「あー暇だなー留守番って」





俺は家の中で 暇を持て余していた











〜「いつもと違う空間」〜












いつもは宿主である闘神士のが俺を降神して
色々とこき使うのだが 今日は珍しい事に
あいつが買い物に行く事になった





…ので 代わりに留守番をまかされたのだ







もし誰か来ても あたしはいないって言ってね


「わかった…でも誰か来るのか?」


「わかんないけど 多分…お願いね?」


「おう 気をつけてな」







あの様子からすると 来るかもしれないという奴は
あいつの苦手な奴なのかもしれない





ヤクモ様 っつー可能性は無いな、
したら買い物行かないしあいつ)







…まあ とりあえずに会いに来た奴は
お引取り願うようにしてもらおう、と思った矢先








ちゃんのお宅はここか…」








何処かで聞き覚えのある声が 玄関の辺りでした





間をおかずにドアをノックする音


「こんにちは〜ちゃん いますか?」












とりあえず俺は今の状況を確認する





の両親は 仕事の関係上普段は夜に帰ってきたり
仕事場に泊り込んだりする…から家にはほとんどいない


で 当の本人は買い物中(ついでにペットもいない)





…つまり 今この家には俺一人








地流の闘神士とかだったらいやだな…










と思って とりあえずドアをちょっと開けて
外にいる男を確認する





「…あ!あんた確か キバチヨの闘神士の」


「君は確かちゃん だっけ?」







そう 外にいたこの男、大神マサオミ
俺がひょんな事から知り合った 青龍のキバチヨの闘神士なのだ





(流派は同じ天流らしいが イマイチ嘘くさい気がする


は何か前からこいつの事を知ってるらしいが
聞いてもたいした答えが出ないので
それは気にしない事にした





…どうやらキバチヨは降神されていないのか姿が見えない







この男と話をする機会は特に無かったのだが
キバチヨから聞いたこいつの性格を
俺は即座に思い出していた








―美形で頼りになるけど ちょっと抜けてて腹黒い男―








ちゃん いるかい?」


「宿主は今 出かけてんだけど」


「え じゃあ君一人でお留守番してたの?」





まあ 大体予測どおりの反応だ


でも俺は こいつを家に入れる気も
会わせる気もさらさらない







俺は付け入る隙を与えずに 次の言葉を口に出した





宿主になんか用?無いならとっとと帰れ








しばらく沈黙がその場を支配する







すると


「まいったなぁ〜」





と マサオミが頭を掻きつつ






「折角彼女のお望みの情報が入ったから
伝えに来たのにな〜」







「なっ それマジ!?」







が望む情報="ヤクモ様"関連!


それを聞かせなかったことを言った日には





どんな目に合わされるか…


想像するだに背筋が凍る








「そうか〜残念だなぁ〜





帰ろうとするマサオミに慌てて声をかけた







っま待て!もう少ししたら帰ってくるかも
しれないから それまで待ってもらえるか?」


すると 振り返ったマサオミがニヤリと笑って





「いやー悪いね気を使わせて じゃあお邪魔します」


と言って うちに上がりこんできた












ちゃん お茶入れるの上手いね〜」


「ああ まあな」





気が付けば テーブルに向かい合って
俺とマサオミは茶をすすっていた







上手くハメられた気がする、が つい条件反射で
ああいう行動を取ってしまったのだ


それに 万が一情報の事が真実だったら
本当に恐ろしい事態になりそうだし








「所で 君は何故地流の式神なのに天流の彼女と
一緒にコンビを組んでるんだい?」








突然予想だにしない言葉が出て 俺は思わず身を硬くする





「流派のことは覚えが無いが 組んだのは単純な理由さ
契約したかったあいつと、契約されて無い俺が会った
…それだけだ」


「その理由は本当だろうけど それ以外は嘘だね
天流の闘神士であるオレにそんな言い訳は通じないぜ」





冷静にかわしたつもりが 逆にやり返された


……どうにもいけ好かない







「ハッ 天流だと名乗ってはいるが、
アンタ本当に天流なのか?


それはどうかな、といったらどうする?」





不敵な笑みを浮かべるマサオミ










こいつ…本気で言ってるのか?それとも全てハッタリか?








…いや、そんなことはどうでもいい










…これだけは言っておく





俺は"キッ"と マサオミを睨みすえ







「契約が続く限り 俺はの側に居続ける
腕がもげようがすべてを失おうが、
俺は最後までこの意志を貫き通す


だからに手出しなんかさせないからな?





―やってみれば― という宣戦布告を予測して
俺は戦闘体制をとる…しかし












ちゃんは 本当にいい子だね





向けられたのは不敵な笑顔でも敵意でもなく 友好的な微笑み







さっきとはあまりに違う変化に 俺は拍子抜けした





「はぁ?」







その時ちょうど ドアが開いた音がして





「ただいま〜」





が帰って来た







ちゃんが帰ってきたね…さっきの話は
二人だけの秘密にしてもらおうか?



「え?」


頼むよ ちゃん


マサオミは指を口に当てて いたずらっぽくウィンクする





…何か腑に落ちないが 断れそうにもなかった


断ったら この男は何かしでかしそうだったからだ





「わかった じゃあ秘密にしとく」








ただいま…あれ、マサオミさん!


「やぁ ちゃん」


「… あたし出かける前に頼んだよねぇ?





視線を向けられ 思わず俺はマサオミを指差しつつ





「いいいや、こいつが望みの情報あるっつーから
待っててもらったんだ」


「ああ そうそう」





はその言葉に目を輝かせて反応した


えっ本当ですか?
「本当だとも…」





とマサオミはそのまま二人で話をはじめた








情報が本当でよかった と思う反面


俺はさっきのマサオミの口ぶりに
底が知れないと思わされた









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あとがき(と言うか楽屋裏)


狐狗狸:マサドリ完成〜…なんか式神の方に出番食われてるのは
さて置いて(オイドリーム相手、マサ率高っ


マサオミ:何か不満でもあるの〜?


狐狗狸:無いけどさ 何となく


マサオミ:おいおい…しかし大抵オレ黒キャラだけどさ
正直こんなに黒いキャラじゃないよ?
これじゃあちゃんに誤解されるじゃないか


狐狗狸:……嘘つけ(ボソッと)


マサオミ:何か言った?(顔に影入ります)


狐狗狸:いや何でも(地獄耳だなコイツ) それじゃあお疲れさん


マサオミ:…まあいいや 読んでくれた皆、ありがとう