それは ちょうどスーパーで買い物を終え
帰ろうとしたときだった





「あれ? あの人…」







誰かを探している様子の 一人の女の子に僕は目を留めた


どうやら彼女も気付いたらしく こっちに向かってきた





「リクくーん うちの見なかった?


「いいえ見てませんよ さん」












〜「恐ろしき人」〜












この人の名前は 
…流派は僕と同じく天流だ





真面目で優しい人なんだけど どこか人を巻き込む所があって
実を言うと 僕の苦手なタイプだったりする










…コゲンタは
「アイツだけは俺の相棒になって欲しくないな」
って言ってたっけ








さん また迷子になったんですか?」


「うん そうみたいなの、今日は野菜炒めを作ろうと思ったから
お使いを頼んだら スーパーで迷ったみたいなのよ





彼女の式神 六花のさんは
よく方向音痴になるらしいのだ







…でも、それなら何でお使いに行かせるんだろうと思ったけど


さんならやりかねない事を
知っていたので あえて言わないことにした








「まったくもう…見つけたらお仕置きしてやんなくちゃ





さんは 式神を見つけに行く度に
手間をかけさせた"お仕置き"をしているみたいだ


正直 さんが可哀想に思う







そんなことを考えていると










「ねぇリクくん 今お買い物終わった帰りだよね?」


「え ええ そうですけど…」


「だったら 捕まえる手伝いしてくれる?
「えええええっ!?」





驚いている僕を無視し さんはさらに頼み込む







「スーパーから出てくる
ちょっと足止めしてくれるだけでいいから〜
ね?お願いお願いお願〜い〜!







普段ならコゲンタが猛反対するのだけれど


今日は神操機をウチに置いてきてしまったので
なおさら断りにくかった





「…わかりました 足止めだけなら」


「やったあ ありがとうリクくん!












こうして さん捕獲(?)を手伝うハメに
なってしまった僕は


スーパーの出口でひたすら彼女を待ちつづけた








(帰るの遅くなって コゲンタきっと心配してるだろうな…)








「あっ リクくん来たよ!」





さんの合図で 僕はスーパーの出口に向かった







そこには リュージくんやナヅナちゃんと一緒に談笑している
さんがいた





「あれ、リュージくんやナヅナちゃんも
ここで買い物してたの?」


「はい リク様もですか?」
「おうリク ちゃんと野菜食ってるか?」





何時もの挨拶に 笑顔で





「あ…うん 所でさんはどうしてここに?」


と返す








「ああ スーパーで迷ってた所を二人に助けてもらったんだ
お前こそ何でこんな所にいるんだ リク?





不思議そうに尋ねるさんに どう答えようか考えた






「ええと…あの その…」


「どうしたんだよ…まさか





何かを悟ったのか 彼女の金色の目が恐怖の色に変わった
その時だった












『戻れ !』












さんの声が響くと同時に 彼女の身体が神操機へと
吸い込まれていった…





後には品物の入ったエコバックだけが残された







「全く 帰ったらみっちりお仕置きだからね…
リクくん」


「はっはい」


「ありがとうね それじゃあ皆さんさようなら〜」





さんはエコバックを肩にかけ そのまま帰っていった







リュージくんとナヅナちゃんと僕は
そのまま呆然と立ち尽くしていた…








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:4作目完成〜


リク:お疲れ様です


狐狗狸:いえいえこちらこそ ほんっとこの展開にたどり着くまで
苦労したよ〜


リク:でもさんってMさんをイメージして
書いてますよね?


狐狗狸:そうだよ〜


リク:なんか凄いキャラになってますけどいいんですか?


狐狗狸:全然オッケーだよ むしろ書き足りないくらい


リク:…そうですか(苦笑い)


狐狗狸:じゃあMにジェノサーイドされないうちに
逃げるから〜(逃亡)


リク:いいのかな…
さん 読んでくださってありがとうございました