「ってば何をしたら
こんな所まで迷い込めるわけぇ?」
あたしは名落宮の中 の姿を探していた
〜「君を迎えに」〜
彼女がいつもの様にお使いに行って
お約束なまでに迷子になったので
人に尋ねてまわったら、エコバックを持った六花族が
ここに行ったという事を聞いたから
あたしはこんな場所まで来る事になってしまったのだ
「今度から本気での迷子対策を考えようかしら…
お使い十回の内一回は 必ず迷子になるんだもん
戦いに巻き込まれるあたしの身にもなれってのよ」
そのまま足を進めていると 右手の方に
小ぢんまりとした建物が現れた
その中には あたしの知っている式神がいた
「ラクサイさ〜ん」
「おや 誰かと思うたらちゃんじゃないか」
玄武族の長老である式神 ラクサイさんが
お茶をすすっていた
「こんにちは〜ねぇラクサイさん 見ませんでした?」
「ちゃん また迷ったのかのう?」
「見てませんか?」
「残念ながら 見てないのう」
はぁ とあたしは我知らずため息をつく
そんなあたしを見て ラクサイさんはお茶を勧めて
「どうじゃ?彼女がくるまで少しここで休んでいかんか?」
「 ここに来るんですか?」
「そんな気がするんじゃよ」
…前にもラクサイさんがそう言って その通りだった事が結構あった
ので あたしはしばらく待たせてもらう事にした
正直 探しに行くのも疲れるから(本音)
「それにしても って昔から方向音痴なんだから…」
まだ新米闘神士だった頃
パートナーだった式神はじゃなかった
光明族の彼女は、ひたすら厳しくて あたしを一人前にしようと
戦うことばかり要求していた
あたしは 昔、今よりも臆病で泣き虫で 闘う事が嫌いだった
闘いのせいで あたしは、二人の大切な友達を
無くしてしまったのだから
―どうして闘わなきゃいけないの?―
最初は戦いを避けていたけれど、守りたいものも見えてきて
嫌々ながらも修行を積んだりしていた
そしたら 気付いたときには式神が居なくなっていた
ひょっとしたら、あたしの性格に愛想付かして
消えたのかもしれない
寂しさと不安が急に押し寄せてきた
ある日 気が付けば天神町の神社にいた
もしかしたら 新しい式神でも探すつもりだったのかもしれない
そこに―――ボロボロだったが居た
『ああ この子も見捨てられたんだ』
なんとなくそんな気がした
気が付くと 彼女に声をかけていた
「ねえ あなた、あたしの式神にならない?」
「…嫌だ 何で俺が?」
「いいじゃないの 見たところまだ契約されてないみたいだし
あたしは闘神士だから」
そう言った途端は 目の色を変えた
「あんた…流派は?」
「ヤクモ様と同じ天流よ」
ヤクモ様のことを知らなかったのか
訳がわからないと言った顔をする
「あのな 俺は地流の式神なんだけど」
「だったら あなたは今日から天流を名乗ればいいのよ♪」
「何で俺がそんなことを!」
「だって流派を聞いたって事は 契約するって事なんでしょ?」
「いや そうじゃなくて…」
口篭もった彼女に あたしはすかさずトドメをさした
「ね いいじゃん お願いお願いお願いおねが〜い〜!」
「…っいいよ わかった契約する。すればいいんだろ」
「ありがとう!あたしは よろしくねv」
差し出した手を 彼女が握り返した
「俺は 六花の…よろしく」
「闘神士を探して迷子になったって聞かされた時 笑ったなぁ…
でもそのお陰であたしと会えたわけだし」
「きっと ちゃんに会う事が
彼女の運命だったんじゃよ」
にこにこと笑みを浮かべるラクサイさんの言葉に
そういうものなのかな、と首をひねる
でも 運命でもいいと思った
あたしもも、もう寂しい思いはしないから
結局その後 あたしはアンジさんと一緒にやってきたを
無事うちに引きずって帰ったのだった…
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あとがき(と言うか楽屋裏)
狐狗狸:闘神士バージョンの迷子ネタも ようやく終了〜
ラクサイ:よく頑張ったのう
狐狗狸:そうなんですよぉ(しみじみ)ホントは
早く書こうかなと思ったんですが
ラクサイ:何かあったのかの?
狐狗狸:Mが「じーさまはいいからヤクモ様書け」って
ラクサイ:グハッ(ショック!)
狐狗狸:ごごごゴメンなさいゴメンなさい まだ生きてますか!
…じゃあそろそろ 例のあれ お願いします
ラクサイ:う うむ
お話を読んでくれたちゃん ありがとう