どんなに想っても 君に僕の声は届かない









それを知っていても、だからこそ僕は
君を守りたい











〜「廻るカルマ」〜











「貴様、あの女に惚れているらしいな 青龍」









ウツホの屋敷の廊下で、マサオミくんから離れて
一人歩いている時に







柱の影に寄りかかってた六花族が呟いた







オゥ 君がここにいるなんて随分珍しいね」







わざとおどけて言ってみせる











僕は知ってる、こいつがの兄貴だって









は過去を話さないけれど 僕は
彼女の事を全部知ってる









兄貴と弟に住んでた所を追い出されて







伏魔殿を彷徨って、暴れた挙句に封印されたことも







前の契約者に心を救ってもらった事も







今でも、兄貴と弟を恨んでいる事も…









愛しているから の全てを知りたかった







例え、決して届かない想いであっても











「恋情とは哀れで愚かなものだな」


僕のハートを予測で読むのは止めてくれる?
それってかなりマナー違反なんだけど?」


「忠告しておく あの女とはもう会えぬぞ







気に入らない言い方に 僕は笑って訊ねる







ホワィ?その断言の根拠は?」


「我が滅ぼすからだ あやつを」











穏やかでない発言の理由を聞く前に、







「あの女には、強大な力が宿っている…
危険すぎる故の な」







ひとり言でも言うように僕をスルーして説明を始めた







九尾の力は未熟な者には扱えぬ…覚醒させれば
暴走し、自我を飲み込まれ破壊の限りを尽くす







淡々と 顔色一つ変えず六花族の男は続ける







「だから呪いをかけて、伏魔殿へと追放した」







まるで、ゴミを捨てるかのような
口振りで そう吐き捨てて







「彷徨い朽ち果て、当に消えたと思っていたが…
よもや敵の流派にいようとは思わなかった」









仮にも自分の妹なのに







よくもまぁそこまで冷たい扱いが出来るもんだね









「しかし今度こそ存在を無に帰し
ウツホ様の悲願を成就させる だから身を引け」







言いたい放題言い終えて、六花族は柱から
一歩 その場を離れようと足を踏み出す











ソゥシット!…気に入らないよ」


「ほう…何が気に入らぬ 青龍









ピタリと足を止めたあいつに、







僕はシニカルに笑って 言った









「その言い方じゃ、まるで…その力を
貰えなかった事に嫉妬してるように聞こえるけど?」








お互いの視線がぶつかったのは 一瞬







「まあいい…その返答は、予測の範囲内
私だけでやらせて貰おう」









侮蔑の視線を僕に投げつけ、そいつは
僕の横をするりとすり抜けていった







「……バトルの行方なんて 誰にもわからないさ」













本当に、バトルの行方なんて分からないもの







悠々と言い放ったその六花族は結果、
九尾の力を目覚めさせたに敗れた









同族に禁呪をかけていただけでなく







禁術にも手を染めていて、身に余る力
手に入れていたあいつは







代償に 名落宮へ落ちたらしい









いい気味だと思う反面、僕はが心配だった







強い力は時として 身を滅ぼしてしまうから













伏魔殿の あるエリアへと向かう前に







「この道はあまり長く持たないから
なるべく早く帰ってこいよ キバチヨ」







僕はマサオミくんに頼み、ある場所へ
通じる符での近道を作ってもらった







ドントウォーリー!すぐ帰ってくるから」







僕はそう言って、近道を通った













二人は戦いの後、気力を全て使い果たし





前に契約していた闘神士に助けられ







そこでかくまわれている、とマサオミくんは言ってた









…彼だって に会いたいはずなのに







「会うと、辛いだけだから」







そう言って 結局来なかった











「ハウスには、至る所に結界が
貼ってあるみたいだね…」









が契約していた前の闘神士は、闘神士の
実力だけでなく 符術や陰陽術にも長けていて







契約破棄した今でも、こっそり色々動いてたらしい







ハウスに貼られた結界もかなり強力で、
並大抵の人や妖怪 式神は侵入できないようになってる









「よっぽど、が大切なんだな…」







呟いて 結界の力が強い方へ歩いてく













運がいい事に、その闘神士はいなかった







いたら に会えなくなってただろう









結界の力がもっとも強い一室 
の隣で眠っていた







傷だらけの それでも、キレイな姿







触れれば壊れてしまいそうなガラス細工みたいに









「…こんなに、ボロボロになっちゃって…」









恐らく…こうやっての顔を見るのも
これが、最初で最後







固く瞼が閉じたその顔をそっと、撫でて









「これでお別れだね」







小さく呟き、僕はの顔に
自分の顔をゆっくりと近づけて







唇に そっとキスを落とした









初めて交わしたキスは、ほのかに甘くて
少し 血の匂いがした







マウスを放し 僕は起こさないように呟いた









「…バイバイ、















僕は静かに 来た場所へと戻った







マサオミくんと一緒に、皆を止めるため
戦うそのために










せめて… 君だけは







この悲しいカルマから抜け出せるよう
僕は祈りつづけるよ








――――――――――――――――――――――――――――
あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:の方も隠れ設定独白め終了〜


キバチヨ:オーゥ、お疲れ様〜僕が出てこれただけでなくて
とキスまで出来てうれしーよ


狐狗狸:うん これ初めオニシバのつもりで話書いてたけど
急にキバチヨで書きたくなったから変更


キバチヨ:色々アレな発言だけどスルーしとくよ☆
でもさー僕 軽く犯罪チックじゃない?


狐狗狸:ストーキングに家宅侵入 おまけに
寝込みを襲うこと?


キバチヨ:オゥノー!はっきり言わないでよ〜


狐狗狸:大丈夫だって マサオミさんもオフィシャルで
犯罪チックだし、ここでは二丁も似たようなもんだし


キバチヨ:今のセリフ 一気に敵増やしたよ?


狐狗狸:…え、マジ


キバチヨ:リアリ!




ファンにフルボッコにされました