くことで人気を得ている放浪作家であり


現在も著者は 旅行先で定期的に自作を出版しているのだとか





[もしかしたら助手の少年も旅に同行しているかもしれませんね」


「っし!らな次はこのジニアって奴を追うか!







…と、本を閉じたカフィルが冷ややかに口を開く





「やたらと乗り気だが、共通するのは外見のみである以上
他人の空似や兄弟の可能性も著しく高い」


「う…で、でもこんだけ色んなばっ本に同じヤツが出てて
関係ないってコトたねーだろ?」


「そもそも自らの見た目と著しく酷似している少年と
あの童話をそこまで頼りにできるお前の根拠が分からん」


絶対あるだ!っら それに奇妙なモンならお前の石にだって
繋がりがあるかもしれうぇーじゃねーか」





息巻いて反論するグラウンディの一言に トーマスが食いついた





[石ですか?]


そう!この道化師、珍じい石探しててな〜
オレは神カンダイだから旅に付き合ってやってんだ!」


付き合わせている、の間違いだろう」





冷めた色違いの両目で少女を見下ろす道化師は


鉱石の図鑑を持ってくるかと筆談で訪ねる牧師へ
やんわりと断りを入れる





「お心遣いはありがたいと存じますが私(わたくし)どもの探す石は
名もなく特殊な品のため、こちらの蔵書でさえも判別は難しいかと」


「あ、そーいやあの宝石って名前にゃりんだよなー
いつまでも"赤い宝石"じゃ神呼びにくいいったらありゃしねぇ」


「あんなものに名など要るか」


「いやひる、いるだろ?もし赤いただの宝石と
例の石が混ざったらどどするんだよ」





どんな珍事だ、赫色の鎌で判別できるから別段困らん
そもそも仮にそんな事態が起きても名前の有無には関係がない





…と複数の言葉を頭に思い浮かべたカフィルが口を開いた時


同時にパッと顔色を明るくしたトーマスが、素早く書いた
羊皮紙の言葉を掲げて見せた





[僭越ながら提案いたしますが

あなた方がお探しの石、かの石の神ビジュデュオになぞらえて
"神石(デュオス)"と呼ぶのはどうでしょう?]





二人がトーマスの動きに気づき、羊皮紙の文面に目を走らせる





「デュロス?…おお、いいなそで!そうしよーぜカフィル!」


「"神の石"と書いて"デュオス"ですか…」





意図したモノでないにしろ皮肉めいた名称に眉根を寄せるも


小動物のようにこちらを伺う牧師と名称を交互に見た
道化師は、ふっと緩やかな笑みで返した





「私(わたくし)も、よい名だと思います」









少年についての調査を終え 用済みになった書籍を
作業の合間に戻す牧師に少女も付き添う





「あの本持ってくこるついでに手伝ってやるよ」


[いえおかまいなく、これは私に与えられたお仕事ですので]


オレがいいったんでからいーの!トーマスのおっさんは
神の家来なんだろ?ならオレの親切受けとけ!」





三冊ほどの分厚い本を抱えた彼女の 振り向きざまの笑みに


「あ…あり、が…危ない!





たどたどしく答えようとしていた牧師は


すぐ側の本棚で本を手にかけている法衣姿の入館者と
グラウンディが衝突しそうになっていた事に気づいて声をかけるが





一歩遅く、両者は勢いよくぶつかった







「ったーすまねぇ、ぶかつっちま…ん?」





身を起こした拍子にグラウンディが 自分の側に落ちているモノに気づく


それは先程まで入館者が手にかけていた本であった


しかし落下した拍子に抜け落ちて開いたその中身は四角く
くり抜かれており、そこから手の平に納まる大きさの黒い板

いくつかの千切れられた羊皮紙が散らばっている





尻餅をついていた入館者があからさまな動揺を浮かべた直後


二人を心配して歩み寄ったトーマスが、本から出て来た羊皮紙に
紛れていた半透明の黒い板を拾い上げ 目を見張る





「こ、ここここれっあのこれは…あ!


