「うーん…」


あれ?どうしたの
君が悩むなんて珍しいじゃん」




それどーいう意味?って聞くより早く
エンヴィーがテーブルに置いた絵に注目する




「何コレ、新しい合成獣?
それとも絵本の怪物とか?」


「東の国で新年に出る、
シシマイっていうモノらしいよ」


「ふぅん…で、コレがどうかしたの?」




よくぞ聞いてくれました!と言って




「名前しか知らないから、生き物なのか
どうか気になって仕方なかったトコなの」




ニッと笑い、私はエンヴィーの腕を取る







「だから、今から知ってそうな人に
聞きにいかない?一緒に







〜Oriental Experience〜







「ちょと、誰に聞きに行くのさ?」




引っ張られながらたずねるエンヴィーだが
道行に拒否はしないようだ


私は歩くペースをまったく変えず




「やっぱここはお父様でしょ
この時期なら聞きやすいだろうし」




笑いながら、地下の本拠地へと赴く







「あらとエンヴィー、
ここへ何しにきたの?」




本拠地には、ラストが先に来ていた




お父様はいつも通り椅子に座っているけど
ひざの上に 何か乗っている




「ラストこそ何やってるの〜?」


「決まってるでしょ?お父様の命令で
作ったおせちを届けに来たのよ」


おせちって何さ?」




答えたのは、ラストではなくお父様




「東国で新年に食べる料理だ」


「それってクリスマスのターキー
同じって考えていいんですか〜?」


「…そうだな」


「どんなものか見せてもらってもいーい?」


「構わんが、つまみ食いはしないように」




許しを得たので 二人で側まで近寄って覗くと


容器の中には、一目で豪華だと分かる
見覚えの無い食べものが詰まってた




「おいしそー てゆかラスト
案外家庭的なんだねぇ〜ニャハッ」


「いやいや、ラストおばはんの
ことだから出来合いものでしょ?」


新年早々貫かれたい?そこの二人」


「わー暴力はんたーい!化粧濃ーい!」




爪を伸ばして追いかけてくるラストから
笑いながら逃げ回る私達







それを目だけで追いながらお父様は言う




「それよりも、エンヴィー
お前達は何をしに来た?」




いけない つい目的を忘れるトコでした☆




「この絵のシシマイについてお父様に
教えてもらいたいってエンヴィーが


えぇ!?が言い出したんでしょ!」




本人は抗議をしながらも飛んでくる爪を避ける




しかしその辺はどうでもいいのか、
スルーしてお父様は答えてくれた




獅子舞とは向こうでのイベントだ


一人、あるいは二人で獅子の扮装を羽織り
舞いながら街を練り歩き 人を噛む」




足狙いの一撃を飛んでかわしつつ




「何で人を噛むんですか〜?」


「どうやら、祝福を授ける儀式らしく
噛まれたものは幸福になれるそうだ」




そこでエンヴィーが隣にやってきてささやく




っ 結構本気だよラストおばはん
ここは一旦引き上げようよ」


「そだね、ありがとうございまーす」


「待ちなさい、エンヴィー!!」







殺気立ちまくったラストをどうにか撒いて
地上に出て 私は早速こう言った




「ねぇ、どうせなら私達で獅子舞やろっ!」


「僕もやるのー?そもそも誰に祝福を
授けになんか行くのさ?」




言われてみればそうだなー


やっぱり新年明けたし身内を祝うのが筋かな




…そう考えたら、オイシイ選択肢は
アイツ一人しか浮かびませんでした







ん?何だコノ変な怪物 合成獣か?」




ちょうど外に出てたグリードに二人で
舞いながら近づいて、飛びかかった




「うぎゃっ、な 何しやがる!?」




暴れるグリードを二人がかりで蹴る殴る
しながら噛み付きまくります




「お前らっ とエンヴィーだろ!」


「あ、バレた?」


「こんな格好でこんな真似しくさるバカは
お前らぐらいだ!何だよコレ!」


「新年明けたし祝福してんの
大人しく噛み砕かれちゃえー!!」




祝福という名の暴力は飽きるまで続いたのだった







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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:本当は他のウロ組も出すつもり
でしたが、都合上出来ませんでした


エンヴィー:前フリが無駄に長いんだよ
まーに便乗して色々楽しかったけどさ


グリード:年が明けても、オレは
ろくな目に合わないのかよ…


ラスト:あの二人、本当にムカつくわ…
けど何故お父様はおせちを指定したのかしら


お父様:一度食べてみたくてな


狐狗狸:軽っ 理由軽いですねお父様




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