今日は、待ちに待ったハロウィンの日
趣味で調べた情報にある魔女の格好をして
私は 意気揚々と繰り出した
よくつるむ仲間の元へと
さて、あの三人はどういう反応を示すかな?
〜「おねだりと恐喝は紙一重」〜
「トリックオアトリート!」
まずはガシン、じゃなかった
マサオミの所にお邪魔してみた
何ていうか イキナリの事にビックリしてるのが
思いっきり顔に出てる
「え、何だよ そんな可愛い格好して」
現世のこと色々詳しいくせに、反応が鈍いなぁ
私はふぅ、とため息をついて
「お菓子をくれなきゃイタズラするよってこと!
さーどっちがいい?」
その言葉で ようやく今日が何の日か思い出したらしく
マサオミがああ!と呟いてから、微笑んで
手に持っていた袋をガサガサやりつつ
「えー だってオレ、おかし持ってないぜ?
牛丼ならあるけど」
「牛丼はいらない じゃあイタズラでいいねマサオミ」
私は言って、ニヤリと笑った
このイベントの一番いい所は、まさにコレ!
脅かす側がお菓子を突っぱねてイタズラを
相手に行うことも出来ること!
むしろイタズラをメインに 私は
試してみたい呪いのグッズを各種用意してたりする
「ちょっちょっと待て!」
「待ったなし!」
引きつり顔のマサオミの言葉を無視して
私はイタズラを行使したのだった
マサオミの悲鳴が、少し寒さを帯びてきた
秋空にこだまする
『ねー ハロウィンだからってちょっと
やり過ぎなんじゃないかなー』
半霊体のキバチヨが 倒れたマサオミらしきものを
見つめながらそう言う
「だって甘いもの持ってなかったし 仕方ないじゃん」
『まーそう言っちゃえばそうだけどサ
ちょっとアンフェアな気もするなぁ』
うーん まぁそう言われればね
「じゃ、これくらいはサービスしようかな?」
言って、私は牛丼のサービス券をマサオミの
側に置いて その場から立ち去った
回れるのが三人はちょっと少ないけど仕方ない
ウツホ様にこのイタズラは効かないだろうし
タイシン・ゼンショウはシャレが通じなさそう
あと、他の神流は色々忙しそうだし…
つまんないなぁ
「トリックオアトリート!」
次にショウカクの所に来てみた
反応は、マサオミの時よりも更に
わけがわからないって雰囲気を漂わせた顔してる
「何だその鳥…なんとやらは?」
まぁ ショウカクは現世のことに疎いから
知らなくてもしょうがないか
「お菓子をくれなきゃイタズラするってこと!
ショウカクはどっちがいい?」
ニッコリ笑うけど、ショウカクは
更に顔を青ざめさせて震えだす
「よ そ、それは恐喝か!?」
「違うよ!そういう習慣なの!
向こうでは当たり前なんだよ?」
頬っぺたを膨らませてそう言うと
ショウカクの顔が、きょとん としたものに変わって
「そうなのか…?
生憎 甘味はこれしか持っていないのだが」
言いながら差し出したのは、柿
「何で柿?」
「現世に来た時に見事な柿の木があってな」
こんな、と言いながら ショウカクが
身体でその木の大きさを表現しながら続ける
「食したくなったのでヤタロウに幾つか
取らせたのを 持ってたのだ」
妙に嬉しそうな感じで言うショウカク
気付いてます?
多分それは現世だと "泥棒"になるって…
まー常識に疎いし 悪気は無いから
仕方ないかな、うん
私だって こっちに来なきゃ所有地とか
そういうことを知らなかったもん
それに、その嬉しそうな顔 結構カワイイし
「…まあいいよ、甘いものだし許してあげる」
甘いものもらっちゃった以上は、
イタズラするのは可哀想だし…ね
ほっとしたショウカクと分かれて、
さてと 残すは後一人!
シャレは通じないけど、私のキャラは十分知ってて
何よりイタズラしても後腐れないあいつの元へ!
