荒涼とした伏魔伝に は歩を進めていた





どうしても行くのか?


不安そうに問い掛ける幽霊状態の





「当たり前でしょ こんな大変な時にこそ
ヤクモ様のお役に立たなくっちゃ!



の方に見向きもせず 歩きつづける







「ここを超えれば…」





「そこまでだよ ちゃん」







その時 後ろから声をかけたのは―マサオミ









が振り向くと同時に神操機を突きつけ
マサオミもまた 彼女に神操機を向けている





「やっぱり、戦わなきゃいけないんですね マサオミさん


「そうみたい 本当なら君を味方にしたかったけど…
残念だよ、ちゃん







『式神降神!』


二人は式神を降神し 間髪入れずに印を切り出した











〜「過去との決別」〜










式神二人は印を受けて お互い必殺技の応酬を繰り返すが
決定的な一撃を与えられず 時間だけが過ぎていく







「……やっぱりだ、この感じ 思い出した


「戦いの最中なのに余裕だね〜





へらへらと笑うキバチヨを 射抜くように睨む







「あの時 俺を負かしたのは…お前らだろ







キバチヨの表情が 僅かに硬くなる





「だとしたら…どうするの?
流派が違うなら結局は戦うんだよ?
それが早いか遅いかだけの違いでしょ?」


その言葉に はキバチヨを見据えたまま答える





「流派なんてどうでもいい…だがな、
俺はあの戦いで傷ついた奴の分まで
お前等をぶん殴る!!



彼女の一撃を紙一重で避けつつ キバチヨも返す





「できるなら…やってみてよ













戦いが長引くにつれて マサオミの息があがってきた





実力からすれば二人は同じ位なのだが


長い時間の降神に慣れているせいか、
長期戦はに部があるようだ







「このままじゃ、埒があかない……
この手だけは二度と使わないつもりだったけど
しかたない!」


そう言って マサオミが闘神符"痺"に投げつけた





いち早く がそれに気付いた





っ 危ない!!」







に向かって飛んできた 闘神符を
素早く叩き落とすと 迫ってきた逆鱗牙を白凪で受ける







 今、必殺の印を切るわ!


「ダメだ もう少し離れないと、
お前まで巻き込んじまう!!





キバチヨの攻撃を防ぎつつ に言うの言葉に
が反応して下がるよりも早く







「金輪際撲滅戟!!」


「しまっ…グァ!!!





必殺の印が発動し を庇った為、
がまともに攻撃を喰らった


艶やかな赤い花が 空気中に舞い、が膝をつく





 血が!


「く…、ここは一旦退くぞ!





が額から流血しながらも に呼びかける


だが、当のは膝が震えて動けない







「甘いよ オレがそう簡単に逃がしてあげると思ってる?」





言いながらマサオミが印を切り それを受けたキバチヨが
攻撃を叩き込み、が地面に倒れる







「ごほっ」


「ソーリー…しばらく寝ててよ、


…止めてください マサオミさん!!





「悪いけどさ…オレにはやらなきゃいけない事があるから、
敵に回るならちゃんといえども 容赦しないよ







冷たく言い放ち マサオミが無表情で
との間合いを詰める


はただ その場に立ち尽くしている





二人の間に再びが立ちふさがる







「…今度こそ、俺はを守る 例え命が尽きようとだ!





ボロボロの身体を気力で支え、


決死の眼差しでが叫ぶ







「っ 邪魔するな!


マサオミが激昂し に向けて神操機を構えた









そこで の中で何かが弾けた










がしっかりとした足取りで マサオミの前に立ちはだかる
そして―







バキッ!







間髪いれずに 握り締めた右拳でマサオミの頬を殴りつけた










余りの出来事に、その場の時間がしばし止まる














「なっ…何するんだちゃん!


頬を抑えながら マサオミが鋭くを睨む
しかし、返って来た反応は





「もおぉぉ〜あったまきた!


さっきから聞いてればみんなして


勝手な事ばっかり言って!!









物凄い怒りの形相と 地の果てまで響かんばかりの怒鳴り声







「まず、
「お おお」


イキナリ振り向いたに睨みつけられ
珍しく怯む





「守ってくれたのは感謝するけど
あたしは一言も命がけで守ってくれなんて言ってないわよ!
勝手に死にかけられたりして困るのあたしなんだからね!



それからマサオミさん!


「…何だよ」


の剣幕に圧されながらも 答えるマサオミ





「あたしは流派なんてどうでもいいって 言いましたよね?
それなのに敵だからとか言って似合わない事やらかして
いつまでも拘ってるのは あなたの方ですよ!








普段 ちょっと怒ったりする事はあってもここまで激怒する事
なかった為、のこの反応にみんなは呆然としていた









「あたしはヤクモ様の役に立つためにここまで来たのよ!


今更引き下がってたまるもんですか!!






と、最後に自分の言いたい事を叫びきって
は一息ついた












「……ぷっ ハハハハハハハ





の堂々とした台詞に が思い切り笑い出した





「何よ 何がそんなにおかしいわけ?





不機嫌オーラ丸出し
は笑いながら言葉を紡ぐ







「いや らしいなって思ってさ、そうだよな…
俺もお前も覚悟してここまで来たんだよな」





ニヤリとが不敵に笑い ハリセンを構え直した







「悪ぃ、俺とした事が弱気になっちまって迷惑かけた…
 こうなったら最後まで戦うぞ!


その様子に も笑って素早く
の後ろへと下がる





「ええ マサオミさんには悪いけど、絶対勝つわよ!







自信と戦意を取り戻した二人とは対照的に
ジリジリと後ろに下がるマサオミ









キバチヨがマサオミを見つめながら 静かに問い掛ける


「マサオミ…ここは一旦退こう


「で でも、キバチヨ オレ達は…」
「マサオミ!」





キバチヨの一括に マサオミは仕方なさそうに舌を鳴らし







ちゃん、今回は 一旦退くけれど…
次会ったらオレ達は容赦なんかしないからな?」


捨て台詞を吐いて 二人は退いた










「マサオミさん……」








は 少し寂しげに彼が去った方を眺めていた








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:やたらと長くなったバトル風味モノ第二段です
ちなみにこの話はシリーズ物の「歪んだ残像」
サイドの延長線のつもりです


マサオミ:コラコラ 話の中で宣伝をやるなよ!


狐狗狸:いや 自分の脳内ではそんなつもりだし…


キバチヨ:てゆうか 戦闘シーンかなり手抜きだよね?(ニッコリ)


狐狗狸:手を抜いたつもりは無かったんだけどな…展開的には
前の時の戦法を阻止する方に気を取られて
先を読み誤っちゃった、って感じのアレなんですよ


マサオミ:まあそれはともかく ちゃんが激怒するなんて
本当に珍しいよ…てか、殴られたの痛かった(泣)


狐狗狸:そこも書きたかった一つだし てか痛そう、はいヒエ○タ


マサオミ:ありがと(手渡された冷えピ○を頬に貼る)


キバチヨ:しっかし話がまた長くなったよね〜気をつけないと
読者の人に怒られるよ?てか話がまた唐突っぽいし


狐狗狸:今更言うなよぉ(泣)