、悪ぃ!今日メンバーの一人が休みやがってさー
金かかってるから負けらんねぇのよ





野球のユニホームを来た少年が 帰宅途中の
にかけよりながら大声で叫ぶ





少年は側までやって来ると 手を合わせながら







「頼む 野球の試合出てくれ!!」







ちらり、とポケットに忍ばせた神操機を
見やってから 少年に問い掛けた





「……相手は どこ?」


根津多三高


「おっし引き受けた!相手にとって不足なし!!





少年の返答から回答まで およそ0.1秒





「Σちょっとマテ!!」







神操機から半透明のゴロウザが出て来て
慌てて抗議しようとするが、


の一睨みで開きかけた口を閉じた





―試合の邪魔をするならコロス―





まさに眼がそう言っているかのようだった









は勝負事が絡むと 本気で人が変わるな…」











〜「オーバーゲーム」〜











野球の試合は 助っ人に入ったの活躍によって
完封試合で終わった





「今日は三振の嵐!だったな〜 見てた、ゴロウザ
九回裏のあのバッターの呆けた顔〜!







勝利の余韻に浸りながら 帰途を悠々と歩く


しかし、ゴロウザは困ったような顔をしていた





「何よその渋い顔…何が不満なのさ?」


「…試合や部活の助っ人も別に悪くはないがなぁ
そっちに熱中して 倒れたら元も子も無いと思うぞ?







実際は 運動系の部活や試合で助っ人として
頻繁に参加することが多い


しかし、勝負事に熱中するあまり 全てにおいて全力で向かうのだ





それは闘神士としての活動時も変わらず、その辺りが
ゴロウザの密かな悩みになっている







「いいじゃん あたし運動神経バッチグーなんだから
それを活かさなきゃ勿体無いって!





ヘラヘラと笑う


最早何言っても通じないと悟って、
ゴロウザは溜息を一つつき







「…ところでよぉ それ、返さなくていいのか?」





言われてようやくは それぞれの手に
野球ボールとバットを持っていた事を思い出した





「アハハ うっかり返すの忘れてた…仕方ない、ちょっと戻ろうか」







そう言ったが 苦笑交じりで来た道を戻ろうとした時だった









「ギャーッ!」





急に横手の雑木林から 叫び声とともに男が飛び出してきて
の目の前で倒れた









恐らく仕事帰りのサラリーマンであろうその男のスーツは
鋭い爪のようなモノでボロボロにされた有様で


男の体のあちこちにも 三本の傷跡があった







「…あのー、どうかしたんですか?」





の声を聞くや否や、男はガバっと身を起こし







「いいいいいイキナリ変な化け物に襲われたんだっ!
たたた偶々近道をしていたら!!」





男が説明をしている途中 雑木林からガサリ、と
やけに大きな音が聞こえた





「出たああああああ!」







その音に怯え 男はそのまま一目散に逃げていった











が無言で雑木林に入っていくと ふよふよと
辺りをうかがう妖怪の姿が見えた





どうやら には気づいておらず、しばらく辺りを漂った後


雑木林の奥へと進んでいった







…確かこの付近には、児童公園があった筈である














「コレは黙って見過ごせないね…」


「どうすんだよ 





問い掛けるゴロウザに対し ウィンク一つして
神操機をポケットから即座に取り出す





「決まってんでしょ 式神降神!







降神されたゴロウザに は妖怪の進んだ方角を指差して





「アイツの進行方向に先回りして!
二人で挟み撃ちして撃退するよ!!


「おうよ!」





ゴロウザは返事を一つすると すぐさまと分かれた















すでに妖怪は 児童公園の近くまで進んでいた





腕の爪をかき鳴らして、雑木林を抜けようとして―







「ここは通さねぇぜ」





その眼前に ゴロウザが立ちはだかった







ゴロウザの気迫に 勝てる相手ではないと踏んだのか
妖怪が振り返り―その顔面に、







が振りかぶって投げた野球のボールが直撃した





もしそこにスピードガンがあったなら そのボールは
時速150キロを叩き出していたはずだ







流石に一溜まりも無かったのか 妖怪が叫び声をあげる





「ストライーーーーク!」





っしゃ三振!がガッツポーズで喜ぶ







「ってオイ 符はどうしたんだ!!
てか、そんな事してる場合かっ!印を切れ印を!!


