森の中にぽっかりと佇む　古城のような廃屋





そんな家の中を、二人の少女がうろついている









誰もいない廃屋の中で　彼女達の足音だけが


カツ、カツと響く











「…やっぱり帰ろうよ〜もうそろそろ日も暮れそうだし
何かここ　妖怪以外に罠も多いし、変だって」







おどおどと　両手を胸の前であわせて茶髪の少女





―が、隣の相方を見やる







「何言ってんだよ　まだ夕暮れまで間があるぞ？
それに、探索しようって言ったのはお前だ　」





しかし相方、の式神の六花のは
腕を組んだまま呆れている












〜「smoke herrings(1)」〜













「えーでも、ここまで大変だなんて思ってなかったし…」







は何やら思案顔でブツブツ呟き、そして
思いついたように手を打つと







「あ、夕飯の買出しとかしなくちゃ　だから
後は頼「いつもは買出しを俺にやらせてんだろーが！」


面倒事を押し付けようとしたの策を見破り、
は彼女の言葉を遮ってから







「それともやっぱりビビってんのか　止めとくか？」





ワザとからかう様ににそう問いかける






「こっ怖くなんかないもん！止めれるわけ無いでしょ！」





ニヤニヤ笑うの言葉を必死で否定する









「それはそうとして…隠れてないで出てこいよ、そこの二人」







打って変わって鋭い口調で、が


のはるか後ろにある　柱の影を睨みつける







その柱の影から、ユーマが出て来る





「……別に隠れていたわけではない、それより
なぜお前たちがここにいる」







訝しげに睨むユーマに　駆け寄ろうとする
を手で制しなががら、睨み返す









「こっちの台詞…って言いたいが　大方地流での討伐か
ここの調査と妖怪退治かを仕向けられたんだろ？」


「確かに今回の任務は調査と退治だが…っ質問に答えろ！」







図星をつかれ　怒鳴りつけるユーマ











二人が今にも交戦状態になりそうな中で


のノンビリした返事が返ってきた









「最近このお屋敷で妖怪の出没率が高いって
ウワサはユーマくんならもう知ってるよね？」





「当たり前だ、討伐部でもここの事は色々と話に
入っていたからな…」


「で、気になって知り合いに聞いてみたら　
神流に関係あるんじゃないかって〜」







だから確かめにきたの、と軽い感じでつけたし









「戦わなくってもいいんだったら、一緒に
屋敷の中を探索しない〜？」


『はぁ！？』







ニコニコ笑って言い放ったの言葉に
ユーマとは思い切り眉をしかめた











「勘違いするなよ、オレがお前と戦わんのは
命令が出てないからだ」


「だったらいいじゃんユーマくん、昔　一緒に
伏魔伝で修行した仲でしょ〜」


「！俺は反対だぞ、こいつと一緒に屋敷散策なんかっ」


「どうして〜？今は敵じゃないからいいじゃない」







二人が散々文句を言うにもかかわらず、





意外と頑固なは　意見を曲げようとしなかった











「目的が一致してるなら　行動を共にした方が
合理的だと思うけどな〜そ・れ・と・も」







ニッコリと微笑んで　は手に符を携えると







「グダグダ意見ばっかり言い合うなら
屋敷を巻き込んでの闘神符攻撃をお見舞いしようか？」









某親バカを彷彿とさせるような台詞を吐いた











「「…」」





雰囲気に　しばし二人は沈黙し―











「…今回だけだ」


「俺も我慢してやるよ」








不満たらたらにお互いがそう呟いた







「よかった〜分かってくれて、そうと決まったら
早速原因調べにレッツゴー！」











元気そうに歩くの後ろを　二人が
ため息つきつつ付いてゆく













「…以前のは、あんな娘では無かった筈だが…」







半透明のランゲツがユーマの後ろに浮かび　ボソリと呟く







「俺の前の宿主の影響と…多分、用事あるから
早く家に帰りたいんだと思う」









呟きを聞き取って　同じ声量でが
返答を返した、その次の瞬間















「あ！あっちの曲がり角に変な人影が　待て〜！！」







唐突にが叫ぶと、同時にダッシュで
その方向へと駆け出す







「「Σ待つのはお前だ　一人で突っ走るな！！」」







彼女を止めようと、ユーマとも走り出す











「に゛ゃ〜！！」





廊下の向こうから　の奇声と爆音が響く





「！大丈夫…げっ！」







やっと駆けつけた者達が目にしたのは―









一体何処に潜んでいたのかと思うぐらい、
大量の妖怪を半円で相対しているの姿だった







「ユーマくん　、助けて〜！」


「だから待てって言ったのに…大体なんで一人で
突っ込んでったんだよ」


「だって弱そうだと思って追いかけたら、イキナリ
いっぱい出てきてっ」







しかも　そんな会話を繰り広げた矢先に
ユーマ達の背後からも同じぐらいの妖怪達が押し寄せ





完全に四者が弧で相対する形に囲まれてしまった









「…こうなったら戦うしか　他に道は無いな、式神降神！」


「白虎のランゲツ　見参！」





ユーマがランゲツを降神し、印をきり始める


それを見たも　負けじと声を張り上げる







「　俺の技印を切るんだ！」


「オッケー！離っ震、打！」







とにかく二人で印を切り　群がってくる妖怪達を
式神の技で片付け始めた





突如　妖怪達がクモの子を散らすように引いた







「あれ？急に逃げてった〜」


「…何なんだこいつ等　何故突然引いたんだ？」





「！　避けろ、上から壁が落ちてくるぞ！！」







が叫んだその通り、


四者の真上から　壁が落ちてきて―











皆はとっさに避け、何とか直撃を避けたが







「しまった…罠だったのか！」


ユーマが悔しげに　壁を目の前にして叫ぶ





壁を挟んで　二人ずつに分かれてしまったようだ


しかも、







「最悪の状況だな」


「それは俺の台詞だ…何でお前となんだよ！」







「全く　災難としか言い様が無いな」


「本当です…どうしてランゲツさんと〜」









とランゲツ、ユーマとと言う
全く合わない組み合わせで（汗）








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あとがき（というか楽屋裏）


狐狗狸：とうとうこっちでも続きネタ書いちゃいました…
アハハ　もう笑うしかありません


ユーマ：潔く　話が書ききれない上長くなったから
仕方なく分けたと言ったらどうだ


ランゲツ：しかも久々に書いたから展開が唐突を通り越して
完全なる駄作に成り下がっているしな




狐狗狸：それは言わない方向で！あ、ちなみにが
冒頭で言った台詞とユーマに探索の案持ちかけてるのが
食い違ってるのは　別に話の内容考えてないわけじゃないです




ランゲツ：……（ジト目）


狐狗狸：本当に違うの！あれは「どうせなら誰かに押し付けて
さっさと探索を終わらせよう」と言う魂胆があるんです


ユーマ：成る程…あいつならやりそうだ


ランゲツ：しかし、それなら幾ら怪しくても初めから
探索など乗り出さなければいいのではないか？


ユーマ：それもそうだな…らしくない


狐狗狸：それはまぁ、後の方で明かします…まー彼女の
性格を理解されてる方ならもう解ってるかもですが（笑）




よく考えたら　陰陽では続きネタって初めてです
なるべく早めに後の話書きます…必ず