…喉が痛い…頭がくらくらする


…鼻が詰まるせいか少し息苦しい…


吐き気すらして思わず洗面所に駆け込みそうになる






「…っ 何だって式神の俺が風邪なんかっ…







気持ち悪くなりながらも
俺はの用意してくれた布団に横になる











〜「風邪の特効薬」〜











俺が風邪をひいて今日で3日目 初めは笑っていた
流石にここまで響くと気になったらしく、










"風邪に効く治療法聞いてくるから 待っててね"






そういって飛び出してった…けど まだ帰ってきてない


…もしかしたら例の『ヤクモ様』にでも
とっ捕まったんじゃないだろうか











式神なのに風邪を引いた自分にむかついて


苦しいのに それを"信じられない"と笑い飛ばした
宿主にむかついて


ついでに胸の辺りまでむかついたので不貞寝をしてたら





「ごめんくださーい さん居ますかー?」
おーい 見舞いに来てやったんだから開けろよー







今一番聞きたくない声が聞こえた










「…もうちょっとタイミング見てから、
見舞いに来やがれバカップル


「なんだぁ 人が折角心配してやってんのに


「だったら病人に玄関開けさせんな」


う…
「ご ごめんなさい…」





少しばつの悪そうな顔をした二人―リクとコゲンタに
俺は、根性で入れた茶を勧める







「見舞いに来た事は感謝する…それ飲んだら
感染んないうちに帰れ」





正直 風邪うつしてなんか言われんのもシャクだし


こいつらのウザイ位の信頼オーラを
弱ってる時に見ていたくなかった










しかし 返ってきた返事は―


『嫌(です・だ)!』








ワガママ言うな!つか目的が見舞いならもう済んだだろうが!
感染るっつってんだろ とっとと帰れよバカップ…
げほげほげほがは!





セキがエンドレスで出始め 思わずその場にうずくまる










「大丈夫ですか さん」


「平気だ寄るな、あいつももうすぐ帰っ、て けほっ」


「あー…オレ達 行きがけに
ヤクモとが一緒の所見かけてんだよ」





その言葉を聞き さらにセキが止まらなくなる







やっぱり予測どおりか あの馬鹿っ…





俺の胸中を知ってか知らずか この二人は話を続ける







「そうそう それでコゲンタが、
さんが戻るまでここに居るって」


「なっ お前だってコイツ一人じゃ心配だって
言ったじゃねえかっ!」





そのまま俺の目の前で
いつもの掛け合い漫才が展開されていく









何だよ…俺のために、わざわざ?










ふっ…ははははははははは!





その相変わらずな甘さも、いつもの様なバカバカしさも可笑しくて
さっきまで悩んでた俺も含めて 笑い飛ばした







「何で笑うんですかさん?」


折角心配してやったのに


「嘘つけ 嫌がらせに来ただけだろバカップル


「テメエ 本当は元気じゃねーかっ、心配して損したぜ」





いつもの憎まれ口を叩いているうちに


さっきまでのユウウツが 嘘のように消えた







「所で、お茶のおかわりいるか?」


「あ…お願いします」


オレにもつげよな 


「はいはい しつこいようだが、なるべく早めに帰れよ」








…こいつらはこいつらなりに気を使ってくれているようだ





今の俺には その気持ち一つで十分だ
それだけでずいぶん 身体が楽になった気がする










人の気持ちはいつの時代も "風邪の特効薬"ってことか








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:くは〜バカップルネタ完成!


コゲンタ:バカップル言うな―――!


狐狗狸:何言ってんの?(笑)君らは何処からどう見ても
立派なバカップルだよ!!





"ゴッス"




リク:コゲンタ!いくらなんでもカカト落としは酷すぎるよ…


コゲンタ:リク コイツは俺たちの仲を茶化したんだから
これ位当たり前だ!!


狐狗狸:…言っとくけど この話のメインは
君らじゃなくさんだからそこんとこよろしく(流血しながら


コゲンタ:結構しぶといな(汗)


リク:とりあえず手当てをしないと…


狐狗狸:大丈夫大丈夫 平気…グフッ(倒れる)


リク:…どうしよう


コゲンタ:終了させるしかないだろ


リク:う…うん さん 読んでくださって
ありがとうございました!