「正義」の名前のほかにも
私には 譲れないものがあるんだな









〜your,LoveTactical?〜








「やっ どう〜調子は?」


「んーまあそこそこ?
そっちは調子よさそうだね」







割とエンヴィーとは仲がいい





今でも、時々情報交換をしたり
フツーに一緒の行動をしたりする







こんな風に街中で会うことも珍しくない









何食べてんの?


「ああこれ?チョコレートだけど〜」







言いながら 手にしてた板チョコをひとかじり









チョコを買ったことに特に意味は無い







バレンタインだからかチョコが安かったし
気分的に甘いものが欲しかったからだ







チョコレートのお祭があるなんて、人間って
変わってるよね〜ニャハハ」


「これだから面白いんだよ 人間は」





お互いに笑いあってから、





「そっかー今日バレンタインだっけ…
道理でチョコレートの匂いが街中強いと思った」







急に思い出したかのようにエンヴィーが呟いて
辺りの様子を見る







「ニャハハ 何が言いたいのかなぁ?」





視線をこちらに定め、エンヴィーはニッと笑って





「そのチョコレートでいいから頂戴♪」


「ヤーダ これ私のだもん」


「いいじゃん、どーせ安モンでしょ?」


「安くても所有権は私のだもんね〜」







段々 エンヴィーの表情が不機嫌に変わる







「へぇ〜…色々協力してあげてるのに
そういう態度取るんだぁ


「ニャハハ チョコぐらいでムキになって
どうすんのさ」


「別にムキにはなってないさ、の心って
案外狭いなって呆れてるだけ」


「…しょうがないなぁ はい」







私は手持ちのチョコを適当な大きさに割って
エンヴィーへと差し出した





だけど 不機嫌そうな表情は変わらない







「そうじゃないよ」


あれ?チョコが欲しいんじゃないの?」







エンヴィーは首を横に振って、右手を
持ち上げて 指を口に持ってくる







「折角のバレンタインなんだから
口移しでくれるくらいしなきゃね?」









不敵な笑みを称えながらの一言に





私は 思わず呆気にとられて固まった









「…はい?」







別にそういうのが恥ずかしいとか
初めてとかって言うわけじゃない







よりにもよって バレンタインに


そんな定番ともいえそうな展開
リクエストしてくる方に驚いた







案外、雰囲気に飲まれやすいのかな?
エンヴィーって…しかし意外〜









当の本人は私の表情を見て
クックッと楽しそうに笑っている





まったく 何を勘違いしてるのやら







「そういうのがお好みなら…」







わざと不機嫌そうに言いながら、
割ったチョコを頬張る





「あれー?やってくれないん…」





ニヤニヤしながら近づくエンヴィーに
自分から 更に近づいて









「とくとご賞味あれ?」







そのセリフと同時に首に手をかけて





噛み付くようなキスをした







口の中で半分解けたチョコを
舌で押し込むようにして 相手の口内に送る









チョコが移ったのを確認して 私は唇と手を離し


舌でぺろりと自分の唇を舐める









エンヴィーが目を丸くして呟く







「うっわーまさか本当にやると思わなかったよ」


口移しでって言ったのエンヴィーじゃん」


「まあそうだけどさ」







戸惑っていつつも まんざらじゃない顔してる









このまま特に何も言わなければ
エンヴィーの方から





って案外大胆なんだね〜僕も何か
お返ししなきゃいけないかな?」





とか言って流れで何かやりそうな気はする







別にそれはそれでも面白そうだけど


ここで受身に回るつもりは無い









「この手段は、バリエーションを変えれば
他の男にも友好そうだね…♪」







先手を打つため、唇を指に当てつつ ふふっと笑う







、こういうのを他の男と
やんないでくれる?頼むからさぁ」










近づいた顔こそいつもの笑顔だけど





目は全く笑ってないよ?エンヴィー









「ニャハッ さーてどうしよっかなぁ」







なおも笑顔を崩さず 私は思わせぶりに
そう切り返してみた











すると、思ったとおり あっちが根負けして







「…すぐそこに、美味しいケーキを出す
カフェがあるんだけど 一緒にどう?


「奢ってくれるならいいけど?」


「ええ〜それ、割に合わないよ〜」


「ああそう じゃ他の人と行くからいいよん」







チッと軽い舌打ちの後、エンヴィーが
私の腕を取って







「僕が奢ればいいんでしょ?」


「ニャハハ ありがと〜大好きエンヴィー」





私は取られた腕を更に絡ませる







…とりあえず、この場は私が一歩リード
あとはエンヴィーがどう来るか 楽しみ〜













年が上の男だろうと、経験が豊富だろうと







駆け引き上手は 譲るつもりはない








――――――――――――――――――――――
あとがき(というか楽屋裏)


狐狗狸:バレンタインネタでを攻め気味に
してみました


エンヴィー:てかキスネタ連発しすぎじゃない?
合わせて三つくらいあるよ?


狐狗狸:そっそれは…状況が違うって言うかぁ


エンヴィー:バリエーションが少ないのは
発想が貧困になってることの証明じゃない?


狐狗狸:うるさぁい!
との駆け引きに負けたくせに!


エンヴィー:負けてないもん!これから取り戻すの!


狐狗狸:うるさいそのまま負けてしまえぇぇ!!




流れにより エンヴィーとケンカ中断


相変わらず甘いのかなんなのかな小説です(謝)
またも鋼〜世界に無いネタ失礼しました!


様 読んでいただいて
ありがとうございました!