クソ埃っぽい惑星のまばらに木やら岩がある変哲のねぇ山ん中で




「中々骨があるじゃんコイツ
けどどこまで耐えられるかな?そら!




アホほどデカい星獣に、ピンク頭のアホ

もとい我らが春雨第七師団団長が嵐のような蹴りを見舞っている




おい待て神威ぃぃ!そいつの肉を食うのは私アル!
何横取りしてんだぁぁ!」



「アホかオレらの目的は肉じゃなくて…えーと
そうだ、下の毛だろーが!」


「ツノだって言われたでしょうがぁぁ!
二人して目的見失ってません!?」



「テメェらしゃべってるヒマあったら
さっさと加勢しろっすぅぅ!」





パツキンのネーちゃんが二丁拳銃デカブツにぶっ放しながら
のんきなバカトリオに怒鳴り散らし




「そちらこそ気をつけろ、危うく味方の弾で三途に…っと!


「よそ見してちゃ危ないよちゃん」


「危ないのはあなたです、投石ならぬ投岩を蹴り返すなら
方向くらい気をつけてもらわないととと」


「アッハッハ全くじゃ」




アホ団長の蹴り弾いた岩は嬢ちゃんが槍で砕いたものの

破片がいくつかこっちに飛んできやがった


ついでに坂本とかいうグラサンの顔面にも
破片がめり込んでた、痛そうだなおい




ため息まじりに星獣の軸足蹴り飛ばして転ばせれば


奴さんそろそろ根をあげやかましい雄叫びを上げ始めた




あとは時間の問題だろ、と
適当に総攻撃に加わりつつ改めて思う




…なんでまたこんな事になったんだか







『船の掃除なんて柄じゃないなぁ〜ねぇ阿伏兎
なんか暴れられそうなトコとかない?天 下一武 道会とか』


『ねぇよ、せめてテメーの部屋ぐらいは
片付けられるようにしろっての』


『だって面倒なんだもん』




基本、壊して暴れて好き勝手しまくってるオレ達だが

寝ぐらぐらいはそれなりに片付けねぇと気持ち悪い


海賊だから女っ気なんてもんほとんどねぇから
世話焼きな母親ポジの掃除人もいねぇし


普段から整頓しとこうなんつー殊勝な輩もいるわきゃねぇ


散らかしっぱなしの度を過ぎて
異臭騒ぎになっちまった事だって度々ある




なんでまー年の境目だし掃除ぐらいしとくかって
全員で持ち場決めて片付け始めたら


案の定団長がゴネ出して



『地球じゃ正月に門松っていうオブジェ飾るんだよね?
ウチの船でもやろっか』


『他所は他所、ウチはウチだろ
そもそも地球育ちじゃねーだろ団長』


『いいじゃん面白そうなんだから、えっと竹使うんだっけ?
めんどいからその辺のパイプじゃダメかな』


『お前それ船の設備ぃぃぃ!』


粗大ゴミでも持ち上げるよーな気軽さで
船を破壊し始めやがったので


鬼兵隊の連中に話を持ちかけたら




『ちょうどウチでも作ろうかという話になりましてね

どうせなのでお互いヒマなのですから万事屋の方々と
一緒に材料を取りに行きませんか?』


なんて、サイトや本編でのシリアスぶち壊しな発言と共に巻き込まれ




…気づいたら知らねぇ星で大所帯での狩りをさせられる羽目に




「…やっぱこのすっとこどっこいが元凶じゃねーかチクショウ」


「いきなり何だよ阿伏兎ー怒ると余計に老けちゃうよ?」


うるせぇこちとらまだ三十路ちょい







〜門松の由来は案外物騒〜







「ウチも似たようなモンですよ」




星獣を無事ぶちのめして気が緩んだか


万事屋んトコのメガネの小僧が実感のこもったため息つきながら
語った話によれば


そっちもそっちで掃除やら正月の飾りつけやらに追われてたらしい




『もう片付けとか準備面倒アルぅ〜』


『大体この短文載せた時点で正月過ぎてんだから事始めも
クソもねーだろ?いっそ寝過ごし正月っつー新習慣作ろうぜ?
そしたら喜んで二月ぐらいまでこたつで冬眠するわオレ』


