「…おい 幾らなんでもここまでやるか普通





俺は恨みがましい視線を目の前の相手に向ける







「その位せねば 貴様はまた逃げ出すだろう」





悪びれた様子もなく、タイザンは俺にそう返す











放課後 撒くのをしくじり奴等に捕まって





補習って事で開き教室に連行された途端に


椅子に文字通り縛り付けられた







ご丁寧に行動を制限する符まで貼られてるから
出来る行動と言えば 補習授業を行うぐらいだろう











「補習の度にあんだけ追っかけられて 捕まったら
机に無理やり縛り付けられるんなら俺でなくても逃げるぞ」


「安心しろ 六花の、そこまでするのはお前だけだ」


Σ俺だけ扱い酷くね!?もうちょいまともな扱いしてくれ!!」


「だったら補習に定期的に出ろ、只でさえ
お前は私の授業をまともに受けていないんだからな







言いながら黒板に字を書き始めたタイザンに
俺は反論できずに文字をノートに書き写す












〜補習授業反対派〜













確かに こうなった原因は俺にある







最近、国語の授業をサボりすぎて 補習をしなきゃ
ちょっとヤバイとこまできてたから









「でもよータイザン」


先生、をつけろ 六花の


「タイザン…先生、俺だけ補習っておかしくないか?











首だけ動かして今いる開き教室を見回しても、


中で補習をやってるのは 俺の他には誰もいない





普通は大体少ないながらも 補習を受けてる奴が
いると思うんだが…









「お前は私の授業をサボりすぎているからな
普通の補習者より多く補習が必要だろう」


「…よーするに、俺をいびりたい訳か」







筆記用具の先を 教壇に立つタイザンに向ける







「そんな事を言われる筋合いはない、こちらが
ワザワザ時間を割いてお前に補習を受けさせているんだ
逆に感謝してもらいたいぐらいだが?」





フン、と鼻で笑うタイザン







いけしゃあしゃあとこのクソ教師…









「無駄口叩くヒマがあるなら ノートを取れ
こちらとて時間が惜しい」











…どう反論しても無駄だし、今回は逃げられそうもない





溜息をつきながら、再び俺は黒板の文字を書き取る











「この授業が終わりゃ、家に帰れやすから
辛抱してくだせぇ さん」







いつの間にか俺の隣に タイザンの式神の
オニシバが佇んでいる







俺を散々追い掛け回しといて よくも
相手を思いやる言葉が吐けるもんだな?」





ギロっと眼だけで睨んでも、オニシバは肩を竦めて溜息つきつつ







「仕方ねぇでしょ、旦那の命令で連れ戻しに来ると
決まってさんが逃げ出すんですから


「るせぇ、あんな禍々しげな気配背負ってる奴から
逃げださねぇ奴なんかいるか!」





「まあ最初は逃げ出す奴もいやしたけど…
今じゃあ殆んど逃げ出しやせんよ









ハッキリ言って 補習対象者…つーか


俺を追いかけるこいつの眼は、異常







どんな穏やかな顔だろうが笑みを浮かべてようが


獲物を狙う鷹、とか血に飢えた狼、とかの形容詞が
正に当てはまる鋭い眼光







正直言って その形相で来られりゃ
他の奴なら大人しく補習を受けるだろうよ諦めて…









「っでも、俺はお前なんかに連れられるのはゴメンだ!







言うと同時に タイザンが投げたチョークが頭に当たった









「余計なおしゃべりをするな、書き取り30問追加





「…くっそぉ、次は絶対逃げ切ってやるっこんな補習!







歯を食いしばりながらも 俺は書き取りに集中する









無理でしょうねぇ、タイザンの旦那はいざとなったら
手段を選びやせんしねぇ」


「本来、そういう態度を取る奴はそれなりの制裁を与えるのだ
この程度で済んでるだけマシだと思え







オニシバの台詞に続くように タイザンが
教壇に戻って 腕を組み直して宣言する







「…テメェら本当に教師か?





思わず口から出たこの一言で 書き取りが更に追加された


















補習授業なんか嫌いだ







受ける人数が授業ん時より少ないから
教師からの威圧感がより高くなるし、





補習といいつつ何気に難しい問題多いし
聞いてない時の制裁も普通にある





特にタイザンの補習はいつもの授業より難しいし
制裁も半端じゃないもんばかり


オニシバに追いかけられるという
かなりはた迷惑なおまけまで付いてくるし







この学園、生徒もそうだけど、


教師ももう少しまともなのを雇えよな…















「さて、採点したプリントも合格点だったから
補習授業は終わりだ 六花の


「よ…ようやくかよ」







拷問のような書き取りとテストを終えて
くらくらする頭を抑えながらプリントを受け取る





椅子から解放されて 身体を曲げ伸ばしする









「ったく これある意味生徒虐待だろ…」







わざと大きい声で呟くけど、タイザンは意に介してない






自業自得だ 毎度こう言う思いをしたくないなら、
今後 授業態度を改めるんだな


ここの教師と俺の宿主がまともなら 端っからサボんねーよ」





「式神とはいえ、女の子が一人で帰るのも物騒だねぇ
旦那 あっしがちょいとさんを


「Σ絶対断るっ!」







オニシバが言い切る前に断言すると 俺は教室を後にした









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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:学パラで補習ネタだったのでとタイザンと
とりあえず二丁で話にしてみました…ちょっと設定に無理が…


タイザン:ちょっと所か かなり無理があると思うぞ




狐狗狸:ゴメンナサイ…他の補習者とか入れてもよかったけど
教師陣に目を付けられてる上に
補習も逃げ回ってそうなんで特別授業っぽくしました




オニシバ:それより あっしは何故、補習対象者やさんから
恐怖の眼差しで見られちまってるんですかねぇ?(汗苦笑)


狐狗狸:だって…何かそういう時 アナタは
目が笑ってなさそうだもの(引きつり笑み)




何かいろいろと問題ありな話でスイマセン(毎度毎度ホントニモー)
ここまで読んでいただいてありがとうございました〜