現役高校生で青春真っ盛りのお年頃のオレには
とんでもない悩みがある
っつっても 平たく言えば恋愛絡みだ
ずっと側にいる彼女に 思いを伝えられないでいる
さっさと伝えろだって? 簡単に言ってくれるがな
オレが好きな彼女は ちょっと所じゃないくらいワケありなんだよ
〜「ボーイズハード」〜
「君 そろそろ起きないと遅刻するわよ?」
オレの朝は、彼女の声で始まる
寝ぼけ眼で目を開けると オレの目の前に
自分の式神の 癒火のシラトリの顔が間近にある
「Σうわあっ!!」
…毎度の事ながら 中々これには慣れない
「頼むからさ 普通に起こしてよシラトリ」
「それなら、もう少し早く起きるように
努力したら?君」
「あ〜あ シラトリがキスで起こしてくれるなら
幾らだって起きるのにな〜オレ」
「あら 寝る度に降神してたら疲れちゃうわよ?」
クスクスと笑う半透明のシラトリに
そうだなバテちゃうもんなー、と明るく振舞うオレ
……勿論 オレは本気で言っているのだが
好きな奴が 自分の式神だと色々不便だ
まず、降神しないと実体が持てないから触れない
(本気で困るわけでもないが やっぱ触りたい)
次に、彼女とオレは種族的に違う
(これはあんまり気にしてないから 別にいいけど)
そして 彼女はオレの気持ちに気付いてない
(ここ重要)
だって オレが幾らそれっぽい事を言ってみても
シラトリはいつも、きれいな笑顔を見せるだけ
自慢以外のなにものでもないが オレがマジな顔して
それっぽい事言って、気を持たなかった女の子は
今までいなかったんだ
……そりゃま シラトリからすればオレは年齢的にも
ガキだからだろうけど、かなりショックだ
「オレって好かれてないのかな―…」
シラトリに気づかれないよう ぼそっと呟く
「どうしたの君 何か悩み事?」
相変わらず、きれいな笑顔のシラトリ
「そうだな、ものすごーーーっく悩んでるよ」
君の事で と言えたら楽なんだろうけど…
もし本気で告って玉砕したら オレは立ち直れなくなる
更に 振られたとしても、契約満了か戦いで負けない限り
オレはシラトリの闘神士を続けなきゃならない
はっきり言って拷問だ…
(契約破棄って手もあるけど それだけはやりたくない)
だから、今だにオレの思いを打ち明けられないでいる
臆病者とか言うな お調子者のオレだって
好きな人に嫌われるのはイヤなんだよ
でも いつかは、いつかきっと…
「ところで君は」
「へっ なっ何!?」
シラトリがいきなり声をかけてきたから 思わず声が裏返る
しかも笑われてるし な……情けねぇー;
「君は私のこと どう思っているのかしら?」
直球ど真ん中ストレートの質問に しばらく思考停止
「ど どどどどど、どうって……」
折角の告白のチャンスなんだから 言うんだ、真面目に
"好き"だって!!
「オレはシラトリの事が す…好きでゅすっ!ぐ…!」
焦り過ぎて舌噛んで 思わずオレは口を押さえた
「あらあら 大丈夫君?治してあげるから降神して」
「ほ…ほねがひひまひゅ…(お…お願いします)」
マジで情けねぇ 告白失敗した上に、好きな彼女に
怪我を治してもらうなんて……サイアク;
「君はお調子者で慌てんぼさんなんだから」
「あはは…シラトリは落ち着かないやつって嫌い?」
「いいえ 私はあなたのこと、好きよ?」
え……今 シラトリがオレのこと、好きって言った?
マジで? 夢じゃねーよな、聞き間違いでもねーよな??
「シラトリ…それって マジで?」
「ええ」
夢じゃない!神様ありがとう!!
なんかオレ 今なら空飛べそう!!!
「何だか弟ができたみたいで すごく楽しいから」
シラトリのその一言で オレの気分は一気にしぼんだ
「そ…そう?」
かなーりショッキングだったけど 好意を持たれてるって
事がわかっただけでも……いいか
それに シラトリの微笑がキレイ過ぎて、もう何も
言えそうにないし
オレの告白への道のりは まだまだ遠い
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あとがき(というか楽屋裏)
狐狗狸:お姉様系に振り回される思春期少年に挑戦 そして
見事撃沈(汗)
シラトリ:あらあら 落ち込んじゃってどうしたの?
狐狗狸:だって シラトリさんのキャラがちゃんと生かされてないし
くんはヘタレだし、展開また急だし…(ヘコヘコヘコみ)
シラトリ:そんなに落ち込んじゃだめよ?(ニッコリ)
狐狗狸:し…シラトリさ〜ん 是非とも私の心を癒してください!!
シラトリ:ごめんなさい、そういうのは間に合ってるの
狐狗狸:ガーーーーーン!!(ベタフラショック)
さん そして読者様、ここまで読んでいただいて
ありがとうございました!