【 ― ボーナストラック 6 ― 】






とまぁ冒頭で盛大にやらかしてるが


ビックイベントもあったし猫の日辺りは
期間内スペシャルサービスって事にしといてくれ




さーて、どっかの誰かさんに向けた説明はこのくらいにしといてだ




俺達は今、ネズミを探しに地下の世界をうろついている真っ最中


達っつーか俺の他に もう一体ツレがいる




「ったく何でオレがガキのお守りなんか…」


そう、あからさまなツラで不満を吐き散らしてる
冴えないバイト店員が今回のオトモだ




…なんで俺がコイツと
P○KEM○Nよろしくネズミ探ししてるかって?


ソレを話すなら、俺が数時間前に
ポンコツの経営ホテルへ来た辺りからが先だな







というのもポンコツから この前掘り当てた温泉の利権やら
インタビューを頼まれたからだったりするが




「この間出来たオンセンに、変なヤツが入り浸ってるんだって〜」


マジで?ウケるーつーかオンセンて何?」


「なんかウォーターフェルに出来た
チョーホットないやしスポットなんだって〜」


「へぇ〜ウチらにピッタリじゃん」




ホテルの路地裏ではキティとレディ・ゲーナが
相変わらずのガールズトークに勤しんでる




「てゆーか変なヤツってどんなの?」


「黒っぽいネズミだって言ってたよ〜」


マージーでー!ネズミとかちょーウケる」




おいおい大丈夫かソレ?著作権的に




あ!ニンゲンじゃーん!」
「ねーねー聞いた?オンセンの話〜」




【*アナタに気づいた キャッティとアリゲッティが
手招きしている…アナタはなんとなく近づいた】




聞こえてたし、当事者として
ソレがらみのビジネスに関わりに行くトコですが?




「オンセンなら知ってるよ」


「マジ!?」


「ヤバくね?ニンゲンヤバーい」


「この前、アンダインが掘り当てたって教えてくれたの」




嘘は言ってない、掘り当てたのを間近で教えてもらったからな


嘘だと思うなら前回のクリスマス短文をチェックしてくれ
来年あたりにな?




「ならさ、そのオンセン入ったコトある?」


「あと変なヤツが来てるって知ってる?」


「入ったコトはあるよ、変なヤツってのは
知らないけど…どんなの?」


「なんかーネズミっぽい?」


「そーそーネズミっぽい!」


「「マジウケるんですけど〜!!」」


そりゃオタクら二匹から見たらネズミはエサだろうからな、笑えるな




真偽はともあれケラケラ笑う二匹とのトークを
適当に楽しんでからホテルのロビーへ顔を出すと




「ようチビっ子、今ヒマか?」




今度は売店のクラウンマンが手招きしてきた




「メタトンに呼ばれた時間まで、まだ余裕があるけど…なーに?」




今はアイドルタイムなのか、店内だってぇのに
ゆったりヤニをふかしてやがる


正直うらやましいモンだ


こういう時はガキの身体Fuckin




何だよ?こっちニラんで、なんかついてるか?オレの顔に」


「ううん、なんでもないよ?
それよりバガパン 僕に何か用?」


「あー用って言うほど大したこっちゃないんだけどさぁ
…ちょい耳貸せ」




【*アナタは いぶかしがりながらも
バガパンへとさらに寄って耳をむけた】




「なぁオンセンてよぉ〜男女で入れるフロなんだってマジか?」


「ホントだよ、あのオンセンはカベで区切りがあるけどね」


「なんだよ一緒くたじゃねーのか…いやでも女連れて一緒に入りゃ
カベの向こうにマッパの女がいるっつーのは
間違いないんだよな?な?




ワァオ、わっかりやすく鼻の下最長記録を更新してやがりますね〜




「一緒に入った時、ハカセとアンダインは服全部ぬいでたね」


マジか!
つーかその二人と一緒に入ったのお前!?スゲェな」


「友達とおフロに入っただけだよ?」


「お、おぅそうだな…
友達、かぁ…オレにはいたっけかな?そういう奴」




盛ったと思ったらスグにしぼんじまって忙しいモンだ


今ならスポット自体に希少価値ついてっし

誘ってオンセン入るぐらいなら、裏路地ガールズも
二つ返事でOKするんじゃあねぇか?




「もしかして誰かとオンセン行きたいの?」


行きてぇわ!あ、いややましい気持ちじゃなくて
仕事の疲れを癒したいっつー意味合いでな!?


