「おめでたい日なんで、特別な料理を作る為に
このコーナーを復活させてみたよ」


「またお前が仕切りかよ!
相変わらずどこ向いてしゃべってんだ」




カメラ目線のルーデメラに
夏同様なツッコミを繰り出す石榴




「今日の料理はクリス君の世界にちなんで
おせちお雑煮だよ」


「作れんのかよ!?」


「大まかな知識は クリス君に
尋ねる方向で行くつもりだよ?」




相変わらず、有無を言わさぬ調子で
ルーデメラは笑った







〜kitchen・de・ノンフュ パート2〜







「あの…まずは何を作りましょうか?」


「足りないものがあれば言ってくれ、
出来る限り揃えてやるぞ」




協力的な態度の二人に対し
早速 彼は頭を悩ませることとなった




「俺もおせちってほとんど食わねぇから
うろ覚えなんだよな…ええっと…」







おぼろげな記憶を元に石榴が
思い出した品々は次のようなものだ




魚を飴で固めたモノ、数の子という
粒の細かい魚の卵、甘く煮た豆
スポンジみたいな巻物に…




「後はなんか酢の物や煮物があったと思う」


「基本は魚介系での日持ちするモノで
構成されてるのか、中々効率的だね」




感心したように頷くルーデメラ




「で、お雑煮ってのはどんなモノか
早く説明してくれる?」


「うるせぇなぁ…雑煮はこっちで言う
具入りのスープってとこか?


俺の家だとしょう油ベースの色の薄い汁
モチと三つ葉と鶏肉が入ってたな〜」




緑簾家の雑煮はお澄まし仕立てらしい




モチってなんだニャ?」




挙手したシャムに眉をしかめて答える石榴




「こっちにねぇのか 米とかを蒸して叩いて
出来上がるネバーッとする固まりだよ」


「ほう、お主の世界ではそんなものを
作るのか…どんなものか見てみたいのう」




他人事のように言うノールに
ルーデメラは呆れ顔でため息をつく




「五才児ちゃん、言っておくけど今回は
全員でおせちと雑煮作りに参加するんだよ?


「何っ わらわに雑事を手伝えと!?」


「お、オイラもやるのかニャ!?


あったりまえだろ、新年ぐらいは
お前らも手ぇ貸せよ」







不服そうな顔をする二人だったが




「スイマセン お願いできますか?」




手を合わせてすまなさそうに
お願いをするシュドには勝てず




「シュドがそこまで言うのなら…
手を貸してやらぬことも無いぞ」


「しかたニャい オイラもやるニャ」




手伝うことを決意したのだった







それから六人でそれぞれ食材の調達を
始めたり、色々な準備を行ってから


またもや身近な町の宿の台所を借りて
本格的な調理に取りかかる




主に調理を担当するのは
エプロン姿のシュドとカルロスだ




「石榴さん 煮た豆の味付けは
このような風味でよろしいですか?」


「あー、いいと思うぜ さすがに
シュドはこういうのうめぇな」




鍋の中で色づく豆へ満足そうに頷き
石榴は別の方へと視線を移す







「なぁカルロス…それ、何作ってんだ?」


「ああ これは魚の卵をブイヨンで煮て
味を含ませるモノだが…何か問題か?」




石榴が考えていた魚の卵と目の前のそれは
かなりかけ離れた形状をしていた




「…いや、大丈夫だ 気にすんな」




ぎこちない笑みで答え、視線を逸らすと
隅で米を叩く二人の姿が見えた







米はもち米に近いらしい性質の米を蒸して


カルロスとルーデメラの協力によって
作られた木製の臼杵らしきもの


シャムとノールが中の米を叩いて
丸めてを繰り返している




「うニャ〜ニャんかベタベタしてきたニャ
ノールっ 叩くの交代しろニャ!」


何を言うか!こんな面白いものを
変わるわけがなかろう!」




ケンカし始める二人を注意しようとして







肩を叩かれ 振り返るとルーデメラがいた




「…僕はどうして食器の準備だけなのさ」


「お前が食材触んのは危険極まりねーから」




(…こんなんでマトモなモノが出来んのか?)







とにかく様々な過程を経て、


おせちと雑煮に見えなくも無いような
一種異様なシロモノが 完成するが




見た目と裏腹に、味は結構好評だった







「うん おいしいね……ちっ


「舌打ちすんな、何期待してたテメェ」







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あとがき(というか楽屋裏)


ルデ:勿論失敗するオチだよ、こんな話じゃ
僕が企画を仕組んだ意味が無いじゃないか


石榴:んなことだろうと思って テメェが
調理中近づかないようにして正解だったぜ


狐狗狸:って最初の発言を二人で奪うな!


シャム:うーベタベタするニャー…あれ?
カルロスはどこいったニャ?


ノール:既に寝に入ったぞ しかし
あれは楽しかったのう〜


狐狗狸:ああもうみんなで好き放題
しゃべって、もー…(泣)


シュド:元気出してください管理人さん




読んでいただいて ありがとうございます
今年もよろしくお願いします