狭いながらも賑やかなスーパーの片隅
その場に不釣合いな姿があった
「野菜のコーナーは何処だっ…」
そう言って頭を抱えるのは 式神の六花のだった
何故ここにいるかと言うと…
〜「都会のラビリンス?」〜
がスーパーのチラシを見ながら呟いた
「今日は野菜が安いから 野菜炒めにしようか?」
「いいんじゃねーの?」
「じゃ おつかい行ってきてね」
「はぁ!?何で俺が!」
「いいじゃん お願いお願いおねが〜い」
嫌そうな顔をするに
得意のおねだり攻撃をかます
やがて その執拗な攻撃に耐えられなくなったのか
は無言でエコバックを手に 玄関に向かっていた
何とかスーパーに辿り着けはしたものの 野菜のコーナーを
見つけられず 気付けばお菓子のコーナーに居たのだ
「何でここのスーパーは無駄に2階とか地下1階があるんだっ
折角スーパーに辿り着いてもこれじゃ埒あかね―よ」
そこで 彼女は深くため息をついた
「野菜 見っけねぇとあいつ怒るなー、
つか出口何処だったっけ?」
その時 途方にくれる彼女の前に現れたのは―――
「ん アンタは」
「さんじゃないですか」
「リュージとナヅナ お前らもここで買い物?」
そう 野菜マニアの兄貴なリュージと
巫女としての力を秘めた女の子ナヅナだった
「ええ リュージさんとは野菜コーナーで会ったので」
「買うものが大体同じだったから 一緒に見て回ってたんだよ」
そうか、と納得する そこで彼女はある事に気付く
「ってことは 野菜コーナーの場所わかるのか!」
「って 入り口入ってすぐなのに
わからなかったの(かよ・ですか)!?」
「あ…ああ」
見事にハモった二人に ものすごく気まずい顔で頷く
「…ったくしょうがねぇなあ オレが案内してやるよ」
「ついでに 一緒に買い物しましょうか」
「いいのか?…悪ぃな」
すまなさそうなに二人は笑顔で言った
「なーに 困ったときはお互い様だろ?」
「そうですよ」
そして 二人の買い物もすみ
は野菜コーナーへと案内してもらった
「ほら ここが野菜コーナーだ」
「ありが…って何じゃコリャ―――――!」
彼女が叫び声を上げたのも無理は無い
野菜コーナーには さながらバーゲンセールのごとく
オバタリアン軍団がせめぎあっていたのだから
「あー 今日はお野菜が安いですから…」
「うう 恐るべしオバタリアン…」
彼女は正直言って二の足を踏んでいた
だが 意を決したのか自らオバタリアン軍団の中へ
突っ込んでいった!
しばらくそのまま喧騒が続き やがて
「ちょっとアンタはなしなさいよ!」
「嫌だっ これは俺が掴んだ野菜だっ!」
「あたしが先なのよ――――っ!」
「ギャ――――っ痛痛痛痛っ!!」
何処かのオバちゃんとの叫び声が響いた
「おい 大丈夫か!?」
「さん!?」
その声の激しさに 思わず叫ぶナヅナとリュージ
しかし 次の瞬間!
「恨みは無いけど 放せ―っ!」
"ズパパパパパパパパパン!"
彼女の神速のハリセンが炸裂し その風圧に
オバタリアン軍団たちは全員吹き飛ばされた!!
「はーっはーっはーっ…
とりあえず目当ての野菜は手に入れたぜ」
「お おう、すげぇな」
驚いてるリュージに向かって は肩で息をしつつ言った
「これ位 のお仕置きに比べたら…屁でもないさ」
「…とりあえず レジへ行きましょうか」
彼女と一緒にレジへと向かいつつ
ナヅナとリュージはこう思ったのだった
"(さん)も大変なんだなぁ"と…
―――――――――――――――――――――――――――――
あとがき(というか楽屋裏)
狐狗狸:こっちの3作目も完成〜
ナヅナ:まだ安心しちゃ駄目ですよ?
狐狗狸:う…わかってるよぅ
リュージ:つか こんだけスーパーで迷子になる奴いるのか?
狐狗狸:…私です(実話)
二人:エエエエエエッ!?ありえ(ね・ない)ーーーーっ!
狐狗狸:うるさい 今もデパートとか行くと必ず付き添いと
はぐれるんだよっ
ナヅナ:いい大人が情けないですよ?
リュージ:てゆうかもろ駄目人間じゃねぇか
狐狗狸:うわーーーーーーーーーーん(B−ダッシュ!)
二人:逃げた――!
…さん 読んでくださってありがとうございました