オレだけじゃなく他にも仕事で疲れてる女の子達とか
喜ぶだろうし?同業者のよしみってヤツでさぁ」




「そっかー、でもさっきは何でカベのコトでガッカリしたり
女のヒトのハダカでうれしそうにしてたの?」


「うぐっ…ガキにはまだ分かんないだろーけど
男ってのはそういうモンなんだよ」


「ふーん」


「しっかしいいなーオンセン、オレも行きてぇなチクショー」




その下心がどういう失敗談に変わるか
ぜひリアルタイムで見てみたいと考えつつ




「…そういえばさ、オンセンにネズミみたいなモンスター
来るって話聞いたんだけど バガパンはそういうヒト知ってる?」




コイツも客商売やってるし、顔が広いだろうと踏んで
さっき小耳に挟んだホットなネタを振る




ネズミぃ?そんなモンスターいたっけか?
ガチのネズミじゃねーの?」


「僕もウワサでしか聞いてないからくわしくはわかんない」


AH!ならちょうどいい!
君たち二人でナゾのネズミくんを見つけてきておくれよ!」





【*話をしてる アナタたちを見つけたメタトンが現れた!】




OH Fuck 予告無しに出てくんなポンコツ




はぁ!?ってかメタトンさんいつから聞いてたんすか!!」


「ボクは流行にビンカンなのさ、それに子猫ちゃんを待つより
サプライズで会いに行った方が楽しいと思ってね」




熱烈な歓迎どーも




「ちょっとビックリしたけど、会いに来てくれたんだ?
ありがとう」


「ふふふ、コレもファンサービスだよ」


「どこ向けのだよ…じゃなくて!
さっきの話なんすけどマジなんですか!」


「ネズミくん探しのコトかい?」


「そうそうソレ!」


YES!モチロン本気さ!話題のスポットに出没する
謎のニューフェイスなんて最高のネタじゃないか!」




わかる スゲーよくわかる




「いやでもオレ仕事あるんすけど」


何を言ってるのかな?今からソレが君の仕事だよ?

オンセンに行きたがっていたみたいだし
子猫ちゃんをエスコートしてあげたらどうだい?」


「ええぇ…」




諦めなクラウンマン、コイツの無茶ぶり
今に始まったこっちゃねぇだろ


オレとしても特に断る理由がねぇし


むしろヒマがありゃ探りに行くつもりだったから
話が早くて何よりだか…




「もしネズミみたいなモンスターがいなかったらどーするの?」


HAHAHA!ソレは探してみないとわからないだろ?