『私もそれ賛成ネ』


それどっちかっつーと事八日!年の始めくらい
真面目に迎えようって気は無いんですか二人とも!!』




実際働いてんのはメガネ一人

でロクに働きゃしないバカどもは
ソファでひたすらゴロゴロうだうだ


そこに作務衣のお嬢ちゃんもやって来て




頼もう!この近くに竹林か松林がある場所を知らぬか』


『道案内なら警察だろアホピーマン』


『てゆうかそんな場所に何の用アルか』


『準備だ』


『だからさん主語!主語!』


でまぁそっからはグラサン経由で大体同じような
経緯からここに集ったらしい







…海賊稼業なオレらはともかく




「嬢ちゃん一応地球住みなんだから
出来合い買えばいいじゃねぇか」


「仕方無かろう、厄除けには手作りの門松が
一番ご利益があると聞く故」


「それどこ情報っすか?」


「大方ホラ吹き込まれたに違いないネ
の頭ピーマンだから」


「お前が言うの?
大してちゃんと頭のレベル変わんないじゃん」


「「鏡見て言えチャイナども」」




その辺りに関しちゃ万事屋連中と意見が一致してるようだが


本来なら敵同士なんだよな、オレら




「何はともあれ本編先取りで
おんしらが協力し合えるとは正月様々ぜよ!」



「利害が一致しているだけっす」


「つかオレらは儲け話があるからバカ連れて
バカの船に乗っただけだかんな?」


アッハッハ〜お前だけ星に置き去りにしちゃろうか?」




本編さながらの殺り合いが起こんねぇのは、他の連中を
船に置いてきてんのと企画ネタ特有の祭り感


あとは坂本の兄ちゃんに免じて…いや呆れて
ひとまず様子見してるからだな




「ねーねー地球戻るんなら代わりにこれ注文しといてよ着払いで」


「何故にお主、雑煮やお節の"かたろぐ"を持っているのだ?」




まぁ団長は普段と変わらねーニヤケづらで
能面嬢ちゃんに絡んでやがるが




気軽にパシんなヨ!あとお節少し寄越すヨロシ!」


「ヤダ、自分の金で買えば?」




…とか言ってたら妹にちょっかいかけられて
兄妹ゲンカ始めやがったし


どうでもいいが団長の金でもねーぞ?師団の資金なアレ


まー止めるの面倒くせぇから
放置しつつ星獣のツノを必要な分だけ刈り取る




ケンカしてるバカ二人以外もツノ刈りに専念しているようだ




「…時に鬼兵隊はお主ら二人のみか」


晋助様にこんな雑用させらんないっす!
てか後でモジャ二人ぶっ飛ばすとか言ってたっす」


「おいおいどんな恨み買ったのお前ら
身長とかチン長見下しでもした?」


「ワシには全く覚えが無いがじゃ、扱いには
気をつけんといけんぞ?アレは気もナニも短いきー」


いや確実におたくらだろ?
何無関係なオレ巻き込もうとしてんの」


「えー阿伏兎あの忍者に地球人はみんな粗チンだっつったじゃん」


間違ってねぇけどお前それ少し先のネタバレ

あとケンカ中ならそっち集中しろよ…あーあ蹴っ飛ばされた




「あん?オレの股間のターミナル見てからモノ言えやテメェら」


「見栄張ってもおんしのは高杉と大差無いじゃろ
その点ワシのは地球標準じゃ収まらんぞ
「ここで比べようとするな」




いつの間にか来てた笠被ったネーちゃんが
汚ぇモンおっぴろげようとしてたモジャグラサンを沈めた


うん、ナイス判断




「粗チンとは何だろうか?」


「速やかに忘れなさい、あなたや神楽さんのような
可憐な乙女には縁があってはいけない単語です」


「ここぞとばかりに紳士ぶっても無駄っすよ武市変態
「変態じゃありませんフェミニストだってば」







思わぬ所で余波が出ちまったが


門松とやらに必要な素材はあらかた集め終えた
後は各自で作るだけか




「んじゃーこの星出るまでは停戦ってコト忘れんなよ?
特に団長」


「耳にタコが出来るほど聞いたよソレ
そこまでやらかさないってオレ」


『説得力皆無(だろ・です・っす・アル・だな・じゃな)』


「ヒドイなもー殺しちゃうぞ?


