「勝負だ白髪狐!」


「いいぜ白猫紛い!




コゲンタとが羽子板片手に
火花を散らして睨み合う




「あっちは気合い入ってるねぇ〜」


「…あの、お手柔らかに
お願いしますね さん」




一方で同じように羽子板を持った
リクとは和やかな空気を漂わす




きりりと澄んだ空の下 二組の男女が競い合う







〜高らかに板を鳴らせ〜







元旦ということで、は自分の式神を
引き連れて太刀花荘へやってきた




「あいさつついでに遊びに来たよ〜」




コマやタコ、羽子板なんかをに持たせ
意気揚々と玄関を叩いたが




「スイマセンさん…今、家にいるの
僕ら二人だけなんです」




出迎えたリクが、苦笑交じりに呟く







時期が時期だけに神社系統は忙しく
ヤクモやナヅナ達はそちらに駆り出され


ソーマも最近の株情勢のせいなのか
外出を余儀なくされてしまったようだ




「新年早々大変だな…アイツも年末年始は
色々用があって会えねぇって話だしなぁ」




彼女の言う"アイツ"とは、の前に
契約していた闘神士を指す




「大したおもてなしも出来ないですが
よかったら、上がっていかれますか?」


「ううんいいよ〜二人でのんびりしてるの
邪魔しちゃうの悪いし」




珍しく遠慮して帰ろうとする


リクは少し戸惑っている







目ざとく気付いたが、奥へと
聞こえるように声を張り上げた




「残念だな 俺もせっかく白猫
年初めに黒星つけれると思ってたのに」


「あんだとコラァ!」




果たせるかな 実体化していたコゲンタが
ドタドタと玄関まで駆けてきた




「だってお前、こういう遊戯は弱いだろ?」


「ちょっとやめなよー」


「身体を動かすモンだったら、お前なんか
コテンパンにしてやるよ!」


「こらコゲンタ ダメだよケンカは」




諌められてもなお悔しげに睨む相手へ
彼女は挑発するように笑った




「それなら 戦ってみるか?」


「おぉっ、望む所だぁ!」




こうして式神同士の羽つき勝負が始まり


それに引きずられる形で闘神士二人も
羽つきをして遊ぶ事になった







「僕の勝ちですね、ありがとうございました」


「う〜あともう少しだったのに
負けちゃったぁ…でも楽しかった」




えへへと笑うの顔に
スミで書かれた小さな丸やバツがあり


新たにひとつバツを追加するリクも


同じようにスミの落書きが
顔のあちこちになされていた




実にほのぼのとした羽つきを終わらせ
休憩するが、もう一組の方を見る




「あれっ あっちはまだ決着ついてない」


「コゲンタもさんも負けず嫌い
ですからねー…何回目なんだろ?」


「もう二桁いったと思うよ〜リク君」




呆れたように笑う二人の視線に
全く気付くことが無いほどに




「さっきまでの威勢はどうした六花ぁ!」


「はっ、いい気になるなよ赤目猫ぉぉ!」




白虎と六花の勝負は白熱していた


顔への落書きも、二人と程度が違う







休憩がてら戦いを観戦する
リクの側に そっとヤクモがやって来る




「やっ二人とも 明けましておめでとう」


「「ヤクモさん、どうしてここに!?」」


「神社の手伝いをしてたんだけど、やっと
休憩が取れたから挨拶しに来たのさ」




驚く二人に追い討ちをかけるかの如く
向こうからマサオミもやって来た




「おっ リクにちゃーん
明けおめ〜!どう、オレと一緒に初も」


「マサオミか、悪いがオレが先に声をかけてる
お前は日を改めてにしてくれるか?」


「吉川ヤクモっ…だが断る!




途端に淀み始めた空気を変えようと




「あ、そうだ〜せっかくだからヤクモさんと
マサオミさんも 羽つきやりません?」




軽い気持ちでが羽子板を差し出して




「「ちゃん、ナイス提案!」」




こうして二人による羽つきという名の
死闘の幕は 開かれた







その熾烈な戦いぶりは




楽しそうに応援する発案者(?)の
隣にいたリクだけでなく


熱戦を繰り広げていた式神二人でさえ
動きを止めて固まってしまう程であった







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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:夏のネタで書けなかった二人の
ケンカを中心にしてみました


マサオミ:オレの扱いおざなりじゃない?


ヤクモ:年賀に出てたし、いいだろ別に
こっちこそ出番さほどなかったぞ


リク:所でマサオミさんが来たのは…?


狐狗狸:正月だし、なんとなくでしょう


コゲンタ:今年もアバウトだなお前




読んでいただいて ありがとうございます
今年もよろしくお願いします