子猫ちゃんなら、結果がどうあれ
なんとかしてくれるって期待してるよ?」




よーするに"真偽はどっちでもいいから
オイシイ方に転がるモンを用意しろ"
ってコトか




「ちゃっかりしてるね」


「OH!
エンターテイナーへのホメ言葉だと受け取っておくよ」


「マジかよぉメンドクセー〜…」




【*こうして 二人のオンセン調査隊が ここに結成された!】







で、本命の話し合いをひと通りすませた俺は


シブいツラしたクラウンマンと
こうしてオンセンへ向かう道すがらってワケだ




「なぁーその辺のネズミ捕まえて
"コレがウワサのネズミでした"ってやったら楽じゃね?」




ヤラセにしても雑いから却下


つーかまだ始まってすらいねぇウチからやる気なさすぎだろ




「さすがにふつうのネズミと
モンスターは見間違えないんじゃない?」


「わかってるよ、言ってみただけだよ…
そんな目でオレを見るなよ…」




ガキに正論吐かれたくらいで
ショボくれちまってまぁ、面白ぇなコイツ




しかし話題にされて気付いたが


ゲーム内じゃ"ネズミ"はテキストや、存在をニオわす
オブジェクトくらいしか目にしたことが無かったな




ここに来て、ずいぶんあちこちウロついたが




地下ならネズミの一匹や二匹いてもおかしかねぇってのに
見かけた覚えもトンとない




「バガパンはさ、この世界でネズミって見たことあるの?」


「あるぜ、さすがに店ん中にはめったに出ないけどな
…あ、コレ誰にも言うなよ?」


「わかってるよ」




スパンコールが具材のバーガーがメインの店で?
とは思わなくもないが


ネズミってのは食えないモンも平気で齧ってくし


客商売ならイメージダウンは防ぐのが定石ってヤツだからな




【*アナタは かつてのゴミまみれのアジトで
ところかまわず"何でも"かじるネズミを思い出した


おぞましい光景だ】




そこまでヒドい部屋っつーと、この世界なら
心当たりが一人いるが 今回はソイツの出番もないだろう多分







「お、湯気が見えてきたしヘンなニオイしてきたな〜
もうすぐオンセンだぜ?」


「ホントだ、ねぇバガパン
今更だけど僕らどうやってネズミみたいなモンスター探す?」


「テキトーに隠れて見張ってみるか
どうせ見間違いかなんかだしスグ出てくると思」


【*温泉に 耳のようなバグを頭につけた ???がいる…】




ワァオ、ジャストタイミング




準備もクソも無かった俺達とバッチリ目が合った瞬間




クラウンマン程度のデカさのソイツは あっという間に姿を消す




「うおおおぉい!いたあぁぁ!?」


「いたね!」




飛び出しちまいそうな程目玉かっ開いたクラウンマンへ頷く




一瞬だが間違いない


ありゃ時たま見かけてたレアゴーストだわ




温泉を調べにきたのか 入りに来たのか
バグがくっついちまってる理由やら


気になるポイントが爆盛り状態だが




ひとつだけ、ハッキリしてる事がある




「追っかけよう!」


「マジか!ってオイ待てよチビっ子!!」




俺達にヤツを追う以外の選択肢は有り得ない







…なんで姿を消したヤツを追えるかって?


ゴーストの姿こそ消えちまってるが、耳バグだけ
残ってラグりながら移動してんだよな




「なんだアレ、最近チラチラ見かけるけど
頭につけたヤツはじめて見たぞ」


「僕も」




隙見てホールを探っちゃいるが
空間にはゴーストのデータが出ない


バグもいつ消えるか分かったモンじゃあねぇから中々にスリリング




「どんどん町に向かってねぇか?
つーかどこまで行くんだよあの耳!


「追いつけないー…」




小走りとはいえガキの体、クラウンマンも息切れと
俺を気にして移動してるから徐々に差は開いていく







が、スノーフルへ入った辺りでようやく事態が変わった




【*バグは サンズとパピルスの家の裏へ移動していく




…裏側で小さく ドアの閉まる音がした】




コイツは予想外、まさか ジョークで浮かべた"心当たり"
ゴーストが絡んでくるとはな




「あの家の裏口に入ったっぽいな」


だな、あそこのロック 前はバグで
ほとんどコード見えなかったんだよなぁ




「カギはサンズが持ってるんじゃあない?」


「あーホットドッグ売ってるアイツか
お前アイツと仲良いなら頼んでくれよ」


「前に入っちゃダメって言われたんだ…」


「マジか、じゃー帰っちまう?」




チビ骨並みのジョークセンスだな




「んー…もう少し確かめとかないと
メタトンも納得してくれないんじゃあない?」


それな クッソどーすっかな〜」


「…こっそりカギ穴覗いちゃう?」


「見られたらアウトじゃね?」


「うん、だから僕たちの内片方が
サンズと話をしてる間に覗くの そしたら上手くいくよね?」




【*アナタの 視線がバガパンに刺さる】




「ええっ…お、オレ!?


「テメェがやらねぇでどうすんだ」


「へっ!!?」


OH いっけね、つい素の口調が




「バガパンしか頼れないんだよ、お仕事してる大人同士
きっと話も合うと思うし…お願い




気を取り直しガキんちょらしさとあざとさを
全面アピールして、おねだりワンモア




【*アナタは 首をかたむけてソデをつかんでお願いした!


バガパンは どうようしている!




「い、いやぁ〜そこまで頼られちまったらしょうがねぇな
他に頼れる大人モンスターもいないしな!




お前さんの調子にノリやすい部分、非常に扱いやすくてイイねぇ




ありがとう!
じゃあさっそくサンズを見つけなきゃ!がんばろうね」


「おう!まっかせとけ!」







そんな感じで物陰でチャンスを伺い


運よくグリルビーズから出てくるチビ骨を見つけて

クラウンマンが動くと同時に 俺も裏口へ




ん?お前さん今日は休みか?」


「よぉ!そーなんだ上手いこと休みでさー」




などと会話し始めるヤツらの声を聞きつつ まずカギ穴チェック




【*なにも 見えない…】


そんな気はしたぜ、まぁ侵入る気しかなかったから
関係ねぇかとホールもチェック




今回は上手いことバグも少ないが…


コードが所々読めない 穴埋め問題かよ




「いやホールを潜るなら好都合か?」




ひとつ呟き、見えてる配列のパターンで予想して


実行に必要な不可視のキーを打ち込む




【*二人の声をBGMに しばらく入力していたら
ロックが解除された】




よっし開いた!さーてお邪魔しまーすっと




【*アナタは 部屋のドアをくぐった
薄暗がりの奥%2+42☆22+7*々6¢%5○11÷







…散らかったモノと竜巻がある部屋だ】




なんじゃこりゃ




入る直前に見えてた光景と、今いる場所が噛み合ってねぇ




ひと通り探ると、散らかったブツや本棚の本


それと写真立ての中身が部屋の主をバッチリ物語ってやがる

…記憶してる限りじゃあ、ここは二階にあったはずだ




残念、そこはオイラの部屋だ」




間髪入れずに後ろから聞こえた声に


舌打ちして、キーを操作してからゆっくりと振り返る




「やられたぜ…ダミーコードかよ」


「知り合いの仕掛けでな、正規の入り方しないと
こっちに繋がるように設定されてる」




便利なモンだ




で?ネズミのマネした理由を聞こうか?


