「ねぇねぇ、二人は大人になったら
なりたいモノとかってある?」








ジャングルジムのてっぺんに座ったまま
同じ流派のあの子が、私たちに聞いた







「大人になったら?」


「いきなりなんだよ?」





ブランコに座ってたあたしと、そばの木に
寄りかかってた地流の彼の声がハモる







「単に気になったから聞いてみただけ
なりたいものとか ないの?







期待にみちた視線を向けられて





少しうなってから、彼はこういう







「大人になったらって言うか オレは
とにかく強くエラくなりてぇな」


「エラくって…お父さんみたいな?」


オヤジなんかよりもだ!いや、社長くらいに
なって そんでもって…」







いま思い返してみても、何で彼があんなに
野望に燃えてたのかよくわからない







「子供のクセにませてるねぇ、ふつうは
サッカー選手とか大工さんって言わない?」


「お前だってそんな年変わんねぇだろ!」


「まーね、でも私の方が君ら二人よりも
お姉さんなのさ〜」


「それもそーだね」


っ、テメェは黙ってろ!」





あたし達二人で笑いあってから、あの子が
次に夢を語りだす





「私はゲーム屋さんになって、色んなゲームを
みんなで楽しんでみたいな」


「何だよお前 ゲーム好きだな」


「でもそれも楽しそうだね〜」





でしょ?といってから あの子は私に笑いかけ





は、何かやりたいことある?」







あたしはちょっとだけ考え おなじように笑って答えた







「あたしはねー ステキな人
見つけて、おヨメさんになるの!」











〜「幼き名残」〜











……とまぁ ここまでがあたしたちが
まだ友達だったころの話なんだけど







どうして唐突に こんな語り出しになったかと言うと





ちゃんは、子供の頃
どんな大人になりたいと思った?」





ヤクモ様に、あの子と似たような質問をされたから













…お前、邪魔







お昼を食べ終わり コタツでうつぶせに寝転びながら
足を伸ばしてマンガを読んでる至福のひと時のさなか





掃除機ガチャつかせ、が後ろからそう言う







「なによー、あたしからすればそっちがジャマなのっ」


「…俺が何してるか分かってて言ってんのか?」


こそ空気読んでよねー あたしは
せっかくの休日を有意義に使ってるのよ?」







ちゃんと納得のいく理由をいったにもかかわらず
あたしの式神はあきれた顔のまま固まっている





はぁ…本当わかってないんだから


それだから保護者さんやキバチヨ君にも
ニブイって思われるんだよ





「誰が鈍いんだっつの、てか何でアイツらを
引き合いに出すんだよ!」


「なんだ、わかっちゃった?」


「わからいでか!」







ひどい方向音痴グセが直らないわりには、たまーに
"予測"の式神っぽいことするんだから…





まーどっちかって言うと"予測"よりは
"読心術"に近いんだけど どーでもいいや







言葉がとぎれたから、またマンガを読みはじめる





「有意義に休日使う気あんなら、修行するなり
ヤクモさん追っかけるなりすればいいだろ」


「春一番がふいたとかいってたけど、
まだまだ外寒いもーん」







季節の上では春はまだ遠いんだし


たまには家でのんびりしたってバチは
あたらないと思うもん





それに今日は朝からそこそこ寒かったから


よっぽどのことでない限り、コタツから
一歩だって出るつもりは―









玄関から、扉を叩く音がした







「こんにちは ちゃん、いるかい?」





続いて聞こえてきたのは まぎれもなく
いとしのヤクモ様のお声!


瞬時にあたしは身なりをととのえて玄関にダッシュ





早っ、つーかお前寒いんじゃなかったのか?」


「ヤクモ様のお出迎えは別なの〜」





小声で短く会話をかわしてから、深呼吸を
一回して 扉を開く







「こんにちは、ヤクモさん
あの…今日はどのようなご用でここに?」


「いや 特になくて休みに寄っただけなんだけど
……それじゃダメかい?」


「いっいいえ、そういう意味じゃないんです!
てゆうか大歓迎ですよ!!





あわてて言いなおすと、ヤクモ様はクスっと笑って





「ああよかった ちゃんに
何か用があったら迷惑かもって思ってたから」


「そんなこと無いです!断ったらむしろ
あたしの方がヤクモさんに失礼ですよ!!」








たとえ用があったとしても ヤクモ様と
一緒にいる方をえらぶもん、絶対!





その一事以上に大事なことなんてないし!!







 立ち話もなんだし、上がってもらえよ」





後ろからの一声で、あたしはハッとわれに帰る





「そ、そうだね それじゃあ
ヤクモさん どうぞ上がっていってくださいな」


「大したもてなしは出来ませんけどね」





たしかにそうだけど、余計なコトは言わなくていーの!







