長い間続いていた戦いが 終わりを迎えた







失ってしまったものは大きかったけれども、
望んでいた平和は 手に入ったような気がする





オレ達の流派―神流千年後の世界がそれなりに気に入り


天流や地流の奴とも仲良くなった為か、千年前の世界へ帰る
オレやタイザンたちとは別に 現代に残る奴もいた







オレはというと…やっぱり平安の世界に帰る形にはなったが
今でもたまに、現代に顔を出したりする





現代にもまだまだ学ぶべきものもあり ぶっちゃけて言えば
牛丼や現代の雰囲気もそれなりに気に入っていたからだ










今日は牛丼でも買いに行こうと路地を歩いていた―その時







「あっ…マサオミさん、こんにちは……」





「ああ、こんにちは ちゃん」









しばらく会えず終いだった ちゃんにバッタリと再会した













〜「例え特別でなくても」〜













「あっちに帰っちゃって…しばらくぶりですねマサオミさん
今日は何をしに来たんですか?」


「ああ 牛丼を買いにね、ちゃんは?





平和になった今でも 探しに手を焼かされてますよ」


「はは また彼女迷子になってるんだ、相変わらずだな」





なんて笑って しばらくはお互いの近況を教えあったりした







ちゃんの方も 親バカのちゃん
割と間を空けずにちゃんに会いに来るらしく


かなり賑やかだと話してくれた









どうやら千年前現代も、
お互い元気でやっている事に変わりはないらしい













話し合っているうちに 少しあの時の事が気になって
オレは彼女に問い掛けた







「…ちゃん あの時の事、まだ怒ってるか?」





「いいえ もう怒ってないですよ?」


彼女はぎこちなく笑いながら 続ける







「ていうか…あたしこそゴメンナサイ





「えっ…何でちゃんが謝るんだよ


予想だにしなかった言葉に オレは慌ててしまった







ちゃんは 相変わらず淡々と話しつづける









「あたし、前にマサオミさんに 流派なんて気にしてない
みたいな事言いましたよね?」


「……言ったね」





「でも、本当はあれ なんです…ああ言って自分を
誤魔化さないと また大切なものがいなくなっちゃう気がして…」







「そう言えば
ちゃんの昔の話って…聞いた事無かったね」


ちゃんは苦笑交じりに オレを見上げる





「大した事ないですよ 昔、
天流地流に友達がいたんですけどね…」









その二人と仲が良かったのに
地流の友人と戦わなくてはならなくなり、


彼女を庇って天流の友人がいなくなった…








そう語った ちゃんの横顔が寂しそうに見えた











「あたしを助けてくれた友達と、支えてくれた式神の為に
天流を続けてたんです……もう二度と 失わない為に


「そうだったのか…」





かける言葉を失ってしまい お互いに黙ったままでいた















「そういえば…マサオミさんと再会したのここでしたよね?





突然のちゃんの言葉に オレはちょっとだけ戸惑った





え?ああ、そういえば…」







確かオレが丼を買って帰る途中 ちゃんを
探していたちゃんとこの路地で会ったんだったっけ







「よく覚えてたね…オレなんて言われるまで忘れてたよ」


「忘れるわけないじゃないですか、あたしにとっては
マサオミさんにまた会えて 嬉しかったんですから


「え…それって 本当?





思いがけない台詞に オレは思わず胸が熱くなる







「本当ですよ だって、たとえ敵同士になったとしても…


どんな時でも、あたしにとってはマサオミさんも
みんな 同じくらい大切ですから






そう言って 彼女は初めて柔らかく…本心から笑ってくれた











「嬉しいな…ありがとう ちゃん









オレも微笑を返した…ずっと気になっていた胸のつかえ
やっとここで 取れた気がした













「…実はこの言葉 友達の受け売りなんですけどね」


「ふうん いい友達を持ったね、てっきり同じ性格の女の子
友達かと思ってたよ」


あっ ひど〜いマサオミさん!
「いや、悪気は無いんだゴメンゴメン;」





軽い言葉を交わし お互いにフフ、と笑う









「それじゃあちゃん 一緒に
迷子の子狐ちゃんを捜そうか?



「ですね〜見つけてお説教しなくちゃ♪」







そう言って 二人で並んで歩き始めた











例え特別でないとしても、大切に思われているのならば
オレはこの距離のままでもいいと思った













ずっと平和なこの時間を、今度こそ 守っていこう








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:ようやく大戦が終わった後の話を書けました〜
TVで見た時は 色んな意味で感涙してた気がします(笑)


マサオミ:気がするって何だよ というか…ちゃんとオレ
いい感じっぽく書かれてるな(嬉)


狐狗狸:まぁ 平和になってカミングアウト?見たいなノリだね


マサオミ:そうか…オレ達の仲は進展したりするの?


狐狗狸:……多分 このまんまの位置で何だかんだ言って
騒ぐ付き合いで終わると思うけど(ヒデェ)


マサオミ:そ………そんなっ…………(悔しそうに)


狐狗狸:さて、ショックなオミさんは放っておいて
下には大戦が終わるまでの二人の補足を書いておきます




はいい加減まで戦いに参加してましたが
神流の側についたの兄貴と死闘を繰り広げます
(多分ヤクモ様が封じられる前後辺り/何)


大降神を行って何とか兄貴を倒すものの その死闘で
気力を使い果たしたは同時に倒れます
通常に戻ってますが/ヲィっ;)


そこをさんに助けられ 戦いが終結するまでかくまわれていた
という形で一応二人は最後まで生き残りました




…そんな感じです(待て)