「トリックオアトリート!」
締めに訪れた タイザンの反応は
面倒くささと呆れが絶妙にブレンドされた
かなりのしかめっ面だった
「……、その格好も含め 何のつもりだ?」
「お菓子をくれなきゃイタズラするよってこと!」
宣言すると、タイザンの眉間のしわが更に深くなり
「聞いているのはそこではない、何故お前が
ここにいるのかという事だ」
「だってこの時間帯にここにいれば
タイザンが戻ってくると思ったから〜」
私の言葉に、タイザンはため息をついてから
「お前の下らん戯言に付き合うヒマは無い、さっさと帰れ」
しっしっ と手で追い払うような仕草をした
「よしわかった じゃあイタズラ決行ね」
「何故そういう結論になる」
「答えません」
だって甘いものをくれないなら、イタズラしか
ないじゃありませんか!
『嬢ちゃん 出来れば面倒は勘弁してもらえやす?』
「駄目だよオニシバ、だってハロウィンの掟だもん」
「そんな掟は無い」
ピシャリと言うタイザンの言葉は無視の方向で
『じゃあ あっしの非常食でお引取り願えやすかぃ?』
「…オニシバの非常食?」
問いかけに タイザンが無言で私に渡したのは
"お徳用 カリカリ梅"一袋
「うーわー マサオミのパターンと変わりない…」
「怒るぞ さぁ食い物は渡したんだ帰った帰った」
言って 半ば無理やり追い出された
もらったのが甘いものなのが微妙だけど、
まー物をもらうのが目的じゃないし いっか
…でも タイザンの態度がちょっぴりムカ入ったので
半分イタズラを決行したら、部屋の方で
面白い悲鳴が聞こえました
「ああ面白かった」
私は三人の今日の反応に 満足しながら帰った
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後日のが訊ねた三人の男達の会話
「イタズラでちょっと大変な目に合ったけど
の魔女コス 可愛かったよなー」
ほらこれどーよ!と言いながら
マサオミがいつの間にか撮った携帯の画像を
他の二人に見せびらかす
「ガシン お主いつの間にそのような…」
「まーオレもやられっぱなしじゃないさ」
「フン、くだらん」
不敵に言うマサオミをタイザンが鼻で笑う
「何だよタイザン!普段スカートはかないの
スカート姿は貴重なんだぞ!!」
「そんなことは私の知った義理ではないわ!」
そのまま二人が口ゲンカを始め、
「それにしても は何故、あんなに急いでいたのだ…
一緒に柿を食べる間もなく去ってしまうとは」
ポツリと呟くショウカクの言葉は、二人に届かず
それに気付いたショウカクが負けじと大声で叫ぶ
「二人とも!聞いておるのか!!」
「あーああ、悪い悪い もっかい言って?」
「だから!何故があんなに急いで
我らの所に訪ねて回ったかと言うことだ!」
先程の疑問を少し顔を朱に染めつつ言うショウカク
マサオミは、笑いながら事も無げに返す
「それだけ早くハロウィンをオレ達に知らせたかったんじゃない?」
その言葉に ショウカクはそうかと納得し
タイザンは腕を組んで眉をしかめた
「…全く迷惑な風習だ そのお陰で私は
奴にヒドイ目にあった」
「ふーん そのくせあの日タイザン忙しかった筈なのに 早めに
仕事切り上げて帰ってきてたよね?オレ 知ってるよ?」
からかうようにマサオミが言うと、タイザンが顔を赤くして
「なっ…貴様何処でそれを!!」
「ひ・み・つ〜」
「秘密、ではない 吐け!!」
「たっタイザン ケンカは止めるのだ!」
笑うマサオミの襟首掴んだタイザンを
ショウカクが必死で止めていた
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あとがき(というか楽屋裏)
狐狗狸:名前変換ネタで神流キャラのハロウィンを
書いてみました
マサオミ:すっかりのこのキャラ、定番だね
狐狗狸:だって動かしやすいし こういうの好きだし
キバチヨ:でもこの子の話もそうだけど、これドリームより
バカ話のノリに近くない?
狐狗狸:それは私の力量が無いからです(泣)
ショウカク:何故オレが可愛いのだ…の方にこそ
可愛いという言葉が相応しい筈だが?
狐狗狸:素でそう言えるのはすごいけど、出来れば
作品内でお願いします
タイザン:貴様が書いといて言うな
こんなんばっかでスイマセン
それでは皆様、ハッピーハロウィンを!
さん そして読者様、ここまで読んでいただいて
ありがとうございました!