どんなに暗く 澱んだ夜空でも
たくさんの星に包まれていても
君はいつだって真ん中で、明るく輝く北極星
「あたし プラネタリウムって大好きなんですよ!」
オレの隣で 嬉しそうにちゃんが笑う
「気に入ってくれて嬉しいよ」
笑い返してオレも言うけど、実はドキドキしてる
原因の一つは これがデートだから、かな
〜「ポーラスター」〜
「マサオミくん 上手くやりなよ」
「ふっふーオレはいつだってやる気さ
キバチヨこそがんばれよ」
とデートしたいからお互い
2時間ぐらいを目安に別行動しようとか
キバチヨがいきなり言い出した時はビックリしたけど
考えてみれば ちゃんと堂々とデートの
口実が生まれるわけだし
更に邪魔者のはキバチヨが引き受けてる
まさに絶好のチャンス!グッジョブキバチヨ!
でまぁ二人を待つ間 一緒にアイスを
食べたりとかして親密度を上げようとしたんだけど
「あ、ここ新しくプラネタリウムドーム出来たんだ!
マサオミさん 一緒に入りましょ!!」
笑顔でちゃんがグイグイ引っ張って
で、オレ達二人はドームの席に座って
プラネタリウムが始まるのを待っている
他にも客がまばらにいるけど 何が始まるんだろ?
急にブザーが鳴って、ドームが暗くなる
「そろそろ始まりますね」
ワクワクしてるちゃんの様子に、
オレもついつい釣られてしまう
やがて ドームの天井に満天の星が輝き始め
オレは 目を奪われた
「うわっすごい、満天の星空だ…!」
思わず呟いた声が大きかったので、
慌てて口を抑えた
「どうしたんですかマサオミさん
いきなり大きな声出して〜」
ちゃんが 小声でオレにささやく
「あ、いや オレ実はプラネタリウムって
初めてなんだ…」
知識としては知ってたけど、実際に
来たのは初めてで
おまけにこっちは平安の時と違って
星がよく見えない
だから余計に驚いてしまった
「そうなんですか〜」
「うん 変かな?」
「珍しいとは思いますけど 変じゃないですよ?」
薄暗い中 イミテーションの星明りに
照らされたちゃんの笑顔はキレイで
オレは ちょっとまともに目を合わせられなくて
「ちゃんの星座はどれかな?」
ごまかすように星空に目を向けて呟く
「あたしは魚座だから えーっと…」
言いながら ちゃんは星空を探して
「あれですね」
指差す辺りを見るけど よくはわからない
「ふぅん 大体どのぐらいに見えるの?」
「秋から冬にかけて見えるみたいですよ♪
特に今ごろが一番見えやすいらしいです」
「そうなんだー」
笑顔で言うちゃんには悪いけど
オレ 星座のことあんまり詳しくないんだよね
「ところでマサオミさんはなに座ですか?」
言われて、オレは少し戸惑った
そう言えばオレって何座だっけ…?
よく考えてみれば生まれた季節ぐらいしか
覚えてないんだよなー平安生まれだから
でもそれ言っちゃうとマズイ気がする
この場の雰囲気とか自分の正体とか
最悪、デート自体がおじゃんになりそう
「オレはおひつじ座かな?」
空の星を眺めながら、とりあえず適当に答えておく
「そうなんですか ちょうど知り合いに同じ
星座の子がいたんですよ〜」
どうやらこの返答は ちゃんの
お気に召したらしい
意外と星の事に詳しいみたいだ、知らなかったな
「じゃあマサオミさんは どの星が好きですか?」
再び聞かれて 今度は戸惑うことなくオレは答えた
「オレは…北極星が好きだな」
どれかは分からないけれど、この偽者の星空でも
その場所で輝きつづけている星
全ての星達の中心となってるその星が オレは好きだ
まるで、あの頃の姉上や
となりにいるこの子のように 確かに輝くその星が
「あたしは夏の大三角です〜年に一度の
織姫と彦星が会う話とか ロマンチックだし〜v」
乙女チックに照れてから、彼女がこっちを見て言う
「でも北極星も好きなんですよ〜探し方を
教えてあげましょうか?」
「教えてくれる?ちゃん」
星空を眺め オレはちゃんの声に耳を傾けた
…あの後、プラネタリウムが終わるまでの間
いや、終わってからも彼女のうんちくが
尽きる事は無かった
北極星の星座 こぐま座とおおぐま座の逸話とか
オリオンの勇敢さがヤクモ並だとか
十二星座の神話や有名な七夕伝説、更には
星雲の名称とか…
「すごい詳しいねちゃん 君って
そんなキャラだったっけ?」
聞くと ちゃんは苦笑しながら
「昔からあたし 星好きの知り合いに付き合わされて
それ以来詳しくなっちゃって」
「…今度 一度会ってみたいな、その知り合いに」
言うと、苦笑いだけするちゃん
色々聞きたいけど 何か聞いちゃいけないような
気がして、黙っておいた
「で いつかヤクモ様とデートする時、話題が
尽きないように色々調べてるんですよ」
「ふぅん そうなんだ」
結局ヤクモ絡みなんだなぁ…と思い
オレは内心 ため息をついた
「もうそろそろ とキバチヨくん
帰ってくる頃ですね?」
「んーそうだね」
早く過ぎてしまった時間が 少々恨めしい
出来ればこのデートで少しでも、ちゃんと
進展をしたかったんだけどなぁ…
「今日は楽しかったです、今度またプラネタリウムに
連れてってくださいねマサオミさん♪」
「…ああ、もちろんさ」
でもま、ちゃんの笑顔が見れたからいっか
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あとがき(というか楽屋裏)
狐狗狸:「会いに行こう」の側サイドです
あっちのラブさに対し こっちはすれ違いめです
マサオミ:どうせ対ならラブラブにしてくれても
いいじゃないかー
狐狗狸:邪魔者ナシにデート出来たんだから文句言わないの
マサオミ:…そう言えばオレ 何座なんだろ?
狐狗狸:オフィシャルでも誕生日とかが不明になってたし
契約式神のキバチヨだってウスベニさんのだしねぇ?
マサオミ:まあそれは置いといて…本当 ちゃんの
知り合いって気になるんだけど
狐狗狸:んーおひつじ座の方は昔、闘神士だった友達で
星座に詳しいのは 同一人物かもう一人の方かな?
マサオミ:…まさか両方とも男じゃないよね?
狐狗狸:かたっぽだけだよ(笑)
マサオミ:えええええ 今でもそいつに会ってたりとか
してないよね、ちゃん!?
狐狗狸:んー 必要があれば会うことも(地流だけども/爆)
マサオミ:…そいつも闘神士だよね?だったら
今からそいつの式神を倒しに行こうかなー
狐狗狸:落ち着いて 何処の誰かもわかんないでしょ?
マサオミ:大丈夫〜ちゃんの近辺探れば
あっさり判明するから(黒笑み)
狐狗狸:おまわりさぁぁぁん ストーカーがここにいm
闘神符"石"で狐狗狸は石化され そのまま放置