「何故俺はこんな所まで来たんだ?」






伏魔殿の路上で 俺は頭を抱えて呟いた











〜「何に呼ばれたんだ?」〜











事の始まりは いつも通りののセリフだった





「ね〜 お使い行って来てぇ〜」


何で俺が? 自分で行け自分で!


「いいじゃん ね お願いお願〜い


「…わかったわかった 俺が買いに行けばいいんだろ?」





とまあこんな感じで いつもの通り買い物に行かされて







…そんでもっていつもの通り迷子になってしまったわけだ













「アイツにみっからないうちに帰んないと
今度こそしばき倒されるっ


…にしても何でまた伏魔殿まで来ちまっ…っ!」





背後から誰かの気配を感じて 俺は思わず振り向いた







そこにいたのは グラサンをかけた白いコートの男


姿形から察するに 霜花族だろう







「…アンタは誰だ?」





こっちを見ているその男に 俺は問いをぶつける


そいつは俺の質問に答えず かわりにこう言った







「そいつぁ あっしのセリフですぜ」
「…なんだと?」





「ここをうろつく時に
そんなモンぶら下げた奴ぁいませんぜ?







そいつに指差されて手元を見る…





確かに普通はいないわな


エコバックを持ってうろついてる式神なんざ








「うるせえ 買い物をしようとして…その
迷っただけだ!









男は少し呆気に取られた後 にやりと笑いながら言った





「よかったらあっしが出口まで案内してあげやしょうか?」


「えっ マジで?」


「…但し 条件付ですがね





その最後の言葉の意味を良くつかまずに 俺は思わず
ガッツポーズをしていた 


(ようやくここから出られる!)







ありがとヨロシクっ
あ、俺 六花のって言うんだ」


「あっしは霜花のオニシバ よろしく」




こうして オニシバさん
(恐らく俺よりは年上だろうから 一応敬語で)に
出口に案内してもらうことになった












「…で ここを真っ直ぐ歩いていけば
出口のすぐ近くに出られやすぜ」


「本当か?やった! ありがとうオニシバさん!」





俺は彼にお礼を言って 言われた道を走り出した…が





「ちょいと待ちねぇ」


といって腕をつかまれた





「え?」






何か嫌な予感がして、思わず 身を強張らせた





条件付きで案内と言ったはずですぜ?
約束は守っていただきやしょうか」


「げ しまったそうだった…そのー、条件の内容は?」





金だったら嫌だなぁと 今更ながらに不安になってきた





「たいした事じゃねぇですよ すぐ終わりますさ」
「はい?」












何が起こったのか 全く予測できなかった





気が付くと抱き寄せられていた


そのまま 顔を近づけられて―







"スパアアンッ"





寸前で俺はハリセンの一撃をお見舞いしていた







「痛ててて…もう少しだったのに」


な、ななななな 何をっ!





相手は額を擦りながら ニヤリと笑った





「まぁ 今回は貸しにしときますぜ? じゃあ気をつけて」







ようやく俺は 相手が何をしたかったのかを理解した





「…っ 知るかバカヤロ―っ!」










俺は顔を真っ赤にしながら 逃げ出すように駆け出していた








――――――――――――――――――――――――――――
あとがき(というか楽屋裏)

狐狗狸:やっと書けましたえ〜と…何作目だか忘れた
まいっか


オニシバ:おいおい、ちょいとそいつはまずいんじゃねぇですか?


狐狗狸:はっ いつの間に私の背後にっ!
ゴ○ゴにだってとられた事が無いのにっ!!


オニシバ:…あっしがここに居る意味を
まだ理解して無いようですな



狐狗狸:!それではさん 読んでくださって
ありがとうございました!サヨ〜ナラ〜!!




パアン!