○月×日 木曜日







この所妙に寒かったけど、今日は何だか
天気がよくて 正に小春日和です







あたしがいる天流クラスの教室も





うららかな春の陽気のせいか皆だらーんとしてる
…ような気がする











実はあたしも 春の陽気に当てられて


すっごく眠いです







はうぅ…昨日徹夜でヤクモ様ファイルを整理してたからかなー;









眠い…けど 今寝たらまずい











「性善説の成り立ちは、孟子が孔子の
仁の思想に乗っ取り―」









だって、タイシン先生の授業だもん





迂闊に寝たらマガホシの刑が来るに決まってる












〜VS睡魔〜













…いつもなら盾代わりがいるのに
今日は授業に出ていない







ひょっとしてもしなくても、今日は絶対サボったに違いない





羨ましいな〜天気いいから今日寝るのに
最高の日だしっ…あったかい…し…









戻ってきたら…タイザン先生の補習に…


差し出して…や…る…









「ギャアァァッ!!」







大きな、男の子の悲鳴で 意識が現実に戻ってくる





そっちを慌ててみれば、窓際の席の子が
早速マガホシの刑にあっていた


マガホシさんの周りの人は 小さな悲鳴をあげつつ
距離をおいて退避している







「ちゃんと聞いていたのか 居眠りするな!」







上半身をマガホシさんにくわえられているその子が
飲み込まれまいと、必死で抵抗する中


タイシン先生の怒鳴り声が響く







どうやら今日のマガホシさんは比較的大人しくて
運良く席の子はすぐさま解放された





でも 何かまだ飢えてるっぽいから油断できそうに無い











あ…危なかった あたしも危うく
春の陽気に負けて寝そうだった……





今のでちょっと目が覚めた











「…運良く食われるのは免れたようだな、だが
貴様等 次があるとはゆめゆめ思うな









タイシン先生のその一言で、クラス内に緊張感が走った











授業が無事終わるまでの間







内容そっちのけで あたしと睡魔の戦いが始まったのだった













戦いは あたしにとってかなり分が悪かった





「知っての通り 孟子は道家の祖として
無なる道を説き―」







目を見開いたり ほっぺや腕とか
つねったりしているけどあんまり効果ない







孟子とか孔子とか太上老君とか 淡々と流れる
中国の歴史や漢文の説明が、





あたしには子守唄に聞こえる









何時もならヤクモ様のお姿を授業中
ずっと見つめていられるのに





睡魔から意識を逸らしたら すぐさま
夢の世界が襲ってくるからそれも出来ない









この時期の睡魔との戦いは ちょっとした
拷問だと…あたしは思います







夢の中でなら…ヤクモ様とラブラブデート









ダメ 眠ったらダメなのよあたし!





寝ちゃったらマガホシさんに丸のみされちゃう…!









でも…もう限界…かも…







……このまま目を閉じれば…





「―と、こう記されている…


うにゃ!?は、はいっ!!?」







急に指されて あたしはどぎまぎしながら
タイシン先生に顔を向ける







「授業を聞いているなら この漢文の意味を
早速答えてもらおうか」







タイシン先生は 黒板に書かれた漢文の羅列を指し示した









し…しまった 睡魔と闘うことに必死だったから、全然聞いてない!





どっどーしよー…わかんない…


でも正直に言ったら絶対マガホシの刑が出るし…









正に絶体絶命のピンチに立たされていた時だった







「ギャーっ来るなー!!」





廊下から叫び声と同時にドタバタ足音が鳴り響き





「っスイマセン 迷ってまし…うわぁっ!?







教室のドアを開けてが姿を現し、
同時に口をあけたマガホシさんが跳びかかった


はとっさに避け マガホシさんは
勢い余って廊下へと飛び出して―





「うぎゃあああああああ!?」





廊下から 男の人の悲鳴が響き渡った







「…マガホシ それは食わずに放してやれ」


ちっ、分かった」







タイシン先生が廊下にいるマガホシさんに声をかけ


それに応じたらしくて、マガホシさんが戻ってくる





勿論は いつのまにか


あたしの隣の自分の席に、こっそりしゃがみ込んで隠れてた







「いきなりマガホシの旦那に襲われるたぁ
思いやせんでしたよ」





未だに廊下の方から聞こえる声


喋り方からしてタイザン先生の式神のオニシバさん







「…、サボったんじゃなかったの?」


「ううううるせぇ サボろうとしてたら迷って
運悪くあの野郎に見つかっただけだ」





小声で問い掛けると 同じく小声で返事がかえる





「とりあえず今はここに避難しといて、
授業終わったら速攻で逃げよ…」







裏切り者の聞き捨てなら無い台詞と同時に


「何があったか知らんが 今は授業中だ
いざこざは授業が終わってからにしてもらおうか」







オニシバさんにそう言って、教室のドアをピシャリと閉めると


タイシン先生があたしの方に向き直る





 この漢文の意味を答えろ」







あたしを再びピンチ状態に追い込む
その言葉が終わるか終わらないうちに





キーンコーンカーンコーン







チャイムが高らかに鳴り響いた











タイシン先生は機嫌が悪そうな顔をしたけど





教壇の教材をまとめて 黒板の文字を消し、







「…今日の授業はここまで」





そう言ってマガホシさんを連れて教室を出た







………た、助かったぁ









…その後 「先生がまた乱心したー!」とか
悲惨な叫び声が遠くで上がってたけど





それはあたしの知った事じゃないからよし







授業が終わって入ってきたオニシバさんに
ちゃんと引き渡し


あたしは安心して居眠りしたのでした








――――――――――――――――――――――――――――
あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:今回視点のせいか、彼女の名前が
あまり出てきませんでした…


タイシン:…これは夢の部類に入るのか?
明らかに絡みが少なすぎると思うのだが


狐狗狸:うーん…入るって事にしといてください
(私が書くと絡みが少なくなる/爆謝)


マガホシ:オレの台詞あれだけかよ!食うぞコラ!


狐狗狸:だって設定が設定だし…つかここで
リアルマガホシの刑は勘弁してください


オニシバ:マガホシの旦那はまだマシでさぁ あっしなんか、
台詞少ないちょい役の上 ヒドイ目に遭わされてんですぜ?


狐狗狸:ゴメン 展開上そうなったんだ
つか夢小説の方でも元々そう言う扱いがデフォルト


狐狗狸はマガホシの刑を執行されています
しばらくお待ちください(何!?)




なるべくは絡みが多いの書きたいですが…結局いつものような
アレな展開になる事が多いので 笑ってやって下さい(オィ)


ここまで読んでいただいてありがとうございました〜