移ろい 変わりゆく季節の中で





ふと気紛れに、訪れる瞬間は


まるで夏の夜に垣間見る アゲハ蝶のよう













「…相も変わらず よく迷い込みやすね」





伏魔殿に迷い込んですっかりお馴染みの顔となった
オニシバに、少し不機嫌な顔をする





「アゲハ蝶に気をとられて うっかりやっちまったんだよ…」


「まだ童心に返る程 老いちゃいないと思いやすがね?」





クク、と口の端を吊り上げて笑うオニシバに


は頬を膨らませてふて腐れる







「珍しいなって思ったんだよ…悪いかっ」


「悪かありやせんぜ 可愛らしいじゃないですかぃ」





とか言いつつ 肩でも抱きしめようかと近づくオニシバ


何となくその気配を察知したがオニシバから
間合いを保ちながら離れていると―







後ろから出てきたキバチヨが を抱きしめた











〜「気紛れな君」〜










「ハロー こんなとこいたんだ〜探したよ?」


「Σえ キバチヨ!?何してんだよ 放せ〜!!


「アハハ照れない照れない 向こうじゃこれ、挨拶だから〜」





慌てて腕を解こうとするをものともせず
笑顔で抱きついたままのキバチヨ







しかし 唐突にキバチヨの眉間に銃口が突きつけられる







「キバチヨ殿 ここで会えるたぁ思いやせんでしたが…
もう会えねぇとなると、寂しい限りですねぇ」





引き金に指をかけたそのままで オニシバが言う


しかしキバチヨは舌を出しながら平然としている





僕を脅したって無駄だもんね〜柔らかくて
キュートだから放したくないもん☆」


「頼むから放せキバチヨ、あと何気に発言変態入ってる!
てかオニシバ、お前は銃を人に向けるな人に!!







慌てて二人を諌めるだが お互いに
そんな事はお構いなしだった





お前さんの血で さんを汚したかぁないんで
さっさと離れてもらおうかねぇ」


「そんな事言われたら益々離れたくないね〜
目の前にストーカーがいるし」


「…そいつぁキバチヨ殿にも言えることではないんで?
挨拶にしちゃあ 抱きついてる時間が長くありやせんか?


「そっくりそのまま その言葉をお返しするよ
盛りがついてる犬のジェラシーってみっともないね〜」









自分の頭の上でされるケンカに とうとう切れたのか





「俺の話を聞けっつーの!!」





はキバチヨの腹に肘鉄をかまし 彼の腕を抜け出すと、
目の前にいるオニシバの顔面にハリセン攻撃を叩き込んだ


それぞれ攻撃を食らった箇所を抑えてうずくまる







二人がふと顔を上げると、


仁王立ちで二人の前に佇んでいた







「…手前ら いい加減にしねぇと滅ぼすぞ?





怒気を充満させつつハリセンを構え 微笑んだ


オニシバとキバチヨの二人は、思わず凍りついた







「へい すいやせんでした;」


「ソーリー わかったからハリセンしまってよ、?」









二人が慌てて謝ったのを確認し
矛ならぬハリセンを収める









「ってーかさ、さっきから聞いてる限りじゃ
お前等知り合いなんだろ?仲良く出来ねーのか?


「確かにそうだけど…それはインポッシブルな問題だね〜」


「…どういう事だ?」





首をかしげるに答えたのは、キバチヨではなくオニシバ







「まぁ 平たく言うと、宿敵っつー関係なんでさぁ」





苦笑交じりのオニシバの声に 衝撃的発言が返ってきた





「宿敵か…いいな〜なんか羨ましい


『はい?』





呆気にとられて驚くオニシバとキバチヨ


その様子には手を慌てて振りながら





あ、いや 俺にはさ今は達がいるけど
昔は…一人だったからさ」





それに俺が女だからっつって 殴り合いとか
出来そうな奴いなかったし
、と付け加えたセリフに対し







可愛らしい女の子が殴りあいはどうかと


と内心ツッコミを入れる二人







「……だからさ、殴り合いの出来る奴がいるんなら
なるべく仲良くやってくれよ?





俺には手に入らないものだから、と
その言葉でしめくくった











『フフッ』





その言葉に オニシバとキバチヨの二人は、
さも可笑しそうに笑いだした







「Σ何で二人して笑うんだよ!?」





予想だにしない反応に、ちょっとショックを受ける


そんな彼女にお構いなく それぞれが口を開く





さん アンタには宿敵なんか必要ありやせんよ」


「イエ〜ス にはそんな人いなくても


『(あっし・僕)が側にいて(あげやすから・あげるからさ)』







期せずしてハモったオニシバとキバチヨが再び睨み合う







無闇に抱きつく西洋かぶれの龍は 大人しくしておいた方が、
醜態を晒さなくてすみやすぜ?」


グローバルって言ってよね?それに僕は
変態ストーカーな犬より よっぽどノーマルだもんね」


安い挑発を使ってくるたぁ、自分に自信が無いって
証拠ですぜ?」


「笑ってられるのも今のうちだよ?
今にその余裕を焦りにチェンジさせてあげるよ」





火花を散らしあい 二人のケンカが再び始まる







「ああもう お前等いい加減にしろよな!
何で俺のことでケンカしてんだよ!?






と 叫ぶの声も、最早二人には聞こえない









はあぁ、と溜息ついて近くの岩に腰をおろした
の肩に 一羽のアゲハ蝶が止まった





「何だよ 人の事をここに迷い込ませといて
自分から引っ付いてくるなんて……気紛れな奴









蝶に語りかけながら は二人の男の
口ゲンカ対決を、がくるまで眺めていた













―マイアラワレタ キマグレナチョウ


セメテヒトトキ、ソバデハネヲヤスメテイテ









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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:このシリーズ物のモチーフとテーマは お判りの通り
ポルグラの「アゲハ蝶」と、ケンカする二人を一時的にでも
仲良く
、みたいなモノです


オニシバ:相変わらず その歌手好きですねぇ(呆)


狐狗狸:うるさいほっとけ、ぶっちゃけ「アゲハ蝶」聞いて
私は音楽ジャンキーになったんだ!(爆)


キバチヨ:でも 気に入ってるからってループで延々と
聞き続ける
ってちょっと異常じゃない?


狐狗狸:趣味だからいいの!!


オニシバ:しっかし…キバチヨ殿、さっきはよくもまぁ
べたべたとさんに触れてやしたねぇ(銃出し)


キバチヨ:そっちだって いつもにやってるじゃないか
僕としてはその方がプロブレムだなぁ(矛だし)


狐狗狸:…以上 中継からお伝えしました(そそくさ逃走)




こっちもこっちで ノリが相変わらずでスイマセンでした


読んでいただき ありがとうございました〜