「言ったそばからケンカ売ってりゃ
世話ねぇぞすっとこどっこい」




オレの言葉が終わるか終わらんウチに


辺りの木々をへし折って、倒したヤツより
ふた回りはデカい星獣が現れた


しかも一匹だけじゃねぇ




うわばばばば!なんかいっぱい出てきましたよ!!
見かける確率低いんじゃなかったんですか!?」


「どうやら発情期にぶち当たったらしいの
じゃが逆に考えればコレはあら稼ぎのチャンスぜよ!」


稼ぐ前にこっちの残機が無くなるっつの!
逃げる一択だろこんなん」


「その方が賢明でしょうね」


「帰りたい奴は帰れば?オレは残ってもうちょっと遊んで
ダメに決まってんだろ、こっちだって予定推してんだ!」


戦闘バカの首根っこをどーにか捕まえ


近くのデカブツへそれぞれ一発かましてから全員で撤退を図る




うおぉぉぉ!さっきのより突進早ぇぞコイツらぁぁぁ!?」


「きっとアレですよ、さっき倒したヤツは四天王の中でも
最弱ポジとか面汚しの立ち位置にいる噛ませなんですよ」


「言ってる場合すかぁぁ!」


「どう見ても四体以上いるのだが」


「きっと増殖バグってやつアル!」


「希少種らしいから増える分には一向に構わんぜよ
ちょうどエサもあるしな」


「せめてと言わんかクソアマ」




娘っ子どものボケを拾い、なおかつテメーの船のアタマを
顔色ひとつ変えずに捨て石にするたぁ大したタマだ




捌き切れるかぁぁ!コレだけのボケ捌き切れるかぁぁ!!」


「だな、てか誰かアイツら足止め「私に任せ、でっ!?


しゃべりながら走ってたせいですっ転んだ嬢ちゃんは


運悪くどタマを岩にぶつけて動かなくなった




「「「任せる前に自爆しやがったぁ!」」」


「よりによってここで三途行くとか
どんだけKYアルかー!」




ピクリともしねぇ嬢ちゃんを白夜叉が担ぎ
それぞれ分かれ互いの船へ駆け込む







「あの子大丈夫かなー
遊び相手が減るから出来たら死なないで欲しいんだけど」


「知るかよ!とにかくこの星から離」


指示がてら踏み出した足が何かを踏んで

バランスを崩しかけ、慌てて態勢を立て直す




…ついでで付いた手が操作盤に触れ


しかも何かおかしなボタンを押しちまったようで


オレらの乗る船は勢いよくデカブツの鼻面へと正面衝突しちまった




「艦首及び前方部分三割損傷!」


お?あんなコト言っときながら
やっぱ阿伏兎も暴れ足りなかったんじゃん」




んなわけあるかアホ団長


今のは事故だ!どう見ても放ったらかしにしてあった
パイプを踏みつけたせいで起きたようなモンだったろ!!


「つまり半分自業自得でしょ?
んじゃボーナスステージ行ってきまーす」


「地の文に答えんな
てか待ちやがれすっとこどっこいぃぃぃ!!





止める間も無く団長が外に飛び出したんで


他の連中が脱出して行く中
オレらは居残りを余儀なくされちまった




「…暴れるついでに団長連れ戻してくる」


「お気をつけて」




今後掃除はマメにするようにしよう、と決意しながら


オレも団長に続き星獣の群れへ突っ込んで行った







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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:本編の部分を先取りしつつ門松クエストでお送りしました


銀時:ホントなんでお前らと新年早々
別の星でドタバタしなきゃならねーの?


武市:本編で戦りあったよしみじゃないですか


陸奥:サイトの長編じゃしばらく出番がないきー頭ともども
出張らせてもらったまでぜよ


神威:オレは掃除サボれたし暴れられたから満足だけどね


ツッコミ勢:お前ら正月ぐらい大人しくしろよ!




読んでいただいて ありがとうございます
2017年もよろしくお願いします!