私はその子とそんなに話をした事が無かった


(それなりに忙しかったりしたせいかもしれないけど)





彼女は同じ地流で 年下の女の子


流派内でかなり格上の闘神士にもかかわらず

争いを好まず、面倒見が良くて人に慕われていた


私も彼女と話をしている時 とても楽しかった事だけは覚えている







もっと仲良くなりたかったけど、彼女はある日
突然闘神士を止めて



それっきり 何も連絡は取れなかった







けれどこの伏魔殿で、今 目の前にいる物陰に隠れるその姿は

紛れも無く彼女―ちゃんだった





「…何をしてるの ちゃん?」





思わず小声で声をかけると ちゃんが振り向いて





「…あら 確かあなたはさん 今から符で
隠れますので一緒にどうぞ?






ニッコリと 柔らかい笑顔で答えると、ちゃんは
闘神符"隠"を使い、私のいる場所ごと全てを覆い隠した





「え、私も一緒なの!?てかどうして隠れるの?


戸惑いながら問い掛けると 彼女はこともなげに言った





「ああ、これは に余計な心配をかけないようです♪」





言う彼女の視線の先には 銀色の、狐の耳と尻尾を持つ
何処か凛とした女の子
の姿があった











〜「初めて見る親心」〜











って…ちゃんが前 契約していた?





確か彼女は六花族で 何処か男の子みたいな狐の子だった


ちゃん同様、彼女もそんなに嫌いじゃなかった







「ええ 私の力が至らなかったせいで
契約を手放してしまったけれど…」


「あ ゴメンなさい…」





寂しそうなその声に 思わず私は罪悪感を感じた





けれどもちゃんは





「気にしないで下さいさん 私はその分、
を守っていこうって決意しましたから!」


と生き生きした様子で答えた







『…普通は式神が闘神士を守るんじゃないのか?』





いつの間にか幽体のゲンタロウが 神操機から出てきて
ちゃんに問い掛ける





「普通はそうでしょうね、でもあの子は強いけれども
脆い所もあって可愛い
から 危険な目にあったり
悪い男に騙されたりさせたくないの!



まるで…いえ丸きり母親みたいな口調だわ







『…まるで の母親みたいだな』


同じことを考えていたらしく ゲンタロウが呟いた





「ええ 私にとって大切な子供みたいな存在だもの
血の繋がりなんか関係なく、子を守るのは親の義務よ





その言葉を否定せず、更に臆した様子が微塵もない態度


私はこの時 彼女が極度の親バカであることを思い出した









ちゃんは、ミズキちゃんと同じ様に施設から貰われた
養子
で 新しい家族とはあまり上手くいってなかったらしい





その為か式神のちゃんを異様に可愛がっていたのを

彼女が地流にいた頃 よく見かけてた









「でも ちゃんに嫌がられたりしないの?」


「そういう時もあるけれど どんなに嫌われたって
私は気にしてません…あの子を守るためだもの







笑顔と裏腹の固い意思―それは、何故か姉を思い出させた







ちゃんが羨ましいな…ちゃんみたいな
優しい強い子に思われてるんだもの」





彼女は私の言葉に照れて謙遜するのかと思ったけど


苦笑しながら私の顔を真っ直ぐ見ていた







「私は…強くなんて無いです 信頼した式神と闘いつづけてる
さん
の方が、ずっと強いわ


「…ありがとう





微笑んで 私は彼女と握手を交わす





「ここでまた会えたのも 何かの縁ね
これからも 仲良くしてね…ちゃん」


「ええ こちらこそお願いしますさん
ああ、それとゲンタロウ君」


『ん 何だ、?』





急に名前を呼ばれ 不思議そうな顔をしたゲンタロウに


ちゃんは笑顔でこう言った





「あなたならに手を出さないと思うけど…
もし手を出したりしたらさんの式神と
言えど滅ぼす
からね?」





その発言に驚いた私も そしてゲンタロウ本人も

ちゃんから発せられる黒いオーラに圧倒された







『わ…解った 肝に銘じておこう』





その言葉に納得して、再びちゃんを見守り始めた
ちゃんを見つつ ゲンタロウは小声で私に囁く









『… はこんなに腹黒かったか?』


「……バカねゲンタロウ、女の子は皆そう言う意外な面があるのよ
ちゃんはそれが一寸強いだけよ」


そうなのか!?相変わらず女はよく解らん…』





そんな感じの会話を お互い小声で交わして彼女を見る







すると いきなり前触れ無く、彼女が闘神符を両手に出す





「どうしたのちゃん!?」


『ていうかどっから出したそれ!!


に近づく変態男が現れたんです!」





と言って 殺気混じりの視線が向かうその先は―





「『あ』」







止める間も無く ちゃんの出した闘神符の全て


オニシバへ
と飛んでいった









『凄いな…全部命中させてるぞ 


「だってちゃん強かったもの、でもオニシバがここにいるのも
意外だけど まぁ…」


「『ご愁傷様』」







向こうでバッタリ倒れているオニシバに向けて


私とゲンタロウは両手を合わせて合掌した







その後 色々と大変な事になった事は言うまでも無い








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:希沙斗さまの夢主様との共演夢です〜にもかかわらず
こんな出来でスイマセン、私の普段のネタと何ら変わりな(殴)


ゲンタロウ:全くだ とオレが出ているのはいいとして
全然夢としての機能を果たしてない


狐狗狸:す…スイマセン 何か話でいけそうなのはさんとの
こういう絡み
ぐらいだったんです(汗)


ゲンパク:おぬし確か 前にも似たような展開
話を書いていなかったかの?


狐狗狸:ギクッ さ、流石長生きしてるだけあって 鋭い…


イザヨイ:わらわ達の出番がない上に 駄文とは本当に
救えぬものよの…いっそ潔く正義の名のもとに
滅ぶがいい
(鎌掲げ)


狐狗狸:ヒィ! ゴメンなさいゴメンなさい
式神三人組:許さん(キッパリ)


狐狗狸 さんの式神ズの怒りを買い、
打ち首の刑に処す(何)