時刻は放課後







「今日は演劇部もないし ファンクラブの活動も
無いみたいだから、帰ろっか


「ん、ああ」







第五学年の天流の下駄箱で 
帰り支度を進めている





…もっとも 下駄箱を使うのはだけだが









「珍しく補習が無くてよかったねー


「あーああ、まーな」





の声には やや曖昧な相槌を打つ







実は件の如く 補習の為に連行しにきたオニシバを
今回は上手く撒いてに合流したらしい









「だから帰ったら夕飯は あたしの好きなハンバーグにー」





言いながら は自分の靴を取り出して、


瞬間 その靴を下からハリセンで叩かれて飛ばされる











「ちょっと 何するのよ!」







が憤慨しながらを睨み 離れて
下駄箱のたたきに落ちた靴を拾い上げーようとして





自分の靴から零れた 幾つもの画鋲に手を止める












〜靴の中に画鋲〜













「…ってこれ、画鋲!?


「靴に仕込まれた危ないもんが 出す前に見えたからな
……で、誰の恨みをかったんだ?







ハリセンをしまいつつ に問い掛ける







「そんなわけ無いじゃない!じゃあるまいし!!


何だと、俺だって誰かに恨みかうような覚えはねーよ!」


「そう?先生とかに結構睨まれてるみたいだけど〜?


「それとこれとは関係ねーよ つか好きで
目ぇ付けられてんじゃ」






人の姿が見えないとは言え かなり喧しく口ゲンカを始めた
二人の前に、いきなりマサオミが割って入る







「あれー?どうしたのちゃん」


「あっマサオミさん 聞いてくださいよ〜」









マサオミの姿を見ると は口ゲンカを止めて
親しげに話し掛ける







「下校しようと靴を取ったら 靴の中に画鋲が入ってたんです〜」


靴の中に画鋲?酷い奴もいるんだね…」


「そうなんですよ〜それでが、あたしが誰かに
恨みをかってないかって」





その言葉に マサオミが可笑しそうに笑う







ちゃん個人が誰かに恨まれるってのは無いと思うよ?」


絶対に無いって言い切れんのかよ」


「まあ断言は出来ないけど…少なくとも
恨みをかう性格じゃないだろ?君と違って









マサオミが現れてから 何故かやや不機嫌な顔をする
を 彼は軽くあしらって、







「それでちゃん…他に原因とか思いつかない?」


「無いですね…あたしには本当に
全然身に覚えなんかないんですよ〜」








いや…恐らく原因になってんのは
お前の目の前にいるナンパ男だ きっと!





と言う目で はマサオミを睨みつける







何か言いたそうな目をしてるね ちゃん」


「あーあ言いたいね、お前がと必要以上関わらなきゃ
こんな事起こんないじゃねーか?」


「…オレのせいだって言いたいのかな?」


「少なくとも にとって百害あって一理なしだお前なんか」





険悪な雰囲気をまとい始める二人を 
溜息つきつつ眺めている









「もー二人とも どうしてケンカするかなー
…あ、ひょっとして マサオミさんのこと


「絶対無い!」







必死の形相でが の台詞を途中で遮る











「とにかく、ちゃんに何かあったら大変だ
オレが家まで送ってあげよう」


「え〜いいですよ〜 あたし何時も闘神符で
登下校してますし〜そんなワザワザ」





微笑みながら言うに、いいって
言いつつマサオミが肩に手を伸ばす


その間にが入り込んで阻止







「俺がを守るからお前は一人で
とっとと帰れ、このナンパ野郎


「正直君に守りきれると思わないね、
帰る途中で迷子になったらどうするの サボり魔ちゃん?







再び険悪なオーラをかもし出す二人





すると 廊下からプリントの束を持ったヤクモが歩いてきた







「お、ちゃんにちゃん…と 問題児男


「誰が問題児だって 生徒会長クン?」





犬猿の仲らしく 顔をつき合わせた途端に
見えない火花を散らすヤクモとマサオミ


ヤクモの姿が見えた途端に、
顔を真っ赤に染め しゃきっと姿勢を正す







「あ、ヤクモさん こんにちは」


「ヤクモさんっ…お仕事ご苦労様です…!


ちゃんありがとう、二人とも今帰るの?」


「ああはい ちょうど帰る所です…な、





の言葉に カクカクと激しく首を縦に振る







「気をつけて帰るんだよ、そこのナンパ男には
ついていっちゃダメだぞ 危ないから





微笑みながらも結構辛らつな事を言うヤクモ







可愛い女の子の靴に画鋲が入ってたのに
何もしてやれない生徒会長よりマシだけど?」





しかしマサオミも微笑みながら 挑発的に返す











画鋲…!ちゃん 怪我しなかったか?


「だっ大丈夫です〜が気づいてくれましたから
心配していただいてありがとうございます〜!!


「よかった…気をつけてくれよ









そのたった一言だけで 
その場で天に昇りそうなぐらい舞い上がった







自分との態度の差が面白くなかったのか、


マサオミがの前に出てヤクモを睨む









「それじゃーオレ達帰るから、後がんばれよ生徒会長


「何だ 会話に加われなかったのが悔しいからって
邪魔することないだろ?」


忙しい筈の生徒会長がこんな所で女の子と
楽しくお喋りしてたら先生に叱られるよ〜?


「ご忠告どうも ナンパするしか能のない問題児クン











気がつけば 二人はお互い一瞬即発の臨戦態勢になっていた












…ひょっとして この画鋲、この二人の男が
側にいるへの逆恨みか?








黒いオーラをまといつつ応酬をする二人と





そのすぐ側でボケっとしているを見つめて
なんとなくそう思った









「…何か 長くなりそうだから、帰るぞ







言いながら 靴から画鋲を取り除いて
の足元に靴を揃えて置く







「うん でも…いいのかな〜」


「どうせ明日も学校だし いいんじゃね?





その一言に納得したようにが微笑んで







「そうだよね、じゃ帰ーろ!二人とも、サヨーナラ〜」










睨み合う二人を残して 闘神符で家へと帰った









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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:うるさい図書室〜の話でヤクモとマサオミの掛け合いが
出ていたので 何気に便乗させていただきました〜(謝)


マサオミ:ちゃんに迷惑かけちゃったな…でも犯人に
悪気はないし オレって正に罪な存在だ(憂いため息)


狐狗狸:何勝手に原因確定してるかな このナルシストは(汗)


ヤクモ:ちゃんに怪我が無かったからよかったものの…
それで、結局あの画鋲は誰が仕込んだんだ?


狐狗狸:一応は最後の方のの考えた通りだと思うけど
まぁ夢なんで読者のご想像に任せてもOKっす




次はリクとかユーマも話に出したいな(接点無いのにか/汗)
ここまで読んでいただいてありがとうございました〜