俺は 悩んでいた
ハッキリいって50回も60回も伏魔殿に迷いこんでしまうほどの
自分の恐るべき方向音痴差についてと、
「おや?今日は逃げないんですかぃ さん」
隣に居る 霜花のオニシバとどんどん縁が出来る事に
〜「君が望むままに」〜
「うるさいよ 今、俺は自分の方向感覚について
真剣に考えているところだっ」
「それはやっぱり誰かに呼ばれてるんじゃねえですかぃ?」
「だっ…誰にだよ?」
半分冗談 半分本気で聞いてみた
するとコイツはいけしゃあしゃあと
「ぶっちゃけていうとあっしにでさぁ」
とか言うから
「お前かーーーっ!」
すかさず俺はハリセンでオニシバを叩く
"スパーン"といい音がした
「真面目に聞いた俺が馬鹿だった
もう俺 自力で出口探すから!」
そう言って 歩き出そうとしたら腕をつかまれた
「毎度毎度いい加減にしないと
再起不能なまでに滅ぼすぞ」
腕を振り解こうとしても びくともしない
「痛っ…離せよ」
「離しやせんよ 今日だけは」
「…はぁ?」
「少しだけ…側に居て欲しいんでさ」
そちらを向くと いつものニヤついた笑みでなく真剣な顔
「…わかった」
俺は 断る事が出来なかった
あいつの眼に―陰りを見てしまったから
二人で座ったまま しばらく黙ったままでいた
沈黙が重かったから 俺は話を切り出した
「…アンタに何があったのかは知らないし
語りたくないなら聞かない」
あいつは顔をこちらに向ける…俺はその目を
見返しながら言った
「でも、何か出来る事があるなら言ってくれ
何だってやってやる」
―それで少しでも アンタの孤独が癒えるなら―
「さん…ならここで
あっしの貸しを返してくれやすか?」
「う…わかったよ、望むなら もう逃げない」
「本当に?」
そう言って オニシバの右手が頬から頭、
左手が腕から肩へとかかる
少しだけ 俺の身体が強張った
そのまま俺は抱きしめられた
「…鼓動がかなり高鳴ってやすね」
あいつの声が 耳元で低く響く
「当たり前だ…抱きしめられる事に慣れてねぇんだよ」
「照れてるんですかぃ 顔、真っ赤ですぜ?」
「うるさい」
少し身体を動かすと 抱きしめる力が強くなった
「もう少し このままでいさせていただけやすか?」
「…分かった」
少しの間 俺はぬくもりと息遣いの中に埋もれていた…
埋もれてしばらく経つが 離してくれる気配がまるでない
「…いつまでこうしてる気だ?」
「出来ればこのままず〜っと」
「俺を帰さない気か!?」
「あ ばれやしたか」
"スパーン"
オレは即座に腕を回して眉間にハリセンを直撃させた
よほど痛かったのか額を抑えてうずくまるオニシバ
「少しでも心配した俺が馬鹿だったよっ」
「痛たたた…相変わらずいいツッコミの瞬発力してますね」
「んなもん誉められても嬉しくないっ!!」
「まあこれからも…相方としてヨロシクですぜ さん」
「って 俺ツッコミ決定かよ!?」
そんな他愛もない話をしながら こいつの顔から
孤独の陰りが消えてホッとしている
どうせ出来た縁ならば これからもこいつが望むなら
話し相手になって 少しでも孤独から救おうと思った
…いや ツッコミは別として
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あとがき(というか楽屋裏)
狐狗狸:コッパズカシぁー―――――――ッ
オニシバ:何を今更(また背後から)
狐狗狸:そうでした…この話のテーマはポル ノグラフ ィティの
「ネオメ ロドラマテ ィック」からとってたりします
オニシバ:本当にポルグ ラ狂すね
ループでひたすら聞いたりするし
狐狗狸:それは言うな―――――――ッ
オニシバ:ようやくあっしの想いがさんに
届いたわけですが…この次はどうするんで?
狐狗狸:…(沈黙)
オニシバ:…(沈黙 しながら銃を)
狐狗狸:待て待て待て待て待てっ!!何とかするからストップ
オニシバ:問答無用
ズガーーーーーーーーーーーン