それは、ルーニヴルを滅し
神への感謝の祭りが終わった次の日




「待てコラ!」


「何クリス君、今出だしなんだから静かに」


出来るか!何なんだこの格好と冒頭は!」




黄色が基調のゆったりした服を示す石榴に


普段通りの格好をしたシュドが
申し訳なさそうに告げる




「あの…今回時神の日の伝承を僕達で
再現することになりまして」


「初耳だぞオィ!」







〜一日滞在神の真実〜







「グダグダ言わず続けるよ時神様?」


は?オレがやるのかその役は!」







ラノダムークから戻った闇神が楽しげに言う




「ラクリィも一辺降りてみたら?」


「口調軽っ、てかカルロス…お前もか」


「仕方なかろう しかし口調はいいのか」




黒い装いの彼に笑顔でルーデメラは答えた




「安心しなよ、当時の話
シェイルダートから聞いたから」


「コレだけのために召還したのかよ!?」







ともあれ興味を持った時神は、一日だけ
職務を休んでラノダムークへと降り立った




「ツッコミ完全スルーかよ、てか
この後どうすりゃいんだよ」




初めての世界に心躍らせながら
辺りを歩いていた時神に


一人の男がぶつかった




「ニャ、ごめんよ」


「てぇ今の本気でぶつか…って
俺の財布スりやがったアイツ!




お金を奪われたコトに気付くも
スリはとっくに立ち去って




ドジでトロい引きこもりの時神は
惨めに途方にくれていた




「オィコラ!
語りにあからさまな悪意があるじゃねーか!」


「事実なんだから仕方ないでしょ?
語りの僕に文句言わない」


「うるせぇ楽しやが」







―しばらくお待ちください


爆音や悲鳴は気のせいです―







「大丈夫ですか旅のお方!
ああヒドいお怪我で…立てますか?」




予定を大幅短縮し、野党に襲われ
命辛々逃げ延びた時神は


通りがかった僧侶に助けられ、治療を受けた







「ふー生き返った…ありがとなシュド」


「いえいえ、無理しないでくださいね石…」




役割を忘れかけていた僧侶は




我に返って言葉を噤んだ




「たくカンペまで用意してるしアイツ…」


「すみません」


「気にすんなよ、お前は悪くないから」







助けられたお礼に時神は彼の才能を引き出し




「では私はこれで」




笑顔で別れると懲りずに国々を歩き出す







「ちょ、ゴブリンの大群なんか
どっから連れてきやがった!!」





各地で大変な災厄に見舞われながらも




「今日はこの国の建国祭、楽しんでいけ!」




少なからず人々の持て成しや温かさに触れ




「私に出来るのはこれくらいですが…」


「棒読み過ぎだよ」


「やかまし」







何人かには、そのお返しに才能を
引き出すコツを伝授し




彼は旅を楽しんでいた…が







「さー時間です実け…仕事に戻りますよ?」


「離せぇー!今明らかに実験っつった!」




使いの者に連れられ、彼は泣く泣く
戻っていったという…







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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:はい、オリジはルデの使う精霊を
元に神話の再現となりました〜


石榴:つーか断り無く役に割りふんな!


ルデ:君は一役だけだからマシだろ?
僕なんて演出と神の使いも兼任だよ


シャム:オイラのデバン少なすぎニャ!


ノール:ぜいたくものめ、わらわなど
あの一言しかなかったのだぞ!!


カルロス:そう怒るな二人とも…




読んでいただいて ありがとうございます
2010年もよろしくお願いします!