「だって持ってなかったんだもん、分かったよ印切るってばー」





ゴロウザの怒鳴り声に反応し
止めを刺すべく印を切ろうとしたに―


妖怪が牙をむいて襲い掛かって来た





咄嗟に持っていたバットで防御するが、妖怪は
鋭い爪をの腕へと伸ばした







!!」


「っ!」





バットを手放して後ろに跳んだが 交わし切れなかったらしく
の右腕に三本の赤い傷跡が刻まれた







口からバットを放した妖怪が 再びへと迫る









その時、





「ウチの闘神士に何してくれてんだテメェ!!」





ゴロウザの怒号と共に 妖怪は背後から地面に叩きつけられた







眼一杯の力を込めていたのか 地面に大きくヒビが入っている









呆然とそれを眺めていたに ゴロウザの叱咤が飛ぶ





「ボケっとすんな!とどめだ!!


「…オッケ!







そして 必殺技の印が発動し、妖怪は跡形も無く消えた













「イタタタタタ…よりによって右手に怪我とは〜
助っ人するのに支障出るかも」







右腕に巻かれた包帯を軽く睨みながら ため息をつく





「… 今度からちゃんと持ち物確認しとけ
この調子じゃ戦うのが危なっかしくてしょうがねーよ」







こちらもこちらで を睨みつけてため息つくゴロウザ





「いや悪い 作戦立ててから符をウチに忘れてきたのに気づいてさ〜
まあこうしてうまく行ったんだから、結果オーライだよ」


よくねぇ!現に今だって怪我してんだろうが、


とにかく符代わりに野球ボール投げんのは絶対禁止だ!!







噛み付かんばかりの勢いで怒鳴られ


納得いかないといった感じで唇を尖らせる







「ちぇ〜」


「まったく 契約してるこっちの身にもなれっての」


「……あ、でも さっきはありがとねゴロウザ





先程のことを思い出し、不機嫌そうな顔を微笑みに変え
がゴロウザの腹の辺りをポンポン叩く







「…いいって事よ」





の言葉に ついつられて嬉しそうにゴロウザも笑った












「……あー!





突然 が大きな声を上げたのでゴロウザがビクッ
身体を振るわせた







「なっ 何だどうした?」


「ゴロウザー…どうしよう、バット」





が視線を向けた先には 妖怪の噛み跡がついて


凄まじいデコボコがついてるバットが転がっていた







「こうなっちまったもんは仕方ねえだろ、お前が
弁償するしかねぇなぁ」


ええええ〜!そんな〜格ゲー代の貯金減っちゃう!
アイツにまだ借りを返してないのに!!


知るかそんなの!つか そう言って
小遣い殆どつぎ込んでるぐらいなら少しぐらい役立てろ!」


「うるさい 勝負に勝ってなんぼの人生じゃあ!!」












雑木林に二人の口ゲンカが しばらく終わらず続いたらしい







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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:名前変換ネタで 挟み撃ちっぽいものを書いてみたくて
書き進めたら いつの間にやら脱線気味に(汗)


ゴロウザ:いつの間にやらって…自覚無いのか?


狐狗狸:あったら書くものは駄文じゃないです(爆)
とにかく「ストラーイク」っつってさんがガッツポーズ
するとこと ゴロウザさんと仲よさげ風を書きたかっただけ


ゴロウザ:目的ハッキリしてんなぁ(汗)ところでよぉ
最後にが言ってた格ゲーのアイツって誰だよ?


狐狗狸:それは読者様のご想像にお任せしますよ あ、ちなみに
妖怪の想像図も 襲われた人もです〜


ゴロウザ:ちょっと待て それはマズいだろ幾らなんでも!!(汗)




…ゴロウザは初書きでキャラを掴もうと頑張りましたが、


書きあがったらオリキャラの某ツッコミ主人公(別館)
変わらなくなりました(何)




さん そして読者様、ここまで読んでいただいて
ありがとうございました!