2年前 伏魔殿のある場所で一つの異様な風景があった








イヤ〜ッもうダメ!追いつかれるよぉ〜!!





逃げているのは雑魚の妖怪軍団に怯える
天流の新人闘神士 





彼女の式神である 光明族が
泣き喚くを叱り飛ばしている








彼女の式神が自分の闘神士を鍛える為
伏魔殿に頻繁に連行し 妖怪討伐の修行を行うので





そのたびに戦いを恐れる泣いて逃げ出す


そのせいで修行が厳しくなるという
悪循環な日々を は送っている








〜「飴と鞭」〜










泣いてないで 戦いなさい!!





泣いているに式神は戦いを指揮するが
彼女はイヤイヤと首を振る


そうこうしているうちに 妖怪軍団がすぐ後ろまで迫り―





突如 妖怪軍団がすべて消えた


二人が驚いていると 右の方からユーマとランゲツが現れた





どうやらこの二人が、先程の妖怪軍団を蹴散らしたようである










「あ…ありがとうございます 助かりました〜」


深々とお辞儀して近寄ろうとするを手で制す式神







その様子を傍目で見ながら ユーマが口を開く





「お前 天流の闘神士だろ?」


「そうですけど…あの 何か…?」


「何かも何もない、オレは地流だ この意味が
分からないほど 鈍くないだろ?」


その言葉と共に 神操機がに向けられる





「ヤダッ もう戦うのイヤアッ!!


臨戦態勢な 式神の様子とは対照的に、
式神の影でうずくまり泣きながら戦いを拒否していた





その様子に しばらくばつが悪そうに佇むユーマ









「…お前達天流は 本来なら倒すべきなのだが」







ユーマは戸惑ったように涙目のをちらりと見ると



お前みたいな弱い奴はここに来る資格は無い
見逃してやるから帰れ」


「これほどか弱い闘神士では 到底生き残れんな…」





そう呟いて ユーマは神操機を仕舞った













見下したような二人の台詞にの式神が怒りをあらわにした







失礼ね!はまだこれから成長するのよ!
今にあんたたちなんか、蹴散らすわ!!



「ほう…ならば 今、その可能性を打ち砕いてやろうかユーマよ」


「そうだな やはり天流の芽は摘んでおくべきだ





再び神操機をとりだすユーマ 剣を構えるランゲツ


「お願いやめて!もう戦うのイヤだしやめて!!





が戦いのオーラをかもす自分の式神と
二人を必死の形相でいさめていた










と そこで全員が会話をとぎらせる
雑魚軍団の後から現れた百鬼夜行を目の前にして





百鬼夜行の攻撃が全員に襲い掛かり―





「ふん!」





ランゲツがその火の粉を振り払った



さっさとこんな奴を倒すぞ ランゲツ」
「言われるまでも無い」




百鬼夜行とランゲツとの攻防が始まった














「くそ…コイツかなり手ごわいな
妖怪の分際で…!




戦いが始まってしばらく経ったが 攻撃の手は緩んでこない
逆に 二人の方が押され気味になってきた










その様子を 眺めてあわてている







「どうしようっ このままじゃ…あの人やられちゃう!!


「そうね…ひょっとしたらもあいつも倒されちゃうかもね
このままじっとしてたら





「…戦えってこと?でも あたしには出来ない…!





しゃがみこんで頭を抱える











「…には 憧れてる人がいるんでしょ?


しゃがむに 式神が優しくささやく





「う…うん」


「それに…あの子の為にも こんな所で 闘神士
やめたくないわよね?








が頷くのを確認して 式神は言葉を続けた





だったら 何をするべきか、わかってるわよね?









は腕で顔を拭うと 立ち上がって神操機を握り締めた







…あたし、戦う!







は決意を込めて 超絶必殺の印を切っていく










二人とも 危ないから下がって!



印をきり終えたの叫びに ユーマとランゲツは身をひいた









そして の式神が陰陽筆を構えた!










"葬天一文字!"









筆で描き出されたのは 羅生門!







羅生門が開き 中から異形の者達が飛び出して
百鬼夜行を引きずり込んでゆく!







必死の抵抗も空しく やがて百鬼夜行は
羅生門へと飲み込まれていった…














さっきまでてこずらされた妖怪を一撃で…


「とても 先程の様子からは考えられん…」







「…あの 大丈夫、ですか?





唖然としたユーマに向かい 心配そうに問いかける









「礼を言う…あと さっきは悪かったな


「確かに実力はあるようだな……」







ユーマとランゲツは を少し見直したようだ


「い、いえ そんな〜…」





照れながら 友好の握手を交わそうと近づく
しかし 向こうから雑魚妖怪の群れ第二派があらわれて―








嫌――――!!もう嫌―――!!!







おい ちょっと待て!!





は ユーマ達の前(正確には妖怪たちの群れ)
から逃げ出した











その後、お互いがよく伏魔殿で会うことになるのは
少し先の話である








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あとがき(と言うか楽屋裏)


狐狗狸:今回ちょっとハイペースで書き進んでいる為 展開に
ついてこれなかったらスミマセン



ユーマ:ってよく考えてみれば オレの見せ場
に取られてる形だな


ランゲツ:ワシの出番が少ない(機嫌悪)


狐狗狸:まぁまぁ…ちなみにの式神の必殺技
元ネタイメージはハガレンの"真理"ムヒョロジの
"「冥王の晩餐」の刑"
です


ユーマ:…ハガレンはいいとしてムヒョロジはまだ
わかる人少ないんじゃないか?


狐狗狸:いいもん 気に入ってんだから!!