お前は何度ミスを重ねれば気が済むんだ」





「……すいませんでした」









私はタイザン部長の机の前に呼び出され、





今回犯したミスについてお説教をされていた












〜「ヘコみ屋を立ち直らせる方法」〜













確かに 今回も私が悪かった







けど、ここまで長々と責任を追及されると


怒りを通り越して落ち込んでしまう









最近 本当に何もかも上手くいかない










「聞いているのか?」





「…聞いています スイマセンでした」


「分かったなら さっさと行け」









切り捨てるようなその声に いつもなら
私は逃げるように部屋を出る







…けれど 今日は何故か足が重かった











どうしてたったあれだけの事を出来ないんだろう









全てが急に嫌になり 私はその場でうな垂れていた













「落ち込みたいなら いつまでもそうしていろ
ただし、ここでやられると仕事の邪魔だ 余所でやれ









先程とさほど変わらない調子で
背後から圧し掛かる声













…なんて冷たい人なんだろう、いいよいいよ









どうせ人間なんて皆冷たい奴ばっかりさ







私の式神さえ、何も声かけてくんないしさ









どうせ私なんかいなくたって みんな立派に
天流討伐を果たしちゃうんでしょうね











勝手な被害妄想だと 頭のどこかで分かっていても
止めることが出来なかった













「邪魔だといっているだろう、さっさと出て行け」


「…嫌です」


出て行かんのなら免職にするぞ、我が社には
役に立たない奴はいる資格など無いからな」









一言一言 切り捨てるような言葉に耐えかねて









「免職でも何でも好きにすれば?







振り向いた私は やけっぱちで反論した







もう耐えるのも限界だ









元々 闘神士だったし、実入り良かったから
居ただけの職場だし







どうせ辞めさせられるんだったら
言いたいだけ言ってやる









「どうせ最初っから、役立たずの私
免職にしたいからそう言うんでしょ?」






向けられた鋭い視線を 親の敵のように睨み返す







「こんな些細な事でさえ満足にできない無能を
切り捨てる口実ができてさぞ嬉しいでしょうね?









眉一つ動かない冷静な顔が 酷く憎かった









「要らなくなったらまたすぐ代えがきく使い捨てだから
いなくなったって貴方には全く支障ないでしょうし?」











言いたい事を言って すっきりしてる筈なのに









私が口を開くたび、どんどん心が痛くなった











「初めから 私なんかいなくても―」





「言いたいことは それだけか?







ようやく部長が、静かに口を開く









「……何故泣いている 











気が付けば いつの間にか目から涙が出ている







止めようとしても、止まらない







何でだ?









自分の実力が認められない事が悔しい?







ミスばかりする自分に腹が立つ?









――怒られた事が 悲しい?













訳がわからなくなった私の頭に







ゴン、と 何か堅くて鋭いものがぶつかった









頭を抑えながら顔を上げると、部長が拳を握って
じっと立っていた







「…痛い」


…どうしてお前はそう いつも物事を
悪いほうへばかり考える」









溜め息交じりに聞こえる 部長の声







ミスをしない人間などいる訳が無いだろう
次は改善するという発想が何故出てこない」









……そう言われれば 確かに、そうだ







タイザン部長は腕を組んで続ける





「お前には実力があるし、この部署は人手が
多い方がいい…勝手に腐られては私が困る











…私 今、必要とされてる?









急に さっきまでの自己中な思考や行動が
凄く恥ずかしくなった











ゴメンなさい 勝手なことばかり言って
…今度から 気をつけます」


「…次はないと思え 









色んな意味で居辛くなって 私は部屋を出る











ドアを閉める寸前、顔だけを少し出して







「あの タイザン部長」


「……何だ?」


「励ましてくれて…ありがとうございます







やっとの思いで コレだけは告げた









別に励ましたつもりはない 単にお前が暗いと
こっちまで気が滅入るからな」







……そこまで、暗かったんだろうか?





まぁいいや







「本当にスイマセンでした 失礼します」









私はそれだけ言うと 妙にすっきりした気分で
部屋のドアを閉めた








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:タイザン部長でシリアス目な話って書いたこと
無かったので挑戦しました 無駄に微糖でスイマセン


タイザン:で この話は結局何がしたかったんだ?


狐狗狸:いや 単純にマイナス思考に陥った可愛い部下を結果的に
立ち直らせる心の広めな部長が書きたかっただけ(爆)


タイザン:愚問な上に 夢というより最早意味の無い言葉の羅列か
語るに落ちたな(溜息)


狐狗狸:ぐふっ(吐血) 貴方、うちの某オリキャラ魔導師の
影響ちゃっかり受けてませんか…?


タイザン:あんな末恐ろしいガキと一緒にするな


狐狗狸:……どっちもどっちでしょ?




狐狗狸はさんよりも十倍長い説教(否、拷問)を喰らいました


相変わらず恋なんだか何なんだかな駄文でスイマセンでした




さん そして読者様、ここまで読んでいただいて
ありがとうございました!