「待ちやが…うわばらっちゃっ!?





立ち上がりざまにグラウンディを突き飛ばし
戸惑うトーマスから背を向けた入館者が走り出す


しかしその逃走劇は長く続かず





「止まれ」





階下へ続く階段の前に立ち塞がるカフィルに足を止められ


追い縋る巨漢の牧師と少女に挟み撃ちされる形で
入館者はあっさりと退路を断たれた





「カフィルお前、いつの間に先回りしてたんだりょ」


「著しく偶然だ」





彼らの声と騒ぎの気配に気が付いた巡回の兵士や
他の職員達も周囲から集い始め


逃げようと様子を伺っていた法衣姿の入館者が膝を折ったのと


閉館を告げる鐘の音が鳴り響いたのは ほとんど同時だった









…騒動の後


関係者以外が見張りの兵をつけて最寄りの街や村に返され


捕縛された入館者への取り調べと本の中身について
入念な調査がなされた結果





千切れたページが保管庫に収蔵されていた書籍のモノであり

黒い板がアウク鉱石で作られた、精巧な模造札である事


そして何よりも


今までの犯行の手口が、明らかとなった





わ、私だけではありません!他にも何人も法衣と金を
渡されて役割をこなす人間がいるのです!」







侵入と盗難は 複数の実行犯によって行われていた





"札の複製のために"雇われた例のスリとは別に


一般公開されている閲覧図書へ 空洞のある書架を紛れ込ませる役


複製の札で保管庫へ侵入し、法衣の袖や懐の内側へ誂えられた
隠しポケットへ納めて出て来る役


空洞のある書架へ複製の鍵や禁書のページを隠す役や


隠したページ、あるいは書そのものを袋へ詰めて
トイレから下水へと流す役


流されてきたその袋を回収し 指示された場所へ散らす役





…分担されたそれらの役割をこなす実行犯達も
同じ人間で固定されているわけではなく


連絡役として動いている人物によって直接あるいは間接的に
指示を下され行動しているようだ





「その連絡役と他に雇われている連中の、名前と所在は!」


「し、知りませんよ!顔を合わせるのはお互い実行当日だけだと
決められているのです!本当です!!


一時保管庫の片隅で、四方を恐ろしい顔をした各国の兵士に
囲まれた状態で詰問された入館者は心底震えてそう言った







…と翌日の昼下がり、二人が泊まる宿へわざわざ訪ねて
伝えに来た新米職員の声はどこか楽しげでさえあった





「盗み聞ぎぃかよ神シュミ悪っ、てかよく白状したなアイツ」


「中立地帯の重要書類に手を出す時点で極刑待ったなしだからね
減刑してもらうためなら自白ぐらいするでしょ」





その自白は、先に捕えられていた"偽の代理人"達から


何がしかの役割に関わっていた者を次々と見つけ出すのに
大変役に立っているらしい





「しかし、著しく手間をかけた動機が未だに分からないと
言うのはどうにも腑に落ちませんね」


「そんなものは事件が終わればいずれ分かるのじゃないかな

何にせよあの入館者を捕まえるの手伝ったのは君らだろ?
雇ったこちらの目に狂いはなかったわけだ」


ふふん、と鼻を鳴らして彼は痩せっぽちな胸を大きく張る





「まぁこれで犯人が全員捕まって盗難が収まれば万々歳だ
期待してるから、引き続きがんばってくれたまえ」



「そのつもりだけど神よりエラソーにしゅんんあ!」





意気揚々と立ち去る若き職員へ 少女は唇を尖らせて言いつのり





「…まだ 面倒が起きるだろうな」


状況に流され過ぎている現状を理解している道化師は
そう呟いて眉間のシワを深めていた










次の日から図書館は正規の職員と館長
信頼度の高い兵士以外は立ち入り禁止となっており


館内の警備の杜撰さを指摘され


賄賂に釣られ入館の規制を緩めていた数名の兵士と


"偽の代理人"に気づかなかった保管庫前の見張り担当は
各国にて厳重な処罰がなされていた





「各館の書籍、トイレの内部や一時保管庫も徹底的に調べろ!
一つでも犯人に繋がるモノを見つけ出すのだ!!