ヤクモ様はやさしい笑みを浮かべて おっしゃった





「オレの事は気にしなくてもいいよ
それじゃあ、お言葉に甘えてお邪魔します」









こうしてウチに上がってもらって





コタツで向かいあって、最近の近況を
話しあったりして







お茶とお菓子を運んできた


あたしたちの間を取るように座ったところで





「いきなりなんだけどさ…ちゃんは、
子供の頃 どんな大人になりたいと思った?







この質問がヤクモ様の口から飛びだしたのだ











「…どうかしたかい?ちゃん」


「あ、いえ なんでもないです!」





もう一度問いかけられて、あたしは
自分の世界からかけ足で戻ってくると





「あのあのっ、どうして急にそんな質問を?」







ちょっと早口ぎみに問い返し お茶をすする


うぅ、急いで答えたからちょっと声が
うわずってる…はずかしいよぉ…







「突然ゴメンね 前にちゃんの昔の話を
聞いた事を思い出してさ…ふと思ったんだ」





ヤクモ様はやさしいほほえみをあたしに向けて
楽しそうに、こう続けた





「小さい頃のちゃんが どんな事を
考えてたのかってさ」








ほっぺたが熱くなるのが分かる







うれしいっ でも、それだけは言えない…!







「ご、ゴメンなさい…実はあんまり覚えてなくて」


「そっか……思い出せる限りでいいから
教えてもらえないかな?ちゃん」





あぅあぅあぅ、言わなきゃダメですか!?







ジッと見つめたままで ヤクモ様はずっと
あたしの言葉を待っている





うぅ、言わなきゃダメっぽい









……ゴメン ちょっと夢借りちゃうね







「大人になったら、ゲーム屋さんになって
みんなで遊べたら…ってカンジだったと思います」


「本当にかぁ?」


なによ、うたがうの


「いやっそー言うわけじゃ…それより
逆に聞くけど、ヤクモさんはどうだったんですか?」


「それはあたし聞いたことあるもんっ
お父さんみたいなリッパな闘神士に」


「実はね 大人になったら父さんみたいな
闘神士の他に、なりたいものがあったんだ」





その言葉で、あたしは目を丸くした







闘神士の他に…なりたいものがあった?





何だろ?パイロットかな、サッカー選手かな
それともアイドルとか!?


あ、宇宙飛行士なんてのもカッコいいかも!







「そうなんですか、どんなものですか?」





ワクワクしながらきき返すと、ヤクモ様は
ちょっとてれたように笑って







「戦隊モノのヒーローとかリーダーだよ」







や、ヤクモ様らしいなぁ…





でも それはそれでカッコいいかも!
ヤクモ様だったら全然アリだと思うし!!


それを伝える前に、が横から口をはさむ





「今でも似たようなものにはなってるy」





それ以上の言葉をひとにらみで黙らせた


もちろん ヤクモ様にはきづかれないように
細心の注意をはらって行動してる







「ハハハ、そうかもね」


「でも ヤクモさんにしか出来ないですし
あたしはカッコいいと思います


「ありがとうちゃん」







は〜う〜、その笑顔がまぶしいです…!









「しっかしお前ら、ガキの頃から
ほとんど変わってねぇよなー」





あたしたちの姿をながめながら、
あきれたようにお茶をすすっている





「あ、上から目線なんてナマイキ〜
そういうこそどうだったのよ?」


「小さい頃のちゃんの夢か…
ちょっと聞いてみたいなぁ」


「お前ら、俺が式神だっての忘れてんだろ
式神にガキの頃の夢もなにもあるかよ」


え〜夢なかったの?ってかわいそー」


「何だよっその哀れみの視線は!
つーかヤクモさんも何その微妙な表情っっ!?」








そのまま会話はズルズルといじりに変わり
"子供のころの夢"がふたたび話題にのぼることはなかった







ヤクモ様の手前、はずかしくて言えなかったけど


いつか キチンと言えたらいいな









子供のころに思っていた夢は





"大人になったら"なりたいものは…


今も変わらず、すてきな人のおヨメさん!








――――――――――――――――――――――――
あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:年明けてから久しく書いてなかった
ヤクモ話でした、相変わらずなネタでスイマセン


ヤクモ:しばらく書き悩んでたと思ったら
やっぱり同じようなネタとオチしか書けないんだな


狐狗狸:ヤクモさんも年明けての出番になった分
文句に磨きがかかった模様で


ヤクモ:何が一番嘆かわしいっていうと、これで
ちゃんの話が終わりだってコトだよ


狐狗狸:Σあー!それ言っちゃダメでしょ!!


ヤクモ:隠してても仕方ないだろ、いずれ今後の
更新でわかる事なんだし


狐狗狸:まぁ確かにそーだけど ここで
ぶっちゃけるのもどうかと……




夢主闘神士の短編はここで打ち止めになりますが
作品はまだまだUPする予定です
(名前変換や式神夢、後はシリーズ…?)


今しばらく お付き合い頂けますよう
よろしくお願いいたします!