この学園は 生徒も教師も曲者揃い


当然 行事だって普通で済むわきゃない













話は、体育祭が間近に迫った時に遡る













「そうそう 借り物競争に決まったよ」







そういや体育祭が近いな、なんて呟いたら


が唐突にそう言ってのけた







「あたし障害物競争だから、ガンバッテね☆


「何俺に面倒くさいの押し付けてんだよ」


押し付けるも何も が選抜の時に
HRサボったからいけないんでしょ?」


「アレはマジで迷ったんだよ!サボったんじゃねー!」





叫んだ途端、バカっと頭にチョークが直撃する





「授業中は 静かにせんか!」







ショウカクがこちらを睨みながら怒鳴った









…あー そういや今、世界史の授業中だったな












〜借り物競争するなら無理難題をふっかけるな〜













どうせなら100メートル走とか面倒が
無い物に入れといてくれりゃあいいものを…








障害物競走の方が、妨害を乗り越えるだけ





借り物競争より よほどマシ









しかし、決まってしまった物は もう今更覆し様がない





っていうか、教師陣に嫌われてる俺が頼んだ所で


「選抜の時にいなかったお前が悪い」って
一蹴されて おしまいだろうな







…仕方が無い 腹を決めるか















そして迎えた体育祭当日









「今日はよく晴れてるねー」


「そうだな、この間まで雨がぐずついてたから
ちょっと心配だったけどな」







体操着姿のが 眩しそうに空を見る









ヤクモさんによる選手宣誓も終わり、
体育祭も順調にプログラムを消化している











「あ、そろそろ障害物出る人準備しなきゃ」


「おー頑張ってこいよ?」







俺の出る借り物競走は もう少し後の方だ







「言われなくても、天流クラス優勝目指して頑張るもん!





そう言ったは 何時に無く燃えている





「お前運動系苦手なのに、随分燃えてんなー」


当たり前でしょ!ヤクモ様のクラスにいる以上
少しでも高い点を取らなきゃ!!」








…それでか、えらく気合入ってんのは





恐らく障害物選んだのも、運動神経鈍い
逆転できるチャンスがあるからだろう







「そーいうわけで、も頑張ってね じゃないと…」


皆まで言うな 分かるから」









歩いていくを見つめながら、俺は悟ってしまった







……間違いなく 借り物競争が期待される、と











いやな事に予測に狂いはなく
障害物競走の結果も今ひとつで







天流クラスの点数は 余り芳しくなかった









どうにかこの辺で点を稼がないと、優勝の目は無い







や他のクラスの奴等から、妙な重圧
感じながらも 借り物競争が始まった













ピストルが鳴ると同時に、皆一斉に駆け出す









「俺の借り物は何だ!







俺は急いでコースに置いてあった紙を拾うと
すぐさま開いて文字を読み―硬直した







「……マジかよ;」









俺の借り物は"グラサンをかけた教師かお供"だった







慌てて周りを見れば、何やら紙を片手に困り果てる奴
諦めたように笑ってる奴がいたりする









……どうやら、この借り物競争







今年も相当無理難題をふっかけてあるらしい
意地の悪い事に;













しばらく紙を見つめ、考えた







…この条件に該当する奴なんて アイツくらいしかいねぇ;







本音を言えば 言うのは絶対に避けたかった…





やんなきゃ 絶対に殺される











借り物を見つけて、ボツボツ走り始める
生徒が出てきたようだ









俺は覚悟を決めて、大きな声で叫んだ









「――タイザン先生!アンタの式神貸してくれ!!」





「いいとも その代わり一週間補習を受けろ!







出来れば断って欲しかったが、意外にあっさり
承諾されてしまった





ついでに、ちゃっかり条件まで付けられた







「…いいぜ!」





仕方なく 俺はそう返事を返した









「霜花のオニシバ 見参!







降神されたオニシバが、フィールドまでやって来て…







っ やっぱ一緒に走るの無理!何かもう無理!!
いつものように本能が警鐘鳴らしまくってるし!!!





俺はアイツが来るのを待たずして走り出した


(つーか条件反射で逃げ出した









「Σちょっ 借り物無視ですかぃ!?」





言いながら奴が追いかけてくる





るせぇ!無理な物は無理だっ!!
恨むんなら日ごろの態度を改めやがれ!!!









待ってくだせぇさん」







アイツが 俺の右腕を掴んだ







「っ、放しやがれテメェ!!





同時に俺は振り向きざまに狐火をお見舞いした





オニシバの顔に狐火が命中するが それでも奴は
俺の右腕を離さなかった







振り解こうと前に進んだら、何かが身体に引っかかった





何だこれ…みたいな…







「ゴールテープ?」









その時 耳障りなほどのスターターピストルの音が鳴り響いた











「熱ち…どうやら、一位になったようですねぇ」


「…え?一位?







何がなんだかわからず呆然としていると、
オニシバが顔を抑えながら呟く







「そうですぜ、だって二人でゴールテープ
切ったじゃないですかぃ」









ああそうか、ちょっと忘れかけてたけど
今 借り物競争中だったっけな





「俺が言うのもなんだが、いいのか?あんなゴールで」


「まーゴールした事に変わりはないからねぇ」







俺は オニシバの顔を見つめて、こう言った







「…とりあえず、もう競走終わったんだから
右腕から手を離しやがれ


「あっしは借り物ですからねぇ、次の競技に
進むまでは そいつは聞けねぇなぁ」


「…ちっ、面倒くせぇ」









腑に落ちないながらも俺は 右腕を
掴まれたまま、一位のフラグへと移動した








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あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:時期的には少し(かなり?)早いですが
運動会ネタを書き上げました〜


ショウカク:私の出番は、あれだけだが
何か意味があるのか?


狐狗狸:……特に無い ゴメン、今度ちゃんと
小説に出してあげるから


タイザン:昨今は運動会から体育祭、今では学園の名前で
"○○祭"と表記されることが多いようだな


狐狗狸:そうそう、よく知ってるね〜時期もバラつきが
あって6月だったり10月だったりするんだよねー


タイザン:確か、貴様の母校では"体育祭"
6月頃に行われていたな


狐狗狸:うん でもやっぱり一般的には10月なのかな?


オニシバ:ちょいと、なんであっしを無視して
旦那と二人で体育祭談義してんですかぃ?


狐狗狸:だって、取り立ててコメントすることないし
話すことだって ねー?


オニシバ:…このサイトの本編に比べ、こっちの方じゃ
さんの嫌われようが高いんですがねぇ




狐狗狸:設定上仕方ないって、つーかこっちじゃ君ら
教師の式神と式神生徒なんだから 本編のノリじゃ
いくらなんでもマズイっしょー




タイザン:下手をすれば、私まで教師をクビになるからな
それは許さんぞ


オニシバ:ぐっ…旦那まで




本当 学パラは本編より微糖でスイマセン


ここまで読んでいただいて ありがとうございました