居丈高に命令する全身鎧の中年を始め


館内を無神経に闊歩し、自分達や来客を見張る兵士達に
働いている職員達はいい加減うんざりとしているが


皆それを口に出すことなく黙々と作業を続けている





そんな中 館内の廊下にあわただしい足音がまた一つ増やされる





隊長!連絡役の捜索をしていた二班の者が、用水路に
放置されていたローブ姿の死体を発見しました」


「そんな下らん事を一々報告せずとも「いえお言葉ですが…」


駆け寄って来た兵士の耳打ちに、全身鎧が顔色を変えた





「神身図の刻印に…本当に、死体は干からびて…?」





相槌を打っていた全身鎧が視線を感じて振り返ると
やや距離を置いて聞き耳を立てていた末成りの職員と目が合う





「貴様こそこそと何をしている!持ち場に戻らんか!!


はいっ!失礼しましたっ!!」





ぴゃっ、と素早く逃げていった新米職員の背を一瞥し


引き続き兵士へ犯人一味と連絡役の捜索を命じた
全身鎧はため息を吐いた





「むぅ…この様子では保管庫を調べるのにどれほどかかる事か…」





広大な面積と蔵書量を誇るグロウス図書館を調べるとなると

一般書架のエリアだけでも正規の職員だけでは一週間ほどかかる


しかし外部の人間はおろか、今や教会関係者でさえも
犯人と関与している疑いがあるため雇えない





締め出しを喰らった本好きの旅人や 事件解決のために
雇われていた者達もまた


館内での調査を禁じられ 周囲での調査に対しても
逐一ついて回る兵達の厳しい視線に辟易していた





図書館の内外で巡る、そんな焦りと苛立ちに満ちた日々は





…三日目の深夜に響いた鐘の音によって終わりを告げる







何事かと駆け付けた各国の兵達は 繰り広げられている光景に
我と我が目を疑った





「そんな…なんてことだ!





中立となった三国の領土、その中心に建てられた

白く輝く円形の台に乗せられた半透明の黒い正二十面体


遠くからでも、月明かりの下でも一目で分かる意匠の図書館は

内から吹き出す炎に包まれ燃え盛っていた






大変だ!火を消さないと」


「水だ!早く水を…近くの村や町、施設から人を集めて水を運べ!!」


「式刻法術で消火を手伝える人間も呼ぶんだ!急げ!!」





我に返り、兵達はそれぞれの国から応援を要請し
近隣の住人からも人を募って必死に消火活動を行ったが


それらを嘲笑うかのように炎は

図書館に眠る叡智の全てを 灰と炭へ変えていった








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:リアルで体調崩したり忙しかったりで図書館話が
年明けても終わってない事をここにお詫びいたします


カフィル:詫びる点は他にもあるだろう


グラウ:そーだそっば!謎っぽくしといて結局本ドロボーの
手口があんなばらし方とか神手抜きもいーとこだぜ!


狐狗狸:それについてはマジで反省したい所…本来なら
グラウが館内のトイレを利用して、そのトイレについての
描写とか書くつもりだったのに


グラウ:まー さすぎゃにトカイだけあって機械式で流してたな
広いしキレイだしあまにゃ神クサくねーし


トーマス:[下水などの設備が整っている街や水脈の豊富な
村以外ですと、汲み取り式が主流ですからね]


センティ:けれど国からの大切な書物を破き、あまつさえ
下水に流すなんて…何て非道な所業でしょう…


グラウ:オレに任せりゃ神カンペピに直し


カフィル:ページが完全に揃っている保証はないし
お前に任せると著しい記述の書が出来上がりそうだな




増える謎と疑惑、何故図書館は燃やされたのか…?!


次回辺りで図書館絡みの話を終わらせる予定です