「ポンコツたっての依頼さ、お前さんの飼ってる
デカいマウスが目当てでね?」


「オレのマウスはそこまでビッグじゃないぜ?
少なくともお前よりはな」


<ツクテーン>




周囲ミュート中でも、例のSEは入んのか




「バガパンも災難だな、グリルビーズで今メシ誘って
一緒に食ってんだけどな」


「…トイレにしちゃ長すぎねぇか?」


「近道がありゃ大した問題じゃないさ」




トイレを理由にショートカットで自室に戻るスケルトン


このシチュエーションは中々にシュールでクソ面白い

…俺が渦中にいなけりゃの話だが




さて 聞きたい最優先はあのゴーストだが


おかしな仕掛けと、この部屋に俺とチビ骨しかいないらしい事実


ついでに"裏口の入り方"が違っていた点を考えりゃあ


チビ骨とゴーストは面識あり、かつゴーストの存在や
関わりは大っぴらにされたくないってトコか?




「侵入は俺の独断だが、原因になるモンを見ちまってるのは
俺達だけじゃあないぜ?なんせウワサになるほどだ」


「みたいだな、グリルビーズでもそれっぽい話は聞いてるぜ」




【*サンズは しかめっツラをしている】




「なぁ、困ったネズミを殺さず
追い払うにはどうすればいいと思う?」



「それぐらい自分で考えろよ」


「自分がやった事を棚に上げてソレ言うのか?」




それを突かれると弱いぜ…しっかし珍しいツラしてんな
余程あのゴーストはワケありらしい




推測が裏付けられたなら次は情報を引き出して…と言いたいトコだが


現時点で俺は不法侵入だし、共犯いるし首謀者までいるから


詮索諦める落とし所を用意しないと
誰も得をしないだろーな…しょうがねぇな




「簡単だ ダミーの餌を用意すりゃいい」


「…それと囮役か?」


That's right!お互い痛み分けっつー事で
全力のヤラセをでっち上げようぜ?ヒヒッ」




【*入念な 打ち合わせをして、二人はヤラセを開始した…】







「つーことで、お前さんが見たのは
新ネタ用のハリボテ弾幕つけたオイラなんだ」


はぁ!?マジかよ」


大マジ、あの変なバクが弾幕消したオイラと反対の
ちょうど家の方に移動していったんでな
どう話そうかって近道して考えてたんだぜ?」




打ち合わせ通り、クラウンマンに前フリしてから




店から出て俺を呼び"ゴーストに似たハリボテ弾幕"
チビ骨(と見せかけ遠隔時間差任意で俺)が出し




「さっきのに似てる!」


「だろ?お前さんの手品を参考に
こっそり練習してたんだ、合間に仕事挟んで」


「逆じゃね?」




口裏合わせて、共犯者(クラウンマン)を納得させたら


体裁を整え 証拠映像も入手して
ポンコツの元に二人で戻って提出し、こっちも丸め込む




丸め込む方は証拠と証人が揃っていたので大して苦労しなかった




Fooありがとう子猫ちゃんたち!次回の番組は盛り上がるよ?

しかし彼もユニークな事を思いつくね!
後で新ネタも含めてインタビューしないと
「あ、オレ仕事あるんで!お疲れっした!」




で、追加の面倒ごとに巻き込まれる前に
クラウンマンと二人で退散してフィニッシュ




あっぶねぇ〜危うくまたメンドクセー依頼されるトコだったぜ」


「でも一応依頼は完了したみたいだし、これで一安心だね」


「おう、これでオンセンを普通に楽しめるし
この話をすりゃ路地裏の子達も…」


ご機嫌にトリップしてくれてて、こっちも一安心だ




やれやれ…ネズミってのも楽じゃあねぇな?







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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:令和だし、旧正月での時期と猫の日も含めて
ロスタイムをいただきました


メタトン:本当はリアルでスランプとメンタル面で
色々あって書けなかったんだよね ハニー?


狐狗狸:その通りです本当に申し訳ありませんでした


サンズ:しっかし猫から出て来たネズミの話だけあって
みんニャが夢中になるモンだな?


バガパン:いやーいい仕事したぜ 主演男優ものだよな?


狐狗狸:…そうですね!(ツッコミは放棄したよ、もう)




読んでいただいて ありがとうございます
2020年もよろしくお願いします!