おーっすヤクモ!今日も元気に妖怪汁飲んでるー?









使命の為に伏魔殿を探索していたヤクモを
唐突に聞き覚えのある声が呼び止めた










彼が視線を声の方に向けると 声の主である黒髪の少女
右手を上げて満面の笑みで力強く振っていた





ヤクモは小さく溜息をつくと 彼女の方まで近寄る











「また暇つぶしに妖怪退治か


その通り〜ヤクモだって 相変わらず使命とかで伏魔殿に
入り浸ってるから似たようなもんじゃん!」


「オレはお前程フラフラしてない、どうせなら天流に入って
その有り余ってる力を活用してくれよ」


「勧誘はお断りだってば フラフラしてるのは自由な証拠〜
それが私の生き方だもん☆







淡々と言葉を交わすヤクモに対し 笑顔で答える











〜「ないものねだり」〜











どこの流派にも属さないという、珍しいタイプの闘神士だ







彼女曰く"流派の争いなんて血生臭いものは興味ない"らしく、





主に伏魔殿を暇つぶしにほっつき歩いては妖怪退治したり


たまーにコッソリ符で知り合いの所に不法侵入したりするらしい









それゆえか、ヤクモとこうして会う事もあるのだが











は興味があるものを見つけると
会話もそっちのけで別の場所まで飛んでいったり





水母のようにフラフラと放浪する事が多くて
会うこと自体が少ないため









お互い知り合い以上友人未満の関係のままである





というか彼的には手のかかる悪友に近いだろう














「所で 神操機ホルダーはどうしたんだ?





ヤクモがの腰の辺りを指差す









通常、闘神士なら大抵は 腰の辺りに
神操機を収めるホルダーがある





別の場所に神操機を収める者もいるが、
ホルダーに収める派だった


…がの腰には 本来あるべきである物がない







ああ、と気づいたように自分の腰を見てから





「置いて来た」





さらりと一言そういってのけた











「…は!?


「だーかーらー アイツウザイから置いて来たの家に」







あまりにも闘神士として問題のあり過ぎるの発言に
ヤクモは大きく目を見開いた










何考えてるんだ契約した式神を
家に置いて伏魔殿にくるなんて!!」


「いーじゃん別に 闘神符持ってるし」


「よくない!妖怪にでも襲われたらどうするんだっっ!!」


「だあって 昨日アイツと喧嘩したんだもんーてか
悪いのはアイツの方だしっ☆」







怒鳴られてなお、平然とした表情で話すの態度に
ヤクモは思わず深くため息をつく











「たかだか喧嘩で 信頼すべき相棒の式神を置き去りにして
伏魔殿をうろつくなよ」


「だってさーアイツ偉そうなんだもん 降神しててもしてなくても
『僕の為に働け 愚民が!』って四六時中言われてみ?」







腕を組みながら 式神の台詞を、彼のマネをして
偉そうに
言うを見て、ヤクモはうわぁ…という顔をした









「…確かにそれは 一寸どうかと思うな」


でしょ?無意味に偉そうだし、扱いにくい事この上ないの
あーあ ヤクモのとこはそんな事なさそうなのにな〜」









かなり式神の性格に不満があるらしく
溜息混じりにが呟いた





「当然だ 俺達はお互いを信頼しているからな











誇らしげに胸を張るヤクモを しばらく羨ましげに
じっと見ていただったが





やがて何か思いついたらしく、パッと顔を輝かせると


ヤクモに近寄って 腕を掴みながら上目遣いで言った









「なぁヤクモ お前の式神、私のととっかえてくれ♪


「無茶な事を言うな





眉をしかめたヤクモに 食い下がるように
腕に絡み付いてくる







「いいじゃん 五体もいるんだし一体くらい
ケチケチするなよ〜」


ダメだ みんなオレの大事な式神たちだからな」


「そこを何とかぁ〜


「Σ引っ付いて擦り寄ったって ダメなもんはダメだっ!」








しつこく腕に擦り寄ってくるを ヤクモは
慌てて腕から引き剥がそうとする


ヤクモの顔が少し赤くなっていたりするが
は気づいていないであろう





それでも何とかヤクモはを腕から剥がした













「なんだよケチー 私はあんな式神
ノシつけて他の奴にくれてやる気満々だぞ?」





不満たらたらそうに唇を尖らせては言う











すると ヤクモが真剣な顔付きでを咎めた





…闘神士は例え自分の式神と反りが合わなくても
そんな事は言うんじゃない










"式神との絆"を重んじるヤクモにとって


のその一言は、少し聞き捨てならなかったのだろう













「悪かったよ それは、謝る…ゴメンなさい





ヤクモの怒った意図を理解してか 反省する












しおらしくなったに ヤクモは苦笑しながら
頭にそっと手をのせる





「いいさ、帰ったら話し合って仲直りしとけよ?
大切な相棒なんだから」


「…まーね 私がいなきゃ多分あんな奴、契約したいなんて人
いないだろうからねー」







もそのままクシャクシャと髪を撫でられながら フフと笑う












ありがとヤクモ 引き止めちゃって悪かったね」


「んー ああ、気にするな」





の言葉に 気づいた様にヤクモは頬をかき
彼女の頭から手を離して








「それじゃオレは行くから またな





そう言って すたすたと歩き出した





「おー 気をつけてね〜」








クシャクシャになった頭を整えつつ ヤクモを見送る













ヤクモの後ろ姿が段々と小さくなり


唐突にヤクモが振り向いて、右手を頭の上まで持って行き―





「バイス!」







バイス〜





も同じポーズで返すと 満足そうにヤクモが微笑み
再び背を向けて歩き出した







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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:名前変換でヤクモって初めて書きましたよ、何て言うか
恋愛より友情にウェイト置いて書いてます


ヤクモ:それよりこのの設定は…少しマズいだろ


狐狗狸:はい 完全に某茶の方の影響受けてます…
ゴメンなさいF様!!(土下座謝)


ヤクモ:それと 友情とか言う割には立ち話して愚痴聞いて
そのまま別れたって言う面白みのない展開だし


狐狗狸:ごごごごごごっ ゴメンなさい…(平伏)


ヤクモ:大体バイスが無理やりだし…あと ここの所
更新怠けすぎじゃないか?特に別館


狐狗狸:うう…言葉の棘がイタイイタイイタイイタイイタイ
つーか ヤクモ様、毒舌すぎやしませんか?


ヤクモ:…そうか?(首かしげ)


狐狗狸:え 無意識!?(汗)




さん そして読者様、ここまで読んでいただいて
